森田が、くっそ真面目な記事を入稿するので、あたしの卑俗さが際立つじゃないのさ。

松尾芭蕉は、あたしだって好きよ。
与謝蕪村の次くらいに好き。
一茶が三番目。

江戸期の俳諧の順位はそんなものですよ。
実際、ほかの俳人をあたしが知らないだけなんだけど。

森田君は、龍大の国文を専攻したとかしなかったとかで、教育委員会で考古学の発掘をやってるんだね。
そんでも下っ端だから、力仕事ばかりで大事な部分はなにもやらせてもらえないとこぼしてた。
それでも薄給で続けられているのは「好き」だからだって。

彼はとにかく古風で、昭和歌謡が大好きで(迷惑なんだけど)、しょうもないことをよく知っている。
そこは頭が下がります。
蔵書を見せない彼だけど、よく本を読んでいるようですね。

松尾芭蕉は生涯独身だったの?
あたしは知らなかったわ。
そういうことを考えもしなかった。
曽良(そら)と仲が良かったんで男色家だったのかとは思っていたけど、女性が一人いたのね。
ミステリーじゃないですか。
息子と思しき男性が、芭蕉の末期(まつご)の水を取ったとは。
「父さん」と呼んでみたかったが、その気持ちを心に秘めて、「師匠」として渾身の世話をしたのかも。
息子と思われる男性は俳諧とは無関係だったらしいから、門人というわけではないし師弟関係でもない。
それなら周りの門人が怪しむものだけど、実は彼らの関係をうすうす感じ取っていて、そっとしておいたのだろうな。

一方で小林一茶が日記に連れ合いとの肉体関係を詳細に記しているのは有名です。
何回交わったとか…
おっかしな人だねぇ。
ようするにヒマな人だったんだ。