これもアマゾン・プライム配信の無料映画だ。
「フライト・ゲーム」は2014年のアメリカ作品ということで、まあまあ最近の映画です。
主人公のビル(リーアム・ニーソン)は飲んだくれの航空保安官という設定。
この男優、どっかで見たなと思ったら『96時間』のお父さん役の人だった。
どうも似たような性格の配役をさせられるのね。

それでも「めっぽう強い男」として両作品では共通している。
普段はぱっとしない、役どころなのね。

やっぱりB級作品かなぁ。
でもサスペンスがあって、疑心暗鬼になるような作り方は佳作だ。
ビルはニューヨーク~ロンドン間の旅客機に航空保安官(鉄道警察隊みたいなものか?)として乗り込む任務につく。
彼が酒におぼれるようになったのは、娘を難病で亡くしたかららしいことがずいぶん後になってわかる。

9.11テロの経験から、こういった保安官が搭乗することが普通になっているらしい。

彼が搭乗するまでに空港でさまざまな伏線として人物が現れる。
人目もはばからずいちゃつくカップル、なれなれしくビルからタバコの火を借りようとするメガネの青年、窓際の席にこだわる夫人、一人で父に合うために初めての飛行機旅行をする少女、CA(キャビンアテンダント)…
ビルの隣の窓際の黒人男性ザック(ネイト・パーカー)に、窓際の席を手違いで取れなかった夫人ジェン・サマーズ(ジュリアン・ムーア)が「席を代わってもらえないか」ともちかけ、ザックは快諾して代わってやる。
ジェンはビルと同じくらいの年恰好で、気さくに話しかけてくる。
彼女の胸には開胸手術の痕が生々しく残っていた。
ビルは飛行機が怖いらしく、離陸時に気分を悪くするが、娘がくれたお守りの青いリボンを手のひらに巻いて気を静めている。
安定飛行に入ったころ、ビルのケータイに不審なメールが入った。
どうやってビルのメアドを知ったのか、謎が深まるがそのメールの内容は脅迫だった。
「これから言う銀行口座に1億5千万ドルを振り込め、さもないと機内の人間が一人ずつ死ぬことになる」などと書いてよこすのだった。
時限が設定され、それまでに事を行わないと人命にかかわる。
どうやら、犯人はこの客室にいるようだった。
ビルはあせった。
メールでやり取りし、時間を稼いで、客席の怪しい人物を観察するが、決め手がない。
航空保安官の任務は拳銃を携帯することができ、彼の場合はSIGP226Rステンレスモデルを所持している。
そして二人の保安官で搭乗し任務にあたる。
ビルには、あまり仲の良くないジャック(アンソン・マウント)という相方がいた。

ビルは機長のマクミランに事の次第を伝えるが信じてもらえない。
ビルの上司にも相談するが、指定の口座がビルの名義だったことが判明し、ビルが犯人の汚名を着せられ話にならない。
CAのナンシーと乗客のジェンに協力してもらい、機内の防犯カメラを通じて不審な行動をする人物をチェックさせた。
ビルの囮メールに反応する人物を探すのだが難航し、数人の怪しい人物を彼女らがマークする。
その中にエコノミークラスの窓際の男に不審な動きが見られた。
ビルはその男を知っていた。相棒のジャックだった。
「あいつか」
ビルはさっそく、ジャックを引っ張り、洗面室に押し込む、そして尋問する。
果たして、ジャックは「金に困って」などと言い出し、あたかもメールの主のような発言をしたのだった。
ビルは、ジャックに襲い掛かり、銃を奪おうとする。
ジャックも抵抗し、狭いトイレでの格闘の末、ビルはジャックの首を折り殺害してしまう。
遺体をトイレに隠し、ビルはトイレを「使用中」に表示を細工して鍵をかけた。
しかし謎のメールは止まなかった。ジャックは白だったのだ。
そして犯人の言う通りに一人の犠牲者がでてしまった。ビルの手で…
ジャックの持ち込んだ手荷物の鞄をビルが改めると中から白い粉の入った袋が見つかった。
どうやら麻薬らしい。
「そうか、ジャックは金に困って運び屋を請け負っていたのだ」
ビルはジャックの隠していたことを推し量った。

ビルは犯人の要求に業を煮やし、乗客をすべて改めるという暴挙に出る。
機内は騒然とし、ビルは身分を明らかにして自分に従うように指示した。
機長はそのことで憤慨し、地上と連絡を取り、航空保安官が勝手な行為を取っていると告げる。
たちまち、報道が一人の航空保安官によってハイジャックされたと世界に報じてしまった。
ビルの過去や酒癖の悪さなどが世間に暴露され、身代金を自分の口座に振り込ませようとしていると報じられた。
そして第二の犠牲者が出た。
マクミラン機長が操縦席で倒れたのだ。
客にアラブ人の医師ナジールがおり、ビルは機長の容態を診てもらうために協力を願う。
しかし、アナフィラキシーショックという診断がなされただけで、手遅れだった。
何か毒物を体内に注入されたらしい。
操縦室は密室で、コーパイロット(副操縦士)のカイルしかいない。
ナンシーの恋人でもあるカイルが疑われたが、ビルはカイルを信じた。

