あたしが、ハム(アマチュア無線家の俗称)になったのは、中学一年生だったよ。
あたしに与えられたのは、3エリア(近畿)のFコールだった。
日本のハムに与えられるコールサインはJAから始まって、JH、JR、JE、JF、JG・・の順だった(小笠原諸島にJD1を特別に割り当てている)。
その後、JI、JJ、JK、JL、JM、JN、JO、JP、JQ、JSで一応終わって、次は7Jとか8Jとかになるの。
※南極の昭和基地のコールサインが8J1だったと記憶している。

だって、JTはモンゴルが、JYはヨルダンに割り当てられてたから。
日本は戦争に負けたから、Jだけのコールサインは戦前のように許されなくなったんだね。

あたしのJF3・・・のコールサインは、今も健在です。
ずっと免許更新を欠かさずにしてきたからね。

「ジュリエット フォックストロット ナンバースリー・・・」

HF(短波帯)は3.5~28MHz(電話・電信級は14MHz帯を除く)、VHF帯は50MHzと144MHz、UHF帯が430MHzが免許されていたの。
その後、電信級には加えて1.9MHz帯が免許されました。
3.5MHzとなると波長が80メートルと、すごいことになるので、庭にはアンテナが立てにくいのね。
ローディングコイルを入れて全長を短縮したダイポールアンテナを立てるのが普通だったけど、それでも学校ぐらいの敷地がないと難しかった。
中学校のハムクラブに参加していたから、その点はクリアできたけど。
家では、叔父が7MHzに出ていたので、屋敷の敷地の対角に鯉のぼり用のポールを立てて、碍子(がいし)で絶縁してダイポールアンテナを立てていた。
モズレー社のものだったと記憶しています。
7MHz帯は7.0~7.1MHzの幅しかなく、狭いんで、混信がひどかったの。
それに、7.08以上ではアンカバー局(違法局)がのさばって、邪魔していた。
JA10(テン)なんて勝手なコールサインでね。
7.1MHzを軽くはみ出て堂々と電波を出してたなぁ。

でも、7MHzは簡単に日本全国と交信できたよ。
開局初日で、JA8(北海道)と交信できたのには興奮したなぁ。

21MHzと28MHzの運用経験はありません。
受信はしてたけど、ほとんど出ているひとがいなかったように思います。
季節の影響をうけやすいので、マニア向けなのかもね。
顧問の先生は21MHzでいろんなアワード(賞状)を獲得されていましたけれどね。

面白いのが50MHzでね、トランシーバーが学生向けに安かったし、キットも出てた。
当時ナショナルのRJX-601が人気でね、部員たちはこぞって欲しがったんだ。
ポータブル機で、電池式なんで、キャンプや合宿に持っていけるのよ。
デザインもかっこよかったし、あたしも欲しかったけど、買ってもらえなかった。
そのうち、あたしは叔父の勧めもあって、144MHzのSSBに手を染めることになった。
144MHzのFMは、今もそうだけど、当時からガラが悪く、トラッカーたちの連絡用に使われてて、女子供の出るバンドじゃなかったのよ。
でもね、SSBは当時珍しく、FMより省電力で遠くまで飛ぶし、何より、上品だと評判だった。
それもそのはずで、トランシーバーが高価だったのよ。
SSBはAMの改良版で、AMの半分の電波しか使わないの。
そのため、復調しないとモガモガ言ってて聞き取れないんだよ。
HFではSSBが当たり前だったけど、VHFではまだまだ珍しかったんだ。
そこで、日本電業(今はない)のライナー2DXなんていうチャンネル式モービル用SSBトランシーバーが出たんで、叔父が買ってきたのが始まり。
「モービル」ってのは、今では、みなさん「モバイル」と発音しているけれど、同じ意味よ。
ハムの間ではいまだに「モービル」よ。
モービル石油のモービルね。
どうでもいいけど。

HFのトランシーバーはVFOって言ってバーニヤダイヤル式で周波数を合わすのね。
手加減で、送信周波数が変わってしまうこともあるのよ。
でもチャンネル式は水晶発振なので、「石(イシ)」と言ってる「水晶発振器」を買ってきて入れるとそのチャンネルに合わせればばっちり、ずれずに送信と受信ができちゃうのよ。
チャンネルの数だけ石が必要だけどね。
モービル運用にはチャンネル式でないと困るのよ。
いまはデジタル回路(PLL回路)で一発直読ですけど、そんなのだいぶあとでした。

144MHzはその波長から「2メーター」とも呼ばれました。
アンテナが小さくってすむし、あたしには向いていたと思います。
以来、HFより2メーターばかりに出るようになりました。
ロールコールという週一の行事にも参加してました。
毎週何曜日だったかに、午後7時か8時くらいから、チャンネルを決めて、挨拶がわりに声を出すの。
出席を取るようなもんね。
「***さん、こんばんは。いつも可愛らしいお声で、ありがとう」
なんて、言われて得意になってたな。

夏になると、スポラディックE層という電離層が日中に発生して、2メーターなのにかなり遠くと交信できるの。
これを見逃さないようにと、天気図とにらめっこし、ワッチを欠かさずするのよ。
「開けた!」とたんに、近畿から、東海や四国地方がガンガン入感して来る。
学生は得よね。
時間があるから。

じきに、トリオ(今のケンウッド)の144MHzオールモードトランシーバーTS-700が発売されて、学校にも配備された。
(本当は先生の私物だったけど)
オールモードというのは、SSBとFMとCW(電信)が一つのトランシーバーで送受信できるというものよ。
ごっつい「通信機」って感じの機械だったよ。
まだデジタルじゃなかったけど。
家にはなかった8エレ八木アンテナの2スタック(二本の八木アンテナを縦向けに並行に組んだもの)をエモテーター(アンテナ回転モーター)でぶんまわして、ハンティングするのよ。
HFばっかりに人気を取られていた2メーターですが、TS-700のおかげで、仲間が増えました。
「6メーター(50MHz)より面白いな」というのが男の子たちの感想でしたよ。
なかなか恵まれた学校だったな。

あたしの家では、依然として高さ8メートルのGP(グランドプレーン)アンテナで交信してました。
友達が「破れ傘」(アローアンテナ)がいいとか、スイスクワッドがいいらしいとか、いろいろ言うのね。
CQ誌の広告を見ながら、「こんなパンザマストを建てて、20メートルくらいの高さを確保して・・・」とか夢を語り合うのも楽しかったなぁ。

さて、今のなおぼんも、ときたまお空にQRV(送信)してますが、古いトランシーバーなので、出力も定格以下になりつつあります。
アンテナも、地デジ化の時に新しいGPアンテナに取り換えてみました。
地デジアンテナの上に乗せたんだよ。
アンテナ屋さんに無理言って。
もう、この歳で屋根の上に上がりたくないからね。

もうすぐスポラディックE層の季節ね。
ワッチしてみますか。

あたしの無線局
あたしの無線局よ。