血液型の記事だからといって「性格判断」とかの非科学的なもんじゃないわよ。
血液学ですよ。
そこのあなた。

AB型は変わっているのよ。
「何をいまさら」って感じですがね。
血液型がAB型の人は、血清中に「抗A抗体」と「抗B抗体」を持っていないわ。
ややこしいから「抗A抗体」は「A抗体」、「抗B抗体」は「B抗体」と言いましょう。

AB型以外の血清に含まれるA抗体やB抗体は、AB型の赤血球がその表面に持つA抗原とB抗原と反応し、血液凝固させてしまうのでした。
抗原と抗体の反応ですね。
よってAB型への輸血はAB型である必要があるの。
※O型もAB型に輸血できますがそれは後で。

人体はもともとA抗体とB抗体を両方作る機能を持つのよ。
自己の赤血球表面にA抗原がある場合、抗A抗体(つまりA抗体)と反応して凝血するからA抗体を作らないようにしている(つまりA型:あたしがそうよ)。
反対に、自己の赤血球表面にB抗原がある場合、抗B抗体(つまりB抗体)と反応して凝血するからB抗体を作らないようにしている(つまりB型)。

一方でO型の赤血球表面にはA抗原もB抗原も存在しないけど、血清中にはA抗体も抗B抗体も持っている。

これら血清の抗体は免疫を担うT細胞に存在するんだけど、両方の抗体を作る能力があるのにもかかわらず、自己の赤血球を攻撃し固めるような抗体は胸腺で潰されるので、結果的にABO式の血液型が生じるの。

O型は自身以外にA、B、ABに輸血しても凝血を起こさないのではなく、実は起こしているが患者体液に比して輸血量が微量なので血栓はすぐに消化されるから問題にならないんであって、大量輸血には血栓リスクを伴います。
だから医療現場ではO型をほかの血液型患者に輸血することはまずないの。
戦時中とか、とにかく特殊な事情でもあればそういうこともあったでしょうかね。

逆に他の血液型からO型への輸血は激しく凝血を起こし死に至ります。
O型の人も気をつけてね。
なお、A抗体、B抗体は生まれてしばらくしてから(生後約4か月)胸腺により完成するので新生児の輸血には注意が必要です。
胎児は母親との血液型不適合というリスクをしょっているから、結婚の時のカップルの血液型は確認しておきましょうね。

このようにAB型(O型も)は変わっているんです。

最近の研究ではAB型は免疫力が弱く(他の血液型に比べて相対的に)、病気にかかりやすいとされます。
冒頭で書いたようにA抗体もB抗体も持っていないからです。
インフルエンザや梅毒には要注意です。
ただし、A、B型もインフルエンザにかかりやすいらしく、一概に言えないのよね。
人類史の中で、混血によって生まれたAB型は、非常にその歴史が浅く(約1000年前に分化)、病気に対する耐性が乏しくなっています。
これはリンパ球の少なさに関係していると言われています。
他の血液型において白血球中のリンパ球の占める割合は36%(A,B)~40%(O)であるのに対し、AB型は34%です。
そのせいかアレルギーには強いと考えられます。
なんでも受け入れちゃう。

一番病気に強いのはO型でしょう。
A抗体もB抗体も持ってるわけだから。
足し算の問題ですわ。
(鎌谷直行 情報解析研究所所長と寄生虫の権威、藤田紘一郎 東京医科歯科大学名誉教授のお話を参考に書きました)