ぐっすり寝た・・・

あたしは、早足で町をさまよっていた。
「ガン・・ほけん」
と口の中で言いながら。
ついに、銀行のような建物にあたしは入っていく。
窓口の女の人、「うん?」綾瀬はるかだ。
「1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月そして1年、3年、5年のコースがございます」
綾瀬はるかはにっこりとそう言った。
「そのコースってのは・・・」とあたし
「余命でございます」
にっこりと彼女は大きな瞳で言う。
「じゃあ6ヶ月のコース」
なんで、6ヶ月コースをえらんだのだろうか。
たぶん定期預金みたいに、急に解約したくなるときがあるかなとか考えたのかもしれない。
すると綾瀬は、
「1年未満の余命のコースでございますと、中途解約ができないようになっておりますが、よろしいでしょうか」
ときた。
「えー、だめなのぉ。じゃ、1年コースで」
「はい、では1年コースのプランをご説明いたします」
「あのさ、もしよ。もし1年以上生きたらどうなるの?」
「はい、お客様、延長プランもございます」
「満期は?」
「満期返戻金としてこちらの金額をお支払いいたします」
「掛け捨てじゃないの」
「はい」
「ガンで死ななかったら?」
「違約金をいただきます」
「げ」
「お客様、失礼ですが、ガンの診断書をお医者様からいただいてますか?」
「ううん、まだ」
「じゃあ、いただいてからということで、余命1ヶ月だといまなら5億ですよ。キャンペーン中なんです」
かわいい顔をして、すごいことを言うなぁ。
あたしは、また町の中をさまよっていた。
「ガン、ガン、余命1ヶ月かあ、ええなあ、どうしたらガンになれるんや?」

そこで目が覚めた。
「変な夢」とつぶやいた。
せっかくすっきりしたのに、またもやもやっとしてしもた。

まあ、死ぬのならガンを選びたいな。
そう思ってきたからこんな夢みたんかな。
ガンは確実に死ねるからね。
あと何ヶ月とか宣告してくれるから、身辺の整理もちゃんとできるし、世話になった人々にお別れも言えるしね。
痛みも、とってくれるんやてね。
やっぱ、ガンでしょ。
人間、なにかで死ななければならないからね。