1911年1月24日幸徳秋水が旧刑法73条によって絞首刑に処せられた(享年39歳)。
これを「大逆事件」といいます。
旧刑法73条には、
「天皇、太皇太后、皇太后、皇后、皇太子又ハ皇太孫ニ対シ危害ヲ加ヘ又ハ加ヘントシタル者ハ死刑ニ処ス」とあります。

これを「大逆罪」と呼びました。
幸徳秋水は自由民権運動に参加し、当時の桂内閣の元老、山縣有朋にマークされていた。
社会主義者幸徳伝次郎(本名)ら二十六名が天皇(明治天皇)暗殺を企てた廉で、しょっ引かれ、首魁幸徳伝次郎以下十二人が刑法73条(当時)により大審院の判決だけで死刑が確定した。
まったくのスピード判決で三審制も無視されて、今の最高裁に当たる「大審院」だけで死刑が決まったのである。
幸徳秋水には反論の機会が与えられなかったのである。

山縣有朋は天皇を頂く理想国家を目指しており、社会主義者を蛇蝎のごとく嫌っていた。

書類送検の内容では、幸徳らが隠し持っていた爆裂弾が証拠品となっていますが、実際には、火薬と空き缶が押収されたのみで、爆裂弾という完成品ではなかったようです。
つまり山縣の命でなされた官憲の「でっち上げ」の可能性が高い。

安倍晋三総理大臣が推し進める「共謀罪」という新たな刑法はどうでしょうか?
テロ行為を未然に防ぐために、あらゆる捜査の可能性を示唆しています。
法務大臣やその周辺は、「一般人」にみだりに警察が捜査をしないと言いますが、それなら「共謀罪」がテロ行為を未然に防ぐには中途半端になる。
政府の言う捜査のやり方には矛盾があるんですよ。
疑いをかけられた人は、厳しい取り調べを受けるのでしょう。
その裏に「組織犯罪」がないかどうか調べ上げるのが「テロの準備」の立件に必要なはずです。
そうすると、テロ行為はだいたい反政府・反社会の考えを持つ人物がかかわっているわけです。
第二の幸徳秋水がいないともかぎらない。
沖縄の米軍基地反対運動や、原発再稼働反対運動なども「反政府」主義者の集まりだ。
安倍晋三はそう思って、今回の「共謀罪」法案衆院通過に並々ならぬ力を注いだに違いない。

この国ではデモもできなくなるのだろうか?