計算が合わないと工場の中村君が頭を掻いている。
「どこが間違ってんのかなぁ」
「なにが合わへんの?」
「桁(けた)が・・・」
「ゼロの数かぁ。冪(べき)の計算が間違ってねんわ。あんた計算尺使ってんのかいな?」
「手元にこれしかないねん」
「関数電卓か、エクセルやったら簡単やけどなぁ」
あたしも学生時代は計算尺にお世話になった。
関数電卓は、まだまだ高価だった時代やった。
シャープの「ピタゴラス」なんてのが出たころやったなぁ。

10の何乗なんてのがたくさん出てくる計算はケアレスミスが続出するのね。

たとえば、こんな問題。
公式に当てはめるだけの超簡単な問題なんやけどね。
真空の中に二つの点電荷A、Bがあるとしますね。
クーロンの法則です。
Aが3マイクロクーロン、Bが-4マイクロクーロンとしよか。
AB間の距離が20センチメートル(0.2メートル)としとけ。
このとき、互いに引き合う(符号が違うから引力やね)力は何ニュートンかな?
という問題。
ただし、真空の誘電率εを1/36π×10^-9(ニュートン/メートル)として計算してください。

クーロンの法則は知ってるわな。
「逆二乗の法則」の一種や。
力は点電荷間の距離の二乗に反比例するという関係やな。

F=Q・q/4πε・r^2

が公式や、高校生以上やったら知ってるはずや。
Fは力で単位はニュートン。
Qとqは二つの点電荷の電気量やから、単位はクーロンやね。
εは誘電率で定数や。
「真空の中に点電荷」があれば真空の誘電率を使うし、空気中であれば、空気中の誘電率を使うんや。
πは円周率でこれも定数。
つまり1/4πεが比例定数なんや。
rは点電荷の間の距離です。

説明はこんくらいにして、計算します。
F=9×10^9×3×10^-6×4×10^-6/0.2^2
=108×10^(9-6-6)/4×10^-2
=27×10^(9-6-6-(-2))
=2.7(N)
冪(べき)の計算を見てもらいたいので、途中はちょっと、はしょりました。
点Bの電荷の符号はマイナスですが、引力か斥力かを示すだけであり、計算上は関係ないですから絶対値で計算します。
4πと1/36πは約分できて1/9になりますからね、πは消えますね。
単位を合わせます、ニュートンで答えるので、マイクロクーロンはクーロンに直します(μC=10^-6C)。
センチメートルはメートルにします。
こういうのをMKS単位系に合わせるというのでしたね。
そんなことは理系の皆さんには、釈迦に説法でしたね。

手計算の場合、冪は別に計算しないと確実に間違います。
冪を含む多項式において、積や商の形の場合には、冪の加減ができます。
冪は指数関数ですから、その逆関数の対数関数を習った人ならその性質は理解されているでしょう。

ところが中村君のように、整理せずに手計算を行ったり、指数の性質を誤って覚えていたりすると桁が合わなくなって、有効数字も間違ってしまいます。

分母の指数は符号がひっくりかえるんですよ・・・

エクセルで計算させたら、たちどころに答えに到達できるんだけど、計算力が格段に落ちますね。
プラマイを間違えたり、考えられないことをしてしまいます。

もう一度、「くもん式」にでも通って勉強しなおさないとね。