高校の校庭の大きなクスノキが山のように葉を茂らせている。
下では吹奏楽部の部員たちが練習をしていて、夏の日差しに金管がきらめいている。

大阪はもうすぐ天神祭だった。

「なおぼん、あたし始まっちゃったし・・・あしたのプール、休むわ」
クラスメイトの森由紀子が申し訳なさそうに言う。
「始まった」とは、生理が始まったということだ。
「ユキは、タンポンにしたんじゃなかったん?」
「ううん、まだ・・・」
「すればええのに。楽やでぇ」
「うん、また、こんど」

あたしたちの間では、タンポン派とナプキン派で意見が別れていた。
「タンポン派」は大人って感じで、優越にひたっているような・・・実は、あたしもタンポンを使っていたので、プールでもおかまいなしだった。
使ってみると、快適なのだ。
あたしは、「初体験」が中二のときだったので、膣にモノを入れること自体に抵抗はなかった。
まわりの子はそうじゃないから、ナプキンからタンポンに移行することのハードルは高いようだった。

タンポンのレギュラーなど、当時の従弟の「中学ペニス」に比べたらずいぶん細いのにね。
もちろん、あたしは、従弟以外に「男」を知らない女子高生だった。
「ヤリマン」なんかじゃ、決してなかった。
※高ニの夏休みに「無線班」の駒井亮君と関係を持ってしまったのが二度目でしたかね。駒井君はいい人なんです。ほんと。あの人なら許してもいいって思えるような・・・

従弟と経験してすぐくらいに、あたしは、手鏡であそこを点検したことがあった。
だれだって、自分の体の変化を気遣うものだろうから・・・
「いったい、どこに突っ込まれたんやろ?」
肉の襞がぴったり合わさって、よく見えない。
毛はまだ、そんなに生えていなかった。
白いカスがところどころ付いていて、おせじにもキレイとは言えないシロモノだった。
「クリって、これかな?」
指先で、敏感な部分を剥いてみた。
ぴょこっと、くちばしのような突起がのぞく。
よだれを垂らしそうに口が半開きのあたしは、思わず唾をすすった。

辞典で「陰唇」と書いてあった部分を左右に指で開き、小指が入りそうなくらいの小穴が見つけた。
「ここかぁ」
膜のようなものは無かった。
そりゃそうだろう。
もう浩二に破られてるんだし。
蒸れたような悪臭がほのかに昇ってくる。
「洗ったほうがええなぁ」
あたしは、パンツを履いた。

自慰というか、オナニーを頻繁にするようになったのは、高校受験のころだったと記憶している。
勉強で焦れば焦るほど、あそこに手が行くのね。
深夜放送で、キュウリを使ったオナニーのことをリスナーがハガキで暴露していて、あたしは耳をダンボにして聞き入ったこともあった。

母とスーパーに行けば、キュウリが嫌でも目につく。
「これって、太くない?」
手に取るあたし。
「なおこ、胡瓜もみが食べたいて言うてたね」
母さんが、あたしの内心などお構いなしに脳天気なことを言う。
「これは太すぎるわ。もっと細いのがいいわよ」
「そ、そうやね・・・」
母さんとあたしの考えていることが全く違っているのに成立している会話だった。

もっとも、キュウリを自分の中につっこむ勇気はなかったわ。

男の人の「サイズ」に興味がないわけではなかった。
品のないマンガ「嗚呼!!花の応援団」の青田赤道の巨大なペニス(?)を見るにつけ、「男って怖いな・・・」と思った。
そんなはずはないのに、間違った知識が邪魔をする。

「浩ちゃんも、もう、あんなに大きくなってるんやろなぁ」
なんて、バカな想像をしていた。

犬の交尾で、ポインターだかダルメシアンのを見たことがあって、その巨大さから、なるほどと思ったのも事実だけれど。
そのころ、太秦(うずまさ)の東映映画村に校外学習(遠足よ)に行った。
撮影用なのか、馬がいたのね。
そのおちんちんが、また大きかった。
勃起してないのによ(あたりまえだよ)。
そんで、水道みたいなおしっこをじゃあじゃあするわけよ。
あたしは、終わるまで見入ってたわ。
「なおぼん、何をじっと見てんねん」
クラスの男の子が、ニヤニヤして声をかける。
「あ・・・立派やなと思って・・・」
「そやな・・・馬やもんな・・・」
その子も「参りました」っていう表情をしてた。

女の子同士で、ペニスの話題になると、どうしても「大きさ」の話になってしまう。
男性には、大変、失礼なことだが、ズボンの上から、海パンの上から「品定め」をするのだ。
「清水先生のって、おっきくない?」
「左に曲がってるし」
英語の清水先生は、きゃしゃでひょろりとした長身なんだけど、ズボンがぴっちりしてて、あそこの膨らみがはっきり見えるのね。
プールサイドで今日も、
「小泉くんのもっこり」
「いやだぁ、マリコのスケベ」
「童顔なのにね・・・」
「うんうん」
「小川くんは、ぺっちゃんこだね」
「お子様なのよ」
「寒いとちっちゃくなるみたいよ」
「なんで知ってんのよ」
「弟がそうだから・・・」
「へぇ」

なんとも下品な会話である。
けれども女子高生が寄れば、どこも、どの時代も同じようなものだろう。