あたしの友人の藤堂真司監督の『ヰタ・セクスアリス』をシノプシス化しました。
監督直々の依頼でね、そのうち映像化したいとのことでね。

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俺の家は、二階建て三連棟の真ん中だった。
もちろん、借家だ。
父の稼ぎがあまり良くなかったので、持ち家は夢のまた夢という感じで、おふくろがいつもこぼしていたっけ。
姉が一人いたけれど、俺が小学六年生のその時にはもう勤めに出ていて、尼崎の会社の女子寮に入っていた。
この界隈は、アパートや文化住宅が林立していて、路地も狭かった。
その狭い路地に、鉢植えやら植木を、どの家も置いていたので、なおさら狭かった。
俺んちの裏もまた背中合わせに家が建っていて、便所や物干しを互いに向け合っていた。
裏は散髪屋で、いつもタオルをたくさん干していた。
この散髪屋は「マロニエ」という屋号で、俺も頭を刈ってもらっていた。
四十代くらいの奥さんが一人で切り盛りしていたと思う。
たまに、奥さんの親戚の女性が手伝いに来ていたけれど、店を掃除したり、タオルの洗濯をしたりの雑用であって、その人が散髪をすることはなかった。

俺の部屋は二階で、勉強机の向こうが洗濯物干し場になっていた。
まだ小六の俺は、よく朝方に小便を催すと一階の便所にいくのが面倒でよくその物干し台からやっちゃってた。
放尿の先は「マロニエ」の裏である。

その日も、まだ四月半ばで寒く、俺は、いつものように、そっと物干し台に上がって、パジャマを下ろして、チンコを出した。
朝で半立ちのそれは、勢い良く小便を飛ばした。
その時、「これっ」と女の声がした。
「やばっ」俺は、小便を止めようとするけれど、たけなわで止まるもんか。
じょぼじょぼじょぼと絶え間なく薄暗い早朝の闇に消えていく。
そのすぐそばに「マロニエ」の便所の小窓があった。
そこに見覚えのある顔が見えた。マロニエの奥さんだった。
「この子は!どこでおしっこしよんの」
「ご、ごめんなさい」
やっと終わった俺は、モノをしまい、手を合わせた。
「ばか」そう言う奥さんの目は笑っていた。
その日はそれで終わったので、俺も何食わぬ顔で過ごした。
マロニエの奥さんが、おふくろにちくったとしても仕方あるまい。俺が悪いのだから。

四月なので、頭を切ってこいと母から再三言われていた。
でも気が進まなかった。
あんなことがあったからだ。
でも、いつまでも行かないわけも行かず、店を変えるのも勇気がなく、しぶしぶ、もうすぐゴールデンウィークってときに裏の「マロニエ」に向かった。
自分の家の前の通りを西に行けば南北の通りに出て、その通りを南に曲がり、すぐまた東に入れば、ちょうど裏通りに面した理容「マロニエ」の赤と青のねじねじ看板が立っている。

午後六時を回っていたので、中に客はいなかった。
「すみませぇん」
俺は、ガラスのはまった重い扉を顔の幅だけ開けて呼ばわった。
「いらっしゃぁい、あら、真司くん」
「アタマ、お願いします」
「よく伸びたねぇ。さ、こっちに座って」
三台ある椅子のうち一番奥の椅子を勧められた。
奥さんは、塚谷さんといった。
俺はおふくろとの会話で、そのことをつい最近知ったのだ。
店名のほかは、表札もなにも上がっていないので、まったく子供には知る機会もなかったのだ。

しばらく、ちょきちょきやってもらっていた。
鏡の中から奥さんと視線が合うのが嫌だったので終始下を向いていた。
でも髪を切りにくいのか、無理やり頭をあげさせられる。
奥さんは、なにやら楽しそうににこにこして俺の頭を刈っているようだった。
「真司くん、こないだ、裏からおしっこしたでしょ」
やっぱりな・・・
「え、うん。ごめんなさい」
謝るしかなかった。
「じゃまくさいの?お便所に行くのが。いつからしてるのよ」
「いつからって、最近・・・」
「真司くんって、まだ小学生よねぇ」
「うん、今年六年になった」
俺は鏡の中の奥さんと会話していた。
「へえ、六年生にもなると、立派なの持ってんのねぇ」
奥さんの真っ赤な唇が横に伸ばされるように見えた。
俺は、なんのことを言われてるのかわからなかった。
「え?」
「おちんちんよ」
小さな声で奥さんが耳元で言う。俺は、どきっとした。
「そ、そうですか・・」
「うん、おっきかったぁ。もう毛も生えてんの?」
「いや、まだ」
そうなのだ、友達の上田は俺よりチンコが小さいくせに毛がぼうぼうなんだから。
俺は五年の夏ぐらいから、チンコが変に目立つようになってきて、海パンが膨らんで恥ずかしかった。
「じゃ、もうすぐね」
そう言うと、バリカンで裾を始末しだす奥さんだった。
こんなことを女の人と話すなんてことは初めてだった。