ジェンは席を譲ってもらったザックが優秀なプログラマで、アプリ開発が専門でロンドンの会社に引き抜かれて向かう途中だということを聞き、ビルのスマホから逆探するハッキングの要請を提案する。
ザックは「やってみましょう」と仕事にとりかかった。

ビルは、空港でタバコの火を貸してくれと近づいてきた青年を怪しんだ。
「お前は、おれの行き先を尋ねたな。誰に頼まれた?」
そう迫った。
そして、暴力的に吐かせようとした。
トムと名乗った青年は教師であり、自分はある人物から「金をやるから、あんたから行き先を訊け」と頼まれたと白状した。
重要参考人としてビルはトムを粘着テープで両手を縛り、席に拘束した。
ザックの努力でハッキング可能になったスマホでビルが囮画像をそのメアドに送信した。
果たして、さきほど要注意人物としてマークしていた弁護士のケータイが鳴った。
「おまえだな。ケータイを出せ」
探って出したケータイ画面には、ビルの送った画像があった。
「そのケータイは私のではない。そんなケータイは知らない」と弁護士が言うのだが。
ビルは弁護士を暴力でねじ伏せ、吐かせようとしたがその途中で弁護士は泡を吹いて死亡してしまった。

乗客のニューヨーク市警の警官ライリー(コリー・ストール)はビルの強引な捜査に不信感をいだいており、ビルこそがハイジャック犯なのではないかと疑い始める。
乗客もライリーに賛同し、ビルは四面楚歌に置かれた。
ビルは相棒だったジャック・ハモンドの白い粉をもう一度確認した。
すると粉の中から時限爆弾が出てきたではないか。
もう起動していた。あと数時間で爆発する。
ビルは焦ったが乗客はもはやビルを信用しない。
ライリーが仕切ってビルを押さえつける。
格闘が始まるが、ビルがライリーの鼻を折って倒した。
そしてビルの話が始まった。
「おれは、たしかに飲んだくれだ。娘を病気で亡くしてから自暴自棄にもなった。しかし、今はみんなを救いたい。おれは決してハイジャック犯なんかではない、信じてほしい」と。
乗客はビルの話に聞き入った。
和解したライリーもビルに協力することを申し出てくれた。
「ここには爆弾がしかけられている。もはや取り除くことは難しい」ともいった。
爆弾が爆発すると気密が破れて、機内が危なくなるので高度8000フィートまで降下させなければならない。
しかし、もはやハイジャック機と認定されたこの機体は周囲を軍の戦闘機にガードされ、勝手な降下を許されなくなっていた。
もし爆発したときに低い高度では地上に影響が出るから、高度を下げさせないというのだ。
副操縦士カイルは、軍の指示に従うが、ビルの言葉にも動かされ葛藤する。
今、本機の命運を握っているのはカイルなのだから…

「この中に犯人はいる」
ビルの緊張は極度に増していた。
彼の航空保安官の上司が電話でビルを説得する。
「もう金は振り込んだ。さあ観念して乗客を解放しろ」と、まったくビルを犯人だと確信しているようだった。
「おまえが乗客に暴力をふるっている映像が世界中に流れているんだぞ」
ビルは絶句した。
ビルにスマホを向けてずっと撮影している少年がいたことに気づき、ビルは彼のスマホを取り上げる。
少年が動画をネットにアップしていたのだった。
しかしビルはそのことよりも、彼のスマホに保存されている以前の動画に愕然とした。
教師となのったトムに疑いをかけ、締め上げようとしたときの映像だった。
あの死んだ弁護士の隣に座っていたトムをビルが疑って座席から引っ張り上げるとき、トムがすばやく弁護士の上着のポケットにケータイを忍ばせる映像が映っていたのだ。
だから弁護士は持っていたケータイに見覚えがないと訴えたのだった。
「そうか、やはりあの男が犯人だったのだ」
そしてもう一人共犯者がいた。あの黒人のプログラマだった…

空港の手荷物検査の甘さを突いた脚本で、いったい誰が犯人なのか、疑心暗鬼を誘う佳作だった。

ところで、リーアム・ニーソンは、なかなかいい役者だと、私は思っている。
こういう渋い、ぱっとしない、たとえるなら蟹江敬三のようなクセのある役者はだんだん少なくなっている。
ダニエル・クレイグも私は好きでね、彼の「ジェームズ・ボンド」は歴代の中でも秀逸だと思う。