サプリメントを作れば売れる時代である。
あたしらも会社を興して、ひとつボロい商売をやったろうと思うわけ。
ブルーベリーを搾った汁を固めて「目にいい」とかなんとかいうサプリの多いこと。
アントシアニン色素が網膜にいいとかいうけれど、科学的根拠はない。
だいいち、そんなもので網膜はできていない。
一種の疑似科学詐欺だ。
あたしら科学者の成れの果てがよく使う手段です。

それよりも、ルテイン(カロテノイドの一種)のほうがまだ目にいいかもしれない。
ヒドロキシル基をポリエン鎖の両末端のヨノン(イオノン)核にもち、そこが脂肪酸エステルを形成して生体内に存在するのよ。
これなら真実っぽいでしょ?

共役二重結合(ポリエン)が発色団であり、有害な紫外線~青色光を吸収し、自らは黄色を放つ。
ポリエンの酸化されやすい性質からラジカルスキャベンジャー(解毒剤)として働く可能性が高く、老化やがんを防ぐかもしれないわ。

よく似たものに、リコペン(リコピンとも)があるわね。
カロテノイドの一種で末端にヨノン環を持たない、鎖状のポリエンです。
トマトやスイカの赤色がリコペンの発色ですよ。
じゃあ、トマトジュースを飲んどけって話になるわね。

カロテンはドイツ語でカロチンという。その語源はニンジン(キャロット)由来だからです。
カロテノイドの一種で、多くの緑黄色野菜に含有されるのは家庭科で習うわね。
ビタミンA(レチノール)二分子でカロチン一分子となるの。
これこそ網膜の成分よ。
だから、厚労省の指導にもカロテンを摂取せよとあるわけね。

カロテンはヨノン核との置換部分でα~εの異性体があるの。

キサントフィルもカロテノイドだけど、炭化水素ではなく酸素原子などC,H以外の元素を含むものをいうの。
アスタキサンチンとかルテインがキサントフィルに分類されるわ。

いずれもビタミンAのような働きも示唆されてるし、分子構造からしてラジカルスキャベンジャーとしての能力は十分あると思う。
思うだけで、ほんとのところは知らない。

さて、これらを混合してサプリを作れば売れるやろね。
サントリーあたりが出してる「セサミン」くらいは売れそうだ。
あんな安っぽいプラ瓶に入って何千円も取るんだよ。
ええ商売するよね。

人参だの、トマトだの、かぼちゃだの、ブルーベリーだの、ヘビイチゴだのを凍結乾燥して粉砕し、固めて錠剤にするのね。
ほんで一番小さいブルーベリーを基準に「千個分のルテインを含みます」なんて書けばええのよ。

バカはいっぱいいるからね。
なんぼでも騙せる。
だって、疑わないんだもん。