今日、初めて髭を当たってもらった。
「ほら、もう、生えてきてるよ」
塚谷さんは自分の栗毛のウェーブのかかった長い髪を掻き上げながら、カミソリを使う。
愛おしむように、俺のほほがやさしくなでられ、はからずもチンコが立ってくるのを覚えた。
「あらあら・・」
驚いたように、塚谷さんが俺の股間を見る。
そこは、盛り上がってしまっていた。
塚谷さんは、通りに面した窓のブラインドを下ろし、カーテンもシャーッと閉めてしまい、閉店の札を下げた。
「今日はもう、おしまい」
そう言いながら、俺の横に来た。
「でも、ここは、おしまいじゃないみたいね」
そう言って、股間の盛り上がりをやわらかに手指でさすりだした。
「あ、ああ」
俺は情けない声を出していた。
一体何が始まるのか想像もつかなかった。
塚谷さんが何をしようとしているのか?
俺はまだ、自慰行為も知らず、チンコを触って立たせること以上の戯れは経験がなかった。
「真司くんは、一人ですることあるの?」
「わかんないよ」
「おばさんが教えてあげよっか」
「何を?」
「オナニー」
初めて聞く言葉だった。
「何?それ」
「真司くんはおちんちんからセイシを出したことはないの?」
そのことは知っていた。
ただ、出し方は知らなかったし、自分の体からそのようなものが出ることも想像の外だった。
「ない」
俺はつっけんどんに言った。
「じゃ、あたしにまかせて」
そう言いながら、椅子が倒されベッドに横になったような感じにされた。
そして、塚谷さんの手が俺のズボンのファスナーを下ろし、ブリーフをまさぐったのだ。
もう、硬くなって、ブリーフは張り裂けそうに突っ張っていた。
「やっぱり、大きいわ」
ベルトが外され、ズボンもブリーフも下ろされてしまった。
「いや、ちょっと・・おばさんってば」
俺は、何をされるのか不安で身をよじって抵抗したが、かなわなかった。
びーんと立ったはずかしい自分のチンコが他人の女性の前でさらけ出されたのだから。
「ちょっと、ここ見てごらん、生えてきてる」
チンコが奥さんの手で倒され裏側を見えるようにしてくれる。
一本、長い毛がひょろりと伸びていた。
「立派よ。ほら、ここも剥けちゃって」
先っぽがぷりっと剥かれて、赤みのさした肉がてらてらと蛍光灯の光に浮かび上がっている。
「硬いのね」
ゆっくりと手のひらでしごかれる。
自分になにか異変が起こりそうな、心臓の音が聞こえるくらいに打っている。
息も荒くなった。
「はぁ、はぁ」
俺は、目一杯空気を吸おうとして口を開けた。そうでもしないと、窒息しそうだった。
ずぅーんと腰が重くなり、何かが来た。
どくんどくんどくん・・・
チンコがしゃくりあげるように跳ねて何かを飛ばした。
「わぁ!」
塚谷さんが歓声をあげた。
何が俺の体に起こったのだろう?まったく、皆目わからなかった。
ただ自分のチンコの穴から、塊のような液が二度、三度と吹き出したのが辛うじて見えた。
塚谷さんの手の甲にその液体が垂れ、俺のズボンにもかかっている。
「ほら、こんなに」
奥さんは手のひらで受けたものを見せてくれた。
「何?何が出たん?」
「精液よ。知らないの?性教育で習わなかった?」
「習ったけど、そんなものとは・・・」
「だめよねぇ。ちゃんと教えないとねぇ」
商売道具のタオルを持ってきて後始末をしてくれた。
俺のそれは、なさけなく小さくしぼんでしまった。
「出しちゃうと、子供ね。こんなにかわいくなっちゃって」
玉のように縮まった姿が情けなかった。
「また、してほしかったら、お店が終わったら来なさい。おばさんがしてあげるから」
そんなことを言ってくれたのだ。
その時は、俺は恥ずかしさでいっぱいで、塚谷さんの言っている意味がわからなかったけれど、二日後には「マロニエ」の扉を開けていた。

塚谷恵子という俺の生涯で忘れ得ない女性とのお付き合いが始まったのである。

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藤堂監督は、けっこう早熟だったらしく、この塚谷さんという奥さんに性の手ほどきを受けたんだってよ。
こういった、甘酸っぱい話をAVにしたいとのたっての願いだったので、あたしが彼に取材して脚色しました。
でもね、俳優に未成年者は使えないでしょ?
「絡み」なしで、雰囲気だけで美しく撮らないといけないわけで、超難しいと思うのよ。
ライトノベルで終わっとくのがいいわ。
児ポ法で挙げられたら目も当てられないじゃない。
ね、監督?