がちゃがちゃと南京錠を開ける音がした。
姉だろうか?それとも尚子さんだろうか?
おれは、隠し事をしているようで急にそわそわしてしまった。
「入るわよ」
引き戸の音ともに姉の声がした。
「ああ、姉さん」
姉の加代子が俺の車椅子の後ろに立っていた。
「尚子さんの絵、進んでるじゃない。でもどうしてあの人なの?」
「いやあ、別に。ただ、ここから見たときに彼女がたおやかで、久しぶりに人物を描きたくなっただけさ」
「ふうん」
何か含みを持った返事が姉から返ってきた。
そして、身の回りの片付けを始めた。

姉はいつものように、便器のしまつをし、くず入れを空にした。
「あら・・・」
おれは、なんだろうとふり返る。
尚子が始末したちり紙の玉を、姉が目ざとく見つけたのだ。
「あなた、一人でしたの」
「え、あ、まあ」隠しおおせなかった。
「尚子さんを思い浮かべながら?」
「・・・」
なじるように姉が言う。

「あたしがしてあげてるのに・・・」

そう、おれは、姉に性の処理をしてもらっているのだった。
だから、尚子に女性経験を問われても、「ない」とは言い切れなかったのだった。
幸い、尚子がここに入り込んでいることまでは感づいていないようだった。

姉は、尚子に嫉妬しているような感じだった。
「ね、あたしがしてあげよっか」
そう言って、姉がおれの首にまとわりついてきた。
返事を待たずに、姉はおれの股ぐらに手を差し入れてくる。
下着の中では、すでに反応した分身が硬さを増していた。
「ふっ。かわいい・・・。もうこんなに大きくして・・・」
耳元で、姉が息でつぶやく。
握られたおれは、姉に頭を預け、その髪の汗の匂いを吸い込んだ。
亀頭が剥かれ、敏感な部分が姉のふくよかな指の腹で押し揉まれる。
「あっ、あはっ」
「いいの?ヒデちゃん。いいの?」
「いい、いいよっ。姉さん」
先走りの粘液が先端を十分に濡らし、快感を集めていた。
おれは、不自由な足を開き、姉を抱え込もうとした。
「待って、ヒデちゃん」
姉が、ももひきを脱ぎ、白い尻を露わにし、向こうを向いてつながろうとした。
車椅子ではいつもこうやってつながることになる。
尻の肉を自分の手で左右に開き、膣口を露出させて、おれにしゃがみ込む。
おれはできるだけ背もたれを使って、尻を前に滑らせ、平坦にして受けた。
じゅぶ・・・
濡れぞぼった、姉のほてるような火口に勢い良く飲み込まれる分身。
「あつぅ・・・」
「おお・・・」
姉はひざに手をついて、腰を少し浮かせて、微妙に上下させた。
「ああ、当たるよ。いいよぅ。ヒデちゃん」
「姉さん、姉さん・・・」
おれは、陰茎がすべて姉の中に突き込まれるのを見て興奮した。
尚子ならどうだろう・・・
そんな想像すら頭をよぎった。
「ヒデちゃん、いいわぁ。とっても硬い」
激しく腰を振りながらそんな言葉を吐き、肉付きの良い尻肉が波打つ。
おれは限界に近づきつつあった。
陰茎全体がむずがゆく、腰へのしびれもあいまって、不自由なはずの下半身がひとりでに浮き上がってくる。
「ね、姉さん、おれ、もう」
「逝くの?逝ってちょうだい。あたしの中にちょうだいっ!」
姉は妊娠しにくい体質なのか、今まででも中に射精して大丈夫だった。
おれは、遠慮なく、いつものように姉の中にたっぷり放精してやった。
「あふっ」
びくびくと肉筒を痙攣させながら姉が動きを止めた。
おれを吸い取っているのだ。
そう思った。
ぽろりと、おれは姉から吐出され、そのぽっかりあいた暗い穴からおびただしい、白濁液が流れ落ち、床に溜まった。

おれたちは、人目を忍んで土蔵の中で禁断の関係を結んでいたのだった。
不憫な弟への姉の歪んだ愛情がそうさせたのだった。