「アメリカ海兵隊」もしくは単に「海兵隊」のことを知っている日本人は少ないと思います。

アメリカ軍には三軍(陸海空)のほかに海兵隊という軍隊があるんですよ。
アメリカ海軍とは別の組織です。
その本格的な活躍の歴史は第二次世界大戦にさかのぼります。
※海兵隊草創期の歴史はアメリカ独立戦争時代にさかのぼるようです。

なんで「海兵隊」なのかというと、海岸から上陸して敵前に切り込む急先鋒として働くからです。
その戦力は陸海空なんでもござれです。
航空兵力も有していますし揚陸や陸戦専門でもあります。
急先鋒だから、かなりヤバイ仕事です。
映画『プライベート・ライアン』を観てくださったら、説明の必要もありますまい。
そりゃあもう、すさまじい戦闘に巻き込まれる部隊ですよ。

こうして映画やニュースで海兵隊の活躍をながめてみますと、みんなアメリカ本土ではなく外国で展開する部隊なんだと改めて知ることになります。
世界の警察を標榜するアメリカならではの「殴り込み部隊」ですから、外交的には問題ありの部隊ですね。
もっとも隊員にとっては合衆国のためという大義名分があり、その同盟国を守ることも含まれ、沖縄に駐留しているのも彼らです。
彼らはアメリカの法律に縛られるのであって、同盟国や駐留国の法律にほぼ従わなくてよい。
日米地位協定という規律はそうした現れです。

海兵隊は戦争を作る部隊だといえます。
宣戦布告の材料を作り出す部隊です。
これがまかり通ると、アメリカ政府のさじ加減でなんとでもなってしまう。

Wikipediaには以下のような説明がありました。
「海兵隊の任務に関しては、在外公館を含む海外の拠点の警備も含むため、比較的戦闘に巻き込まれやすい要件を備えているが、海兵隊も陸海空軍と同じく戦争権限法による拘束を受け、海兵隊が戦闘を行ったことがそのまま「戦争」になるわけではない。つまり、議会の承認を受けずに大統領命令のみに基づいて出撃した場合、事後48時間以内に下院議長と上院臨時議長宛の書面での報告が必要であり、議会が宣戦布告についての審議をする。宣戦布告が議決されない場合、開始した戦闘は議会への報告後60日以内のみが認められ、さらに30日以内の撤兵が義務付けられている。このため、アメリカの法解釈上では、“海兵隊が警備している在外公館等の防衛のためにやむを得ず行う”戦闘行為は同法による拘束の下に行われる自衛行為といえる」

海兵隊も軍政上は海軍省に属することにはなるようです。

なんでアメリカ海兵隊が強いのか?
それは、「Semper Fi」(センパー・ファーイ)の精神です。
「常に忠誠を誓う」という意味のラテン語だそうです。
この場合の忠誠は合衆国(大統領)へのものだと理解されます。
「天皇陛下バンザイ」とほぼ同じような意味です。
そして、「The few, The proud」つまり「(われらは)少数精鋭」という心意気です。
「Once a Marine, Always a Marine」ということも彼らの間でよく語られます。
「一度海兵隊に入った者は、ずっと海兵隊だ」という気概です。
すごく兵たちの忠誠心と連帯感が強く、困難や恐怖を顧みない強い兵を育てるのだそうです。

日本人にとっても米海兵隊は恐ろしい。
太平洋戦争末期に硫黄島の死闘で、アメリカ海兵隊に押し切られた日本軍は玉砕を選びます。
摺鉢山に星条旗を打ち立てた海兵隊の銅像はみなさんもご存知でしょう?
海兵隊のバッジの意匠にもなっている「硫黄島の星条旗」です。
じつは、海兵隊草創期からもっとも多くの犠牲者を出したのが硫黄島の戦いだったのですよ。
だからアメリカ海兵隊が硫黄島を制圧した1945年2月19日は海兵隊記念日になっているくらいです。

その後、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争などありとあらゆる戦争に切り込み、多数の犠牲者も、ものともせず、勇猛果敢に前進していきます。

海兵隊の訓練は厳しいらしいです。
徹底的な自己否定で、命令には絶対服従を強いられます。
日本でもよく知られる「ブートキャンプ」ですね。
洗脳によって強力な兵卒を育て上げるのはアルカイダやISと変わりありません。
志願制ですが、第二次世界大戦とベトナム戦争は徴兵によって補充していました。
落伍者もたくさん出ます。
落伍者は顧みられません。
その後どんな人生を送るのかもわかりません。
「精鋭」とはそういう意味です。

『プライベート・ライアン』の「プライベート」についてここで書いておきます。
海兵隊では「プライベート」と言えば、一番下の階級の兵、つまり二等兵を指します。
だから「プライベート・ライアン」とは「ライアン二等兵」という意味です。
階級章もありません。

なんだか悲しいですね。

今日の毎日新聞に沖縄基地の海兵隊のことが書いてあります。
彼らの起こす犯罪が後を絶たない。
あんなにも厳しい訓練をした兵であるのに、そのストレスからかわかりませんが性犯罪や飲酒のうえの犯罪が多い。
それでも海兵隊員は犯罪と自分たちは無関係だと強調し、海兵隊がいるから安全保障が保持されているのだと言います。
なぜなら自衛隊には海兵隊のような戦力や知恵がないから役に立たないというのです。
彼らから見れば、自衛隊は戦う組織になっていないんだそうです。

そして長く海兵隊員として沖縄に駐留した経験のある、沖縄キリスト教学院大学大学院のダグラス・スミス客員教授(80)は、「地上戦で敵を殺さないといけない海兵隊では、敵は自分より人間の価値が低く『殺していい相手』と教えて罪悪感を抱かないようにせざるを得ない」と指摘するのです。
つまり海兵隊の体質が事件の多さと全く無関係ではないと教授は言うのです。

あたしは、むかついた。
彼らにとって「敵は自分より価値の低い」とみて殺すというが、その敵に沖縄県民が入っているのか?
駐留地の人間は「敵」であり、あなたがたより価値が低いのか?
冗談じゃない。
唾棄すべき言葉だ!
何が安保だ。
海兵隊はそんな殺人集団なのだから、わたしたち日本人が与する必要はない。
早々に帰国されんことを望むばかりです。

なお、犯罪を起こした海兵隊員は「不名誉除隊」として海兵隊を去らねばならない。
そして「不名誉(不品行)除隊」の履歴はずっとついてまわり、医療保険停止、市民権停止、銃所持制限が課せられるとか。
実際のところどうなんでしょうね。
無罪放免になっちゃってるんじゃないの?

だいたい上に書いたような「海兵隊戦力」が中国や北朝鮮へのにらみになるだろうか?
海軍基地や空軍基地ならいざしらず。
「海兵隊」である。
上陸や陸戦が想定できるだろうか?
できないとは言えないが、そういう戦略で対中・対北朝鮮を相手に戦えるかどうかです。
上陸作戦の合同訓練ばかりしているけれど、あまり意味のないものに思えてなりません。
税金の無駄遣いですね。