安達太良山を描きたいと思った。
しかし、土蔵の窓からは空(そら)しか見えない。
智恵子のように「空」が見たい。

ここに籠もるようになって何年たったろうか?
尚子さんが来るよりずっと前から土蔵から出ていない。
もう、おれの中では「出てもいい」という気持ちが勝(まさ)っていた。
べつに誰に命令されたわけでもない。
ただ、世間が疎ましかっただけだった。
不具の自分が嫌だっただけだ。
「尚子さんといっしょに安達太良山の見える場所で絵を描きたい」
素直にそう思えた。

「入るわよ」
姉が朝食を持って入ってきた。
「おはよう。姉さん」
「どう?」
「どうって」
「尚子さん、ここに来てるんでしょ」
「え?来やしないよ」
「うそおっしゃい。お菓子の食べかすやら、ゴミ箱に捨ててあったわ。あんなものあんたが手に入れられるはずないじゃない」
まくしたてるように、姉が腰に手を当てて咎めた。
「あれは・・・」
「白状しなさいよ。いいのよ。血の繋がったあたしなんかより、恋人にするなら他人でしょうから」
「姉さん・・・」
おれは、言葉を失った。
最初は、おれから姉にねだった関係だった。
風呂に入れないおれの体を拭いてくれる姉に劣情を催してねだったのだった。
姉は、躊躇なく、不憫なおれをいとおしんでくれた。
夫が可愛がってくれないぶん、燃える体をもてあました姉も、おれを利用したのだと思っている。

「どこまでいったの?あの人と」
なじるような口調で姉が尋ねた。
姉は尚子に嫉妬している。
「べつに、そんな」
「避妊した?」
「してない・・・」
「あきれた」
「姉さんだって、しないじゃないか」
「あたしは、(子が)できないからいいのよ」
諭すように、おれの正面に顔をもってきて言い、口づけをした。
はむ・・・
「ね、あの子とするなとは言わない。でも、姉さんを捨てないで」
姉が涙目で願っている。
「姉さん」
おれは、姉を強く抱きしめた。
馴染んだ汗の香りが姉の胸元から立ち昇る。
おれは、激しく勃起してしまった。
「姉さん、しようよ」
姉はそれに応える代わりに、ブラウスをはだけ、スカートを落としてズロース姿になった。
「富士夫さん、あたしのことなんかなんとも思っちゃいないの」
独り言のように姉がつぶやいて、ブラジャーをはずしている。
黒い乳首の乳房が重そうにこぼれでる。
「あなたも出しなさいよ」
「あ、ああ」
おれは、パンツを押し上げている勃起を着物の合わせから出し、そのパンツも膝まで下げた。
「いつも元気ねぇ」
「義兄さんとは、まったくないの?」
「あるもんですか」
そう言いながら、しゃがんで、包皮を剥いて勃起を口に含み、しゃぶった。
その妖艶な姉の表情は、おれをさらに硬くする。
は・・・む・・
喉奥まで、おれは飲み込まれ、ざらついた舌で亀頭表面を刺激された。
おさげに束ねた黒髪が揺れるくらいに、頭が振られ、じゅぼじゅぼと大きな音を立てて口淫が行われている。
姉のあごのあたりに、よだれが伝って、光っていた。
「どう?尚子さんよりいい?」
「うん。姉さんのは最高だよ」
「やっぱり、あの子にもさせてたのね」
誘導尋問に引っ掛けられてしまった。
「もう、あたし、がまんできない」
姉は、そう言って、後ろ向きに交接しようと腰を落とす。
おれは、手で陰茎の向きを姉のそこに合わせて手助けをした。
ぬぷちゅ・・
熱い秘肉に触れた瞬間、姉が一気に腰を落として、収めてしまった。
「うふぅ。硬ったぁい」
姉が思わず口走った。
ぎっし、ぎっしと車椅子が鳴いて、今にも壊れそうだった。
姉の肉付きのいい尻が上下し、腿肉も波打つ。
おれは、うしろから露な乳房を鷲掴みにし、もみしだいた。
「あぎゃぁん、いい、ヒデちゃん、いい」
激しく取り乱した姉がのけぞる。
おれは背もたれに押し付けられ、男根がねじ切られそうになった。
姉の子宮が硬くしこって、おれの先をこする。
これが、異常な快感を与えてくる。
こりっ、こりっ・・
そんな感じなのだ。
そのたびに、姉の体が電撃を受けたように打ち震えるのだった。
「はひっ、ひっ、いっくぅ」
びびび・・と姉の体が小ギザミに振動すると、ぐったりとおれに体重を預けてきた。
「逝ったの?姉さん」
姉は軽く、うなずくだけだった。
汗が姉の背中を滝のように流れている。
おれのへそのあたりにそれは伝っていった。
姉の腋の毛にも汗の玉が光っていた。
しかし、おれはまだ射精していない。
「ちょっと、疲れちゃった」
姉がのろのろとおれから離れて立ち、振り返ってまたしゃがむ。
「ヒデちゃんはまだ逝ってないんでしょ?」
「うん」
「お口でしてあげよっか」
「うん」
そして、ふたたび、姉の口淫が開始された。
ねぶるという表現がふさわしい、粘着質な行為。
横から、縦から、顔を寝かせたり、どこで覚えたのか、濃厚な技を披露した。
地味な、田舎娘の姉がどうしてこんな嫌らしい口技を施すことができるのだろうか?
義兄が教えたのだろう。
あの人は、どこかそういう遊び人風なところがあったから。
ぬちょ、むちょ、じゅぶ、じゅぶ・・・
恥ずかしい音が狭い蒸し暑い土蔵に響く。
二人とも汗だくだった。
後れ毛を汗で貼りつかせながら、血色の良い熟女が若い弟の陰茎を激しくしゃぶっていた。
それを見ていると、射精が近づく感じがした。
腰がひとりでに浮き上がろうとする。
「ね、ねえさん・・・」
「う、逝くの?」
「いきそう。いく、いく、でるっ!」
陰茎が膨らみ、ぶぱぁっと、姉の喉めがけて噴き上げた。
「うほっ。ぐほっ」
激しくむせて、涙をこぼす姉。
その口の角から溢れ、こぼれる精液。
かなりの量を、おれは放ったようだ。
「うえぇ」
床に吐き出した、粘液の量は異常な量だった。
おそらく姉の唾液が足されているのだろう。
栗の花のような強い香りが立ち昇った。
おれの陰茎は、まだ硬さを保ったまま、股間でゆらゆらと揺れている。
姉が、後始末のためにちり紙を机の上から取り、おれの高まりにかぶせた。
それから自分の上の口と下の口を順にぬぐった。

着衣を整えてから、姉は、
「ごはんを食べなさいよ。それから、後で尚子さんにあんたの体を拭いてもらうように言ってあげる。あの子とヒデちゃん、お似合いよ」
そう笑って言いながら、さっさと出て行ってしまった。

やっぱり、おれは、土蔵から出よう・・・