NHKの昨年、12月30日だったろうか、西之島新島の特番をやっていた。
今日、元日も舞踊家田中泯がバヌアツの火山を訪ねる旅の特番をやっていた。

西之島新島は活動が落ち着いてきているが、まだまだ溶岩流は海へ向かって押し出している。

この火山島に地球における大陸の発生のヒントがあるとみる研究者がいる。

太古、地球には海しか無く、大陸は存在していなかったという。
そこに、西之島新島のようなマグマの噴き出しが端緒となって、大陸に発展していったと言うのだ。
しかし、新島のでき方と大陸では構成岩石の比重が異なる。
言い換えれば、新島が噴き出している溶岩が軽いか、重いかで今後大陸になるかどうかが別れるらしいのだ。

陸地というものはマントルという溶融した岩石の海の上に浮遊する冷えた部分だと理解されている。
だから、マントルの動きに乗っかって陸地は地球表面を移動するのが、大陸移動説である。

しかし孤島が大陸にまで発展するには、溶岩が軽くなくてはならないらしい。
というのも、ユーラシア大陸などの調査によると、ほぼすべて、大陸の構成岩石は軽い「安山岩」だという。
反対に重い岩石でできたものは「島」のような小規模なものにとどまる。
なぜなら、重いとマグマの海に沈んでしまうからだ。

そこで、この西之島新島の噴火物、つまり溶岩が「安山岩」なのか、そうでないのかがこの島の今後を占うわけだ。

番組プロジェクトチームは近寄ることが禁じられている西之島新島の沖合で、遠隔操作による無人ヘリや、ボート、ドローンなどを駆使して島の謎に挑む。

なぜ近寄れないかというと、肉眼ではわからないが、冷えた黒い部分でも相当の熱を発していて、とても上陸はできないのだそうだ。

現に、無人ヘリも島の上に来て近寄ろうとしたが、あまりの熱線でエンジンがヒートアップし、故障寸前にまで陥った。

無人ヘリの遠隔操作は、簡単にいえばラジコンヘリである。
しかし、高い波で大揺れに揺れる観測船からの、ラジコンヘリの離陸は、至難を極めた。
少しでもヘマをするとローターが構造物に当たり、お釈迦になる。
ベテランの操縦士は、船酔いに悩まされながらもコンプリートする。
また、電波の強度が足りないので、島上空に至るまでには指向性アンテナに切り替える必要もあり、玩具のヘリとはまったく異なるものだった。

むしろ、精巧なロボットヘリだったのだ。
ある程度島に近づくと、あとはヘリのカメラでとらえた映像から次の目標を観測船から与えて、ヘリに任せるのである。
こうして、ヘリと観測船がやり取りしながら、仕事をしていくのだ。
とはいえ、火山学者の要求はもっと苛烈なものだった。
その火の島から溶岩のサンプルを取ってこいというものだったからだ。
そうしないと、大陸発生の謎は解けない。

ヘリが島の地表に近づけるのは限度がある。
ウィンチとワイヤーで採取器を地上に降下させ、ブラシ回転による掻きあげでサンプル岩石をボックスへ収納するという荒業だ。

彼らは、限られた時間で、それをやってのけた。

かつて「はやぶさ」が「イトカワ」から岩石サンプルを採取して帰ってきた奇蹟を想起させる仕事ぶりだった。

いやあ、いいものを見せていただきました。

そして、その岩石は「安山岩質」だったんですよ。
西之島新島は大陸に発展するのでしょうか?