接客などでの「マニュアル的言い回し」が気に入らないとか、「ら」抜き言葉が良くないとか、日本語に対する「うるさ型」のご意見はNHKをはじめ、よく聞きます。

あたしは、元来理系の女なんで、そういうふうな「めんどくさい」話はどうでもいいと、思考停止になっている者です。
言葉なんて伝わりゃええのです。
「千円からお預かり」されても、計算が合っていたらヨシです。
「食べれへん」でも「食べられへん」でも通じるでしょう?
日本語は乱れていると嘆く前に、日本語はそうやって古代から発達して使い良い言葉になってきた事実を見ましょうよ。
「ら抜き」も発音しやすいように、そうなってきたんです。
「れる」「られる」の敬語とは違うのです(だいたい言い難くて舌を噛むわな)。
敬語の誤りもそりゃあ、ゴマンとありますわいな。
反面、「タメ口」にもルールがあるんだし。

もっとも、あたしが最初からそういうふうに「物分かりが良い」わけではなかったのよ。
でもね、ダンナが脳出血で倒れて、言葉を失いかけたときに「しゃべれたら上等」って思ったわよ。
今でも、たどたどしいけどね。
なんでもいい、しゃべってくれ!
それが切な願いだった。

コミュニケーション障害とかいう病気もあるらしいけど、脳をやられた障害者を見てから悩みなさいね。
しゃべれたら、いいじゃないか。
そんなの障害のうちに入らないと思うよ。
「ジャルゴン(ジャーゴン)」という障害がある。
言おうとしている言葉が、めちゃめちゃな音に変換されて口から出る。
当然まわりには何を言ってるかわかりゃしない。
左脳の言語野(ウェルニッケ野)障害の失語症に見られる症状です。

脳は不思議な臓器です。
わからないことばかりだ。

英語もそうだよ。
完璧にしゃべろうなんて思っちゃだめだ。
それにTOEICとかの資格でしゃべるもんでもない。
ネイティブの英語が正しい(一応はスタンダードだろう)と、それを必死に学んだとて、実際に使う場は、ほぼ英語を母国語としないアジア人とのコミュニケーションになるんだから。
少なくともあたしはそうだった。
アメリカ人としゃべったことは数回しかなく、あとは韓国人と、中国人と、ベトナム人と、沖縄の人だった。
津軽の人と話した時がもっとも通じづらかった。
関西人にとって津軽弁は、難解だ。
発音、ヒアリングともに英語より難しい。
沖縄県人は、むこうから標準語にしてくれる若い人はいいけれど、お年寄りは完全ネイティブだ。
ただ、英語を喋る人もけっこういるから基地の街なんだなぁと思ったよ。

言葉が上手な民族というのは存在する。
有名なのがインド人だ。
日本語もすぐに習得される。
ありがたい人たちで、あたしなんか英語の通訳になってもらったこともある。

言葉は生き物であり、通じればそれがたとえ間違っていても「正解」となるのよ。
だから、あまり細かいことをうるさくいうと、喋ってもらえなくなるよ。
まずは、発語することから始めるの。
赤ちゃんがそうであるように。

顔の表情もあるんだから、「不快」「怒ってはる・・・」「うれしそう」などなど、しゃべらんでも分かる情報があるやろ?
人間なんやし。

そやけど、数式はきっちり書いてもらわなあかん。
これは譲れん。
四則演算のルール、カッコの優先、こんなんわかってなかったら麻雀の点数も計算でけんやろ?
分子分母の計算もそうやで。
数式に「方言」はないからね。
そこんとこよろしく!
リケジョからのお願い。