将棋の対戦で初手を、先手は2六歩か、7六歩のいずれかを指すと思いますが、居飛車の場合、2六歩を選択することが多いでしょう。

とはいえ、7六歩、つまり角道(かくみち)を開く戦法も十分にあります。
「角換わり」という戦法です。

あたしの通っている碁会所で、碁をやらずにおじいさん相手に将棋ばかり指してます。
立花さんという七十ぐらいの男性とよく指します。

さて、今日はあたし先手番で「角換わり」という戦法で挑みました。
後手も3四歩と受けて立てば、早々に6六歩なんてせずに、2二角成り、後手同銀としてお互いに「角行」を持ち駒にします。
もちろん6六歩と角交換を嫌がってもかまいませんけれど。
実は先手が「棒銀」を選択した場合に、「角換わり」をしてから、その手駒の角を4五の筋違いに打って7八に引き、2三の位置に焦点を当てます。
こうして棒銀を厚く援護します。
これを「筋違い角・棒銀戦法」と言うのです。
先手▲7六歩より、後手△3四歩、以下、▲2二角成り、△同銀、▲4五角、△5二金右、▲3四角
45c

図は先手が4五に持ち駒の角を打ったところ。
先手の4五角打ち(下線)が後手の3四歩取りと6三角成りの「両にらみ」で好手です。
後手は仕方なく角成りを防ぐために5二金右としましたので、先手3四角で一歩得しました。

その後の後手△8四歩、▲8八銀、△4二玉、▲6六歩までは平凡な手筋です。
66f

後手は、自陣の飛車先の歩を伸ばして、一歩が欲しいわけですが、そうはさせない先手です。
一方、先手6六歩は角の引き場所をつくるためです。
6五に角を進めると攻撃にさらされやすいので、先手としてはその方向には角を進めたくない。
当初の目的は角を2三の位置に利かせるためでしたよね。
ならば7八に角を引く方針を変えてはいけません。
よって▲6六歩は当然の一着なんですよ。

続いて△8五歩、▲7七銀、△3二玉、▲2六歩、△3三銀、▲7八角まで。
78c

後手は順調に飛車先の歩を伸ばしてきます。
先手の8八銀は7七銀のための準備でした。
そうしないと、7六歩を「横歩取り」されかねないからです。
後手はこの間にも玉の囲いに努めています。
先手は、棒銀の準備として2六歩、後手3三銀で角を嫌がられたので、棒銀援護のための角を7八に控えさせます。

続いて△6二銀、▲6八銀、△4四歩、▲2五歩、△4三金、▲6九玉、△5四歩、▲7九玉、△2二玉、▲3八銀、△3二金、▲2七銀は先手「棒銀」の意思表示です。
27s

「棒銀」はとにかく前に銀将を繰り出すのです。
後手△7四歩、▲2六銀、△6四歩、▲3五銀と先手は好位置に銀を進めました。
35s

後手は歩切れで3四に歩をかぶせられなかったのです。
つまり、後手は1四歩と上げて1筋を防いでも、3五に銀が上がられてしまうことを防げません。
後手も△7四歩で桂馬を跳ねる準備をし出しました。
△6四歩も6二の銀の活用を見越してのことです。

以下、△7三桂、▲2四歩、△同歩、▲同銀、△同銀、▲同飛、△2三歩、▲2八飛と棒銀の戦いの火ぶたが切られました。
28h

後手の7三桂は気になるところですが、棒銀は早いほどよいので、構わずに先手2四歩と突きます。
後手2四同銀とせずに2三歩と塞いだらどうだったでしょう?
これは先手が同銀成りで王手となり、後手2三同金、先手同角成りで先手の「筋違い角」が早くも炸裂して、後手は火だるまです。
これでは早晩詰みますので、後手は2四同銀と取るほかないのです。

後手は、いよいよ△6五歩と突いてきました。
先手は、それを横目に、▲3四銀と打ちます。
7八の角筋です。
後手は同金と、銀を取ってきました。
ならば、同角で金銀交換です。後手の金を一枚守備からはがして先手良しです。
34dc

もはや後手は△6六歩などの攻め合いをやっている場合ではなくなりました。
▲4三金と打たれては、どうしようもないからです。
これを△同金などとすれば、ただちに▲2三飛成りで王手、△3一玉、▲4三角成りで後手は詰みます。
ゲームセットです。

そこで後手は、△4三銀と受けました。
先手は、角を可愛がって下がりますか?
ここは▲2三飛成りで王手と強気で行きます。
後手は同金しかない。
大駒を潔く切る大胆さが、将棋の面白さなんですよ。
もし後手が同金でなく3一玉と逃げたら、逃げれますか?
先手は△4三角成りと銀を取りますね。
そうなると後手は、龍か馬のどっちかを金で取っても、先手にも金がありますので頭金で詰みです。
だから△2三同金しかない。
先手は▲4三角成りとします。銀と飛車を交換したことになります。
先手は駒損ですがもはや終盤です、駒の損得より詰ますことが大事です。
後手は入手した飛車を3三に打って受けますが…
受けないと、▲3一銀と打たれて、後手玉は1二に逃げるほかなく、▲2四歩で金をはがしにかかれば、即詰みですね。
だから3筋を受けるのに△3三飛はまずまずの手なんですよ。
▲5四馬とか▲4四馬とかに歩を取って逃げる手は平凡すぎます(△5三銀とされるとうるさい)。
33h
ここは、先手▲4二金と打って詰の足掛かりをつくりましょう。
後手は△3一銀と受けます。
先手はこの銀を取ったらいけませんよ。△4三飛と馬を取られて非常にまずい。
▲3三馬と飛車を取り、△同金に(△同桂や同玉でも詰みに持っていけます)、▲2三歩が厳しい。
なぜなら2三に玉を逃がすとやっかいだから、△2三同金と取らせて玉頭を閉じさせます。
23f
後手が2三同玉とすれば、3一の銀がタダになるので、△2三同金とするんですね。
先手は取った飛車を銀の腹の4一に打ち込みます。
後手は△4二銀と金を得て、ならば▲同飛成りと王手とし、△3二歩と合わせます。
先手は玉に対して「一間龍」という良い形にしました。
もはや、寄せる段階です。
▲3一銀、△1二玉、▲3二龍、△2二角、▲同銀成り、△同金、▲2三銀までで先手の勝ちです。
以下投了図です。

23s

感想戦では、後手の立花さんが6二の銀が飛車の横利きを邪魔して詰まされたとしきりに残念がっていました。
せめて5三銀と上がっていたらなんとかなったのになぁと白髪頭を掻いていました。
本譜はあたしにとっても非常に勉強なったので残しておきます。