パラメータというものがある。
高校数学で出てくるでしょう?
「媒介変数」と訳されるものです。

その前に陽関数と陰関数という概念を知っておく必要があるかもね。
二次曲線として
x^2+y^2=1 ・・・①
という二次方程式を考えます。
何ですか?この式が表わすのは?
「はい、そこ上村君」
「円の方程式です」
中学生やのに、この子はようできるお子さんや・・・

そうですね、半径が1の単位円の方程式です。

こういう関数は「陰関数」表示といいます。

パラメータθ(シータ)を使いますと。

x=cosθ
y=sinθ

ですから、
①式は

(cosθ)^2+(sinθ)^2=1 ・・・②

と表わせますね。
これが媒介変数表示による円の方程式です。
角度θの変化とx,yの関係が見えてくるようになりました。
極座標で表わされた円の方程式です。
複素平面では「極形式」とも言います。
電磁気学でよく出てきます。

媒介変数を用いないと

y=±√(1-x^2) ただし-1≦x≦1 です。・・・③

この『y=』の形の関数表示を「陽関数」というのです。
デカルト座標で表現しやすいという意味で「陽」なのでしょうね。
たいした意味はないと思いますよ。

③式も0≦t≦1という媒介変数を使いましょうか。

x^2=t ・・・④
y=±√(1-t) ・・・⑤

という二つの方程式で円の方程式が表わされました。

パラメータ(媒介変数)を使うことによって一つの方程式をいろいろな面から眺めることができます。

「そやけど、上村君、あんたその顔のあざ、どうしたん?」
「なんでもありません」
「なんでもないことないやろ。だれかにどつかれたんか?センセに話してごらん」
「なんでもないんですって」

いじめか・・・
あたしの直感は当るんや。
また、マグナムのやっかいになるか。
「なんやて?万引きせぇて言われて断わったら、そのざまか?おい、上村、そいつのとこへ、あたしを案内せぇ」
「な、なおぼん先生・・・」
どこの、チンピラかしらんけど、土性骨(どしょうぼね)をへし折ったる。

あたしは上村君が呼び出されたという夜の河川敷に向った。
腰には琴平会会頭、蒲生譲二からもらった357マグナムを詰めたコルトパイソンがあった。
上村は先に帰した。

「姐さん、だれじゃい?上村(かみそん)はどこじゃ?」
トウモロコシの毛ぇみたいに色を抜いた髪の毛を立たせた、ガタイの大きな少年がドスの利いた声で訊く。
「上村やのうて、残念やな。うちの教え子を、たっぷり可愛がってくれたらしいやんけ」
あたしも、精一杯、ビビらんと答えた。
「セン公か?姐さん。怪我せんうちに、上村をよこしちゃってくれる?」
「何が『よこしちゃってくれる?』や、どあほ。どこの世界に生徒を売る教師がおんねん。ぼけ、いちびってんのとちゃうで」
あたしも、大阪弁でいきまいた。
「な・・・」
ズドッ・・・
あたしの抜くほうが早かった。
グァムで練習を重ねてきた通り、腰だめで至近からお見舞いしたった。
パイソンの反動はハンパないからな。
一番年かさの少年が吹き飛んだ。
この暗がりや、ハジキなんか見たことないガキはひとたまりもないやろ。
うわぁ・・・
逃げ出すほかの二人の少年。
「逃がすか」
あたしは、落ち着いて後ろから確実にしとめた。
十七、八の男は大きいから、やっとのことで苦労して、ご遺体は川に流してやった。
マグナムの威力はすさまじく、彼らの顔の3分の2は吹き飛んでしまって顎の骨しか残っていない状況だった。
屠殺場の牛よりひどかった。

射抜いた銃弾は川面に落ち、薬莢はレボルバーのために現場に残らなかったので足はつきにくいだろう。

翌朝、頭を吹き飛ばされた三人の少年の遺体が身元不明で川に浮いた。

そういうことがあってもいいじゃないか。