「シックな」とは、まあ「高級感のある、落ち着いた」、「おぬしヤルな」という雰囲気を言うんだろうね。
ほめ言葉だよね。

「シックナー」という似た言葉がある。
さっきの「シックな」はフランス語だそうで、"chic"と綴る。
「シックナー」は英語で"thickener"だ。
もとの語は"thick"だね。
「厚みのある」とか「濃い」という意味の形容詞だ。

で、「シックナー」は「厚みを持たせるもの」とか「濃くするもの」という意味になり、そういった薬剤を言うようになった。

塗料が「しゃぶい」ときに「シックナー」を使えば、垂れにくく、肉持ちがよくよくなる。
※「しゃぶい」とは「薄い」、「粘度が低い」ことをいう業界語。

機械工なら「シックネスゲージ」を持ってるでしょう?
「隙間」を計る目安のゲージで、薄いステンレスの板が束になっているものです。
すべての板の「厚み」が異なります(厚さは板に印字してあります)。
この場合の「シックネス」は、だから「厚み」という意味だね。

コンクリも「しゃぶい」と「シャブコン」と呼ばれ、盛り上げには向かないから「シックナー」を使うのかもしれない。
そんなものがあるかどうかは、あたしは知らないけど。
床のように平面を作るなら、レベルしやすい「シャブコン」の方がいいし、ポンプアップも容易だ。

下水処理で「シックナー」といえば、汚水の固体分を分離する装置を言うそうで、そのための高分子凝集剤を「フロック剤」と言います。
汚泥の沈殿を早めて、処理能力を上げるのね。
お味噌汁に、とろろ昆布を入れたら、味噌が分離して、お吸い物のように澄んでくるでしょう?
とろろ昆布が「フロック剤」です。

もうひとつ「シック」とカナ書きすれば・・・
それは「病気」です。
"sick"は中学生でも知っている単語だね。

ブランド"Schick"はかみそりのメーカーでしたっけ。

日本語では発音が同じでも、英語やフランス語なら発音記号が異なる別の単語なのね。