東京では「テレワークの日」らしい。
在宅業務のことだそうだ。

職場から離れていても、ちゃんと仕事ができるんだね。
そうすれば通勤ラッシュも起らないし、時間の無駄もなくなる。
育児もしながら、自由な生活ができる。
勤務の評定はなんらかのIT技術でできるんだろう。
スカイプでテレビ会議なんかもできるようだし。

いいことずくめだね。
うらやましいな。

機械工にはありえない話なんだけど。
現場に行かないと仕事にならないから。
ねじ回して、レベル(水平)を取って、やすりを掛けて、タバコ吸って、缶コーヒーの空き缶に灰を入れて…
そういう仕事の人にテレワークはない。
だれかがあたしの代わりをやってくれるならそれでいいけど。
東南アジアのあんちゃんが最近、カタコトの日本語で白い歯を見せて手伝ってくれる。
バングラディシュのダッカからきたそうだ。
家族もいるのに、よくやるよ。
あたしなんかとてもできないわ。

鉄板を切る「ジャーン」やら、グラインダーを面白がって使うから、火花が散って危ないったらありゃしない。
あたしが休みがちなんで、彼が代わりをやらされている。
あの「ジャーン」ていうのはうちの会社の方言で、よそではなんて言っているのかな。
薄い砥石の円盤が高速回転しながら、その回転刃を下ろしていって板やら管を「ジャーン」と切るのよ。
ま、いいや、そんなこと。

テレワーカーは次世代のホワイトカラーだね。
公務員(警官や消防士、自衛官を除く)などは格好のテレワーカーだ。
彼らと、現業のサービス業やら工員、大工、農夫、ヘルスの姉ちゃん、クロネコやタクの運ちゃんなどの格差はどんどん広がって、結局、テレワーカーにあたしらは使われるんだ。
新たに格差社会が生まれる。
「多様な働き方」を選択できる世の中は幸せなはずなのに、そうならない。
多様な働き方を選択して、稼げないのは「自己責任」だそうだ。

ITに関わらない人間は落ちこぼれであり、下層で汗水たらして外国人とせめぎ合いながら日銭を稼ぐしかない。
プログラムとまではいかなくてもエクセルや表計算、印刷で文書を作成し、ホームページを作り、画像を加工し、データベースを駆使して調査し、報告書を上げ、人事や給与体系を管理し…
やれないなら、油だらけになって機械の下に入って作業しろって。
五十の腰にはジャッキアップはきついわ。

あたらしいことにチャレンジできない人は落ちこぼれなんやね。
いやでもITやらIoT、AI…やらなあかんのかなぁ。

もうたくさんや。
そうやって、若いもんだけで社会をつくったらええねん。
年寄りは、なるべく早くくたばるからね。
早く、お迎え来てほしいわ。