お風呂から上がって、部屋に戻ったら、崇(たかし)とお父さんが将棋を指していた。
お母さんはテレビを見てる。
「なおこ、冷たいお茶がおでん(座敷机のことを母はこういう)の上にあるよ」
「ありがと」
あたしは、伏せたガラスのコップを取って、冷えて汗をかいた薬缶から麦茶を注いだ。
お布団は敷布団だけが人数分、敷いてある。
エアコンが効いていて、ここちよかった。
あたしんちは、まだエアコンがなかったから。

大学生たちの笑い声が二階から時折、聞こえた。
それほど、やかましいとは思わなかった。

その夜、みんなが寝静まったころ、あたしはショーツの中に手を入れて、密かに自分を慰めた。
お父さんのいびきが大きいので眠れないのもあったけど、やっぱり花火の一件があたしの頭の中を巡っていて眠れなかったのだ。
「ふぅ」
小さく息が漏れた。
隣には弟が寝ている。気づかれないように、敏感なクリトリスを人差し指の腹で押していた。
くちゅ、くちゅと音が自分の耳に届くぐらいに濡れている。
「はっ、はっ」
息も幾分荒くなる。

「姉ちゃん、起きてんの?」
崇が気付いたのか、つぶやくように訊いてきた。
「う、ううん」
あたしは、眠ったふりをした。
薄目を開けると、常夜灯のほの暗い中で、崇の目がこっちを向いて光っている。
「姉ちゃん」
もう一度、弟があたしを呼んだ。
「うん?」
今気づいたように装って、答えた。
「寝られへんね」と、崇。どうもずっと起きていたらしい。
「どうしたん?」
「ちんぽが起って」
「あほ」あたしは、たしなめた。
「姉ちゃんは、なんも感じへんのか?」
「そら、あたしかて」
崇のひざが、肌かけ布団の中に侵入して、あたしの股に当たってくる。
「ちょ、ちょっと」
「どう?気持ちええ?」
「やめって」
あたしは、逃げようと思えば逃げられたのに、反対に恥骨を押し付けていた。
「湿ってる」
「もう・・・」
崇があたしの手を取って、自分の高まりに導こうとした。
あたしは、抵抗しなかった。
パンツ越しに硬いものが当たった。
「ほら。起ってんねん」
「ほんまや。かったいな」あたしも、握ってしまっていた。
ごそごそと崇が動いて、パンツが取り去られたようだ。
熱を帯びた男性の器官がリレーのバトンタッチにようにあたしの手のひらに渡された。
「すっごい」
あたしは、感嘆の声を出してしまう。
花火の光に浮かぶ、塩見さんのペニスがよみがえった。
崇の持ち物も、手で感じる限り、それぐらいの寸法がありそうだった。
もう、大人なのだ。崇も。
毛のざりざり感もあったし。
「ああ、気持ちええ」
崇は、仰向けになってあたしに男根をさすらさせている。
「姉ちゃんも、触ったる」
そう言って、ショーツの腰ゴムから熱い手を入れてきた。
すぐに、陰毛をかき分け、谷筋に指先を滑り込ませてきた。
もう、かなりびしょ濡れ状態だった。
「あん」
つい、声が漏れる。
弟に、秘部を触らせている悪い姉。
いや、弟が悪いのだ。
どっちでもいいことが、頭を巡った。
弟の手指が乱暴に、泉をかき回す。
「もう、あかん・・・」
「べっちゃべちゃやん、姉ちゃん」
「やめてっ」
お父さんのいびきが止まった。
あたしは、びくっと身を縮めた。
崇の手はそれでも止まらない。
お父さんが再び、がーがーといびきを始めた。

崇のペニスを上下にこすっていると、なにやらぬるぬると濡れてきた。
男の子も濡れるのか?
それとも、白い液が出てきたのか?
あたしはそういった知識が乏しく、精液がにじみだしてくるもんだと思っていた。
「姉ちゃん、もっと強う握って、早くしごいて」
耳もとで、崇が息でしゃべった。
しゅっ、しゅっ・・・
「あ、あかん、出る」
びくびくと、弟の体が震えて、硬直したようになったとき、手に温かいものが伝った。
あたしは、ペニスを握ったまま、ゆっくり絞るように手を動かしていた。
後から後から、熱い液が手の甲に垂れてくる。
そして、崇のそれは硬さを失っていった。
「あ~あ」
崇が声を漏らした。
あたしのショーツの中の弟の手はいつしか、止まっていた。

なにか、青臭いような妙な匂いが鼻を突いた。
あたしは手を顔に近づけて嗅いだ。
「精液の匂いって、こんなんか・・・」
「ティッシュはどこや?」
崇が枕元を手探りしている。
お父さんのいびきが、相変わらず部屋中に響いていた。
あたしたちは、精液の始末に追われて、無言で作業していた。
大きなティッシュペーパーの塊ができてしまった。
「どうすんの、これ」
「ゴミ箱に入れたらやばいかな」
「目立つよ。ここのゴミ箱小さいから」
「便所に流してくる」
「あかんて。ティッシュは詰まるから」
「どうしよ」
「あたしが、台所のゴミ箱に捨ててきたるわ。お便所にもいくし」
「ごめんな。姉ちゃん」

そっと部屋を出て、トイレに向かう途中で、台所の玉ノレンをくぐり、民宿の人が生ごみを入れているバケツにティシュの塊を放り込んだ。
その足でトイレで、陰部を拭き、ショーツを替えた。
「すっごい汚れてる。恥ずかし」
あたしも、大人になったんやと思った。