その年のクリスマスも過ぎ、残すところあと数日となった澤田家のひとびと。

澤田修二は、愛人、畑裕子に「赤ちゃんできちゃった」と宣(のたま)われ、全身の血の気が失せていた。
上司の植村課長は、ついに二人の仲を疑いだしたのだった。

修二の妻、菊枝は美容院で髪をセットし、その足で中居新と暮れのデパートでデートと洒落こんでいた。

娘の佐枝子と息子の修斗は…
冬休みでもあり、昼間から姉のベッドで二人は裸で抱き合っている。
「姉ちゃん…」
「修ちゃん」
思春期の男の子が「テコキ」だけで満足できるはずもなく、ほどなく姉の体を要求した結果だった。
姉の佐枝子も、禁断の果実を口にする甘美を経験すると、すぐに淫乱の血が騒ぎ出した。

「姉弟(きょうだい)で、こんなことしちゃいけないんだよ」
佐枝子が、えくぼをつくって、腕枕の修斗に微笑みかける。
「いいじゃん、バレなきゃ。でもどうしてだめなんだろ?」
「赤ちゃんができるとね、奇形の子ができやすいんだって、なんかの本で読んだわ」
「へぇ。じゃ、中に出さなきゃいいんだ」
「ま、そゆこと」
「姉ちゃん、かわいいぜ」
はむ・・・
修斗が髭の生えかけの青い口で姉の、さくらんぼのような唇にむしゃぶりついた。
互いの唾液を飲み合うような、激しい接吻。
佐枝子の右手は、修斗のたくましく勃起した若いペニスを握って離さない。
「硬ぁい・・・」
修斗が腰を突き出すようにして、硬い分身を姉の手に押し返す。
「姉ちゃんが上になってほしい」
「いいわよ」

自然に騎乗位でつながる未成年者だった。
それも姉と弟…
よく似た顔立ちの男女が、性を貪る光景は、一段と美しく見える。
姉の形の良いへそが、波打つ腹筋で形を変える。
少年の細いうでが、姉の柔らかな胸の膨らみに伸び、その手のひらが双乳を受けるように持つ。
「ああん、もっとぉ」
「姉ちゃんの中が締まるぜ」
「修ちゃんが、おっぱいをいじめるからぁ」
赤い顔で佐枝子が、弟のペニスを深く感じようと尻を打ちつける。
互いの陰毛がもつれ合い、擦り切れることもあった。
繋がったまま、姉は弟におおいかぶさり、自らのクリトリスを潰すように押し付けた。
「こうしていたい」
「姉ちゃん、いやらしい顔だ」
「言わないで」
「気持ちいいんだろ」
「いいの。これが」
ぐりぐりと恥丘を押してくるのが修斗にも感じられた。
修斗は、腰を持ち上げるようにして、ペニスを姉に深く突き刺す。
暖房の利いた勉強部屋が、睦み合いの褥(しとね)となっていた。


菊枝は、中居と並んで都心の繁華街を歩いていた。
中居の腕は菊枝の腰に回されている。
どこから見ても、熱愛の男女に見えた。
「こんなとこ、だれかに見られたら…」
「だいじょうぶだよ、そんな確率はとっても低いよ」
「そうかしら?」
中居のその自信がどこから来るのか、菊枝には判じかねた。
中居の手は大胆になって、菊枝の尻をまさぐるように動く。
「ちょっとぉ」
「痴漢みたいだろ」
「なによ」
「してみたかったんだ」
「バカみたい」
そんなことを言いながら、菊枝もまんざらでもない様子。
人混みなので、周りにはわからないのだ。

「ね、あそこに入ろうよ」
我慢ができなくなった中居が指差したのは、証明写真を取るためのブースだった。
さっと、中居が菊枝を滑りこませ、カーテンを締める。
足元はスカスカで覗かれたらひとたまりもない。
菊枝はスカートをまくられ、一瞬でパンティとパンストを下ろされた。
「ちょ、ちょっと」
「じっとして」
「人が来るわ」
「開けやしないよ」
じっくり見れば四本足が下からのぞくので、他人に気づかれるはずだった。
ただ、慌ただしい暮れの人々には、そんな些細なことに気づく暇がなかった。
菊枝は、早く終わらせようと観念し、写真機の前にレントゲンを撮るように立ち、お尻を突き出す。
下から、長い新(あらた)のペニスがずっぷりと侵入してきた。
「あはあ…」
「どう?こういうところでって」
「いいから、早く終わってよ」
「どういたしまして」
ゆっくりと中居が動き出す。
この特殊な環境で、菊枝も濡れが激しくなり、感じてしまっている。
もう外のことなど気にならない二人だった。
と、その時、シャッとカーテンが引かれた。
二十歳くらいの女の子が写真を撮ろうと、確かめずにカーテンを開けたのだ。
「あ…すみません」
そう言って、あわててカーテンを閉めてくれた。
二人は凍りついていたが、中居のペニスは硬いままだった。
「だから、言わないこっちゃないのよ。もう止めましょ」
「わかった」
ペニスが抜かれ、ぽっかり穴が空いたような感じの菊枝だった。

二人は気まずく、着衣を整え、中居はカーテンから首だけだして、周りをうかがい、
「今だ」
と言って、菊枝の腕を取って、人混みに紛れた。
菊枝はなんだかおかしくって、笑いをこらえるのに必死で、若い中居についていくのだった。

澤田家は、家族がバラバラになっていくように見える。
でも、佐枝子と修斗はうまくやるだろうとも思える。
親が親なら、子も子だという一例にすぎない。
子は親の背中を見て育つから、案外、うまくやるのだろう。

あたしは、良妻賢母という仮面が大嫌いだ。
あんなものが、本当に存在するのか、疑っている。
そこにあるのは男と女であり、情欲に溺れる対象でしかない。
事実は小説よりも奇なりとは、言い得て妙である。

(おしまい)