どうも、山本真理子です。
高校で化学を教えております。
あの時は、高安尚子さんには悪いことをしました。

長谷川君が、あたしのことを好きなことは知ってました。
フィールド・サーベイに参加する、ずいぶん前に告白されていたんです。
でも、わたし、教員じゃないですか。
生徒とそんな関係になるなんて許されないわ。
だから、断ったんです。

今年のフィールド・サーベイで高安さんと長谷川君がいい感じだったんで、わたし、応援するつもりだったんですよ。
「わたしのことなんか諦めて、高安尚子さんとお付き合いしたら?」って勧めてみたんです。
でも、納得してなかったんですよね。彼。
そして、新学期が始まったあの日、とうとう準備室でわたし、長谷川君から、求められました。体を。
わたしがいけないんです。
もっときつく拒否しなかったから。
一途な彼をはねのけることができず、わたしは、服を着たまま愛撫され、乱暴にショーツをはぎ取られてしまいました。
彼も慌てていて、経験がないんでしょうね。うまくできないんです。
わたしは、あきらめて、彼のしたいようにさせました。
わたしは、大学時代に経験済みでしたので、長谷川君にやり方をアドバイスしてあげました。
わたしもどうかしていたんです。
机の上で長谷川君に貫かれ、彼、そのまま出しちゃったんです。
「ごめんなさい、ごめんなさい」って謝るんです。
そのとき、実験室の方に誰かが入ってきました。
「しっ。静かに」わたしは、長谷川君に身支度をさせ、ここから出るように言いました。
「わたしは、あとからみんなが揃ったころにさりげなく出るから」
そう言いました。
でも高安さんには、見抜かれてしまった。たぶん。
ごめんね、なおぼん。

さて、気を取り直して、化学のお勉強を始めましょう。
塩酸という強い酸を水で薄めていくとpH が7に近づきますが、7にはなりませんし、7を超えることもありません。
なんか不思議です。

 pH (ペーハー)とはドイツ語で水素イオン濃度指数のことです。
ピーエッチと言っても構いません。

その意味するところは、水素イオンの濃度で示す、水溶液の酸性の尺度です。
pHの値が低い、つまり0を超えて7未満だと酸性であると判断されます。
7ちょうどで中性、7を超えて14までがアルカリ性(塩基性)であると判断します。
ところで、pH の逆の指数をpOH(ペーオーハー)と言います。
これは水酸化物イオン(OH-)の濃度に着目した指数です。
どちらも意味するところは同じです。

pH =6の塩酸水溶液をどんどん希釈していくといったいどれくらいのpHまで上がるでしょうかね。
100倍希釈ぐらいしてみましょうか?
pHを数学的に記述すると対数関数になります。
pH =-log10[H+] …①

log10Xは「10を底(てい)にする対数」という意味です。
つまりこの逆関数である指数関数に直すと、「10の何乗」という冪(べき)の形に書けるということね。
[H+]は水素イオン濃度であり、単位はmol/lです。
するとpHは、水素イオン濃度の冪だと言い換えることができます。

塩酸のような強酸は水素イオン濃度=溶液のモル濃度と考えていいのです。
なぜなら、塩酸は水溶液中では完全にH+(水素イオン)とCl-(塩化物イオン)に分離(電離)していると考えられるからです。

ここに濃度が1.0×10^-8(mol/l)の塩酸水溶液があるとします。
完全電離していますから水素イオン濃度も1.0×10^-8(mol/l)と考えていい。
pH は指数関数の逆関数、つまり対数関数ですから、①式より8です。
おかしいでしょう?
8ってアルカリ性じゃないですか。
7を超えちゃってます。
これは何かの間違いじゃないの?
そうです。おかしいのです。

この水溶液には塩酸のほかに大量の水がある事はすぐにわかるでしょう?
水もわずかに電離しています。
H2O→H+ +OH-
ここから出てくる水素イオンの濃度がさらに足されると考えたらどうでしょう?
同時に水酸化物イオンの濃度も同じだけ出てきます。
これらをx(mol/l)としましょうか。
 
純水もわずかに電離していて、それを水のイオン積Kwと言います。
Kw=[H+][OH-]=1.0×10^-14…②
と表せます。
pH の最大値は14ということもわかりますね。
だからその真ん中の7は中性ということになるのです。

②の式に塩酸水溶液の水素イオン濃度と、水の電離からできた水素イオン濃度および水酸化物イオンの濃度をxとして代入します。
(1.0×10^-8+x)x=1.0×10^-14…③
この二次方程式を解きます。
x^2+(1.0×10^-8)x-1.0×10^-14=0…④
つまり
x^2+(10^-8)x-10^-14=0…⑤
二次方程式の解の公式を使って解きますと、途中の計算は省きますがxは9.5×10^-8(mol/l)となるはずです。

そうしますとね、最初の塩酸水溶液の水素イオン濃度1.0×10^-8(mol/l)にx分を足します。
1.0×10^-8+ 9.5×10^-8=10.5×10^-8=1.05×10^-7(mol/l)
ですから、①式にもどって、
pH =-log10[H+]より
-log10[H+]=-log10(1.05×10^-7)…⑥
与式=7-log10(1.05)ですから
対数表か関数電卓によれば、log10(1.05)≒0.02ゆえ
pH =7-0.02=6.98
となって、7を超えていないことがわかります。

塩酸の無限希釈でも水素イオンは水分子の電離から供給されるので、酸性のまま限りなく7に近づくだけです。
蛇足ですが、水の電離で生成される水酸化物イオンの濃度は同時に生成する水素イオン濃度と同じなので、アルカリ性に系を傾かせることもあり得ません。

いかがでしたか?
十五歳のなおぼんへ…