最低の国会が終わった。
安倍一党独裁の強権政治の一面を見た。
各紙の世論調査も出そろい、軒並み安倍首相の支持率は10ポイント以上低下した。
反対に不支持率は上昇した結果となった。
理由ははっきりしている。
森友学園・加計学園の「お手盛り」事件と、テロ等準備罪、共謀罪の法案成立を説明不十分なまま強行したことだろう。

国会は、文部科学省と内閣府の骨肉の争いにまで発展してしまった。
リーク文書の真偽を求める答弁に終始し、何が真実なのか国民にまったくわからない状況のまま幕が引かれた。
会期末に畳みかけるように、文科省からの証拠文書が出され、内閣府が否定し、最後は山本幸三(内閣府特命担当大臣)の「私が指示して追加文言(「広域的に」など)を書かせた」旨の容認で幕を引かせたのである。
「追加文言」を書き入れたとされる萩生田(はぎゅうだ)文科省官房は加計の人間で、この「獣医学部設置」事件では利益相反の立場じゃないか。
安倍・加計・萩生田は、お友達で、いっしょにバーベキューを囲んで談笑している写真まである。

なんという茶番。
最後は、会期延長をとにかく回避したい安倍首相の意向が強く働き、もうこれ以上、腹を探られるのが嫌だとばかりに、内閣府が折れる形で文科省との競り合いを終わらせたのだろう。

菅官房長官の「知らぬ存ぜぬ」答弁も、最後は怒気を含み、安倍首相への追従も辟易だという表情だった。
それでも彼は忠実に「安倍の犬」となって、口を割らなかった。
それは評価してやってもいい。
馬鹿な奴だ。

この程度の支持率低下は織り込み済みで、首相も政府自民党も、国会が終わって「やれやれ」感がいっぱいと見える。
文科省からリークされた証拠文書に対しての証明責任は内閣府にあるのに、一貫して「怪文書」だと決めつけ取り合わなかった。
もっとも菅官房長官は「怪文書」呼ばわりを謝罪したけれど。

野党の追及も、どうとでも言い逃れられるような追及で、目新しさはなかった。
ただ「うるさい」から文科大臣の重い腰を上げ得たのは評価してやってもいい。

思うに、こういう内閣を作らせたのはほかならぬ選挙民ではなかったか?
ほかに頼れる政党がない、首相がないという理由で、安倍氏を選んでしまったからだろう。
無関心な選挙民は投票を棄権し、そうして文句だけを言う。
自分の生活に関係のない国会が、乱暴に運営されたとしてテレビの中の茶番だと笑って済ませる人が多い。

あなたの生活は、安倍政権の下で良くなったのか?
大方の人が「まあまあだ」、「民主党なら、もっと悪くなっていた」と答えるだろう。
アベノミクスの効果が絶大ではないにせよ、ある程度の企業に勤めている正社員の懐を温めたかもしれない。
まだ恩恵にあずからない人々も、ニュースを見て「もうちょっと待ってみようか」と思わしめているのかもしれない。
安倍首相はそういうマスコミの使い方はうまいように思う。
世耕弘成(内閣官房副長官)がNTT出身で、マスコミ扱いに長けているからかもしれない。
騙される国民が馬鹿だからだ。

他方で、いまだ生活が安定しない母子家庭、非正規社員家庭などは安倍政権に失望している。
日本の世の中は普通に生活できる人と、できない人に格差が二分され、間(あいだ)がない。

戻って文科省の官僚たちは、本来ならば名を明らかにして、「怪文書」と呼ばれたものが真実であると公言すれば、政権にかなりダメージを与えられたかもしれない。
前川前審議官が顔出しでリークしたのは、菅官房長官が言うように、「天下り摘発」で辞めざるを得なかった前川の「腹いせ」だったのかもしれないが、前川のように自分の職を賭してリークできる官僚がどれだけいるだろう。
彼らも、国に飼われている人間であり、家に帰れば、住宅ローンや子供の進学などを抱えており、国に唾を吐くような行為はできない相談だ。
中央官庁に勤めるエリートにとって「既得権」は捨てがたい。
そんなものを簡単に捨てるほどの「正義」は、今回の問題では見えてこないのだろう。

かくして、安倍晋三は、辛くも立場を安堵した。
ここで、仮に解散総選挙をしても、安倍は勝つという自信を深めたはずだ。
それだけ、国民は舐められている。
あなたはそう思わないか?