本日付の毎日新聞朝刊に「イクメン」の悲哀が書かれていた。
この人が勤めている会社は「イクメン」への理解がまったくない典型的な日本企業らしい。
社内結婚し第一子が誕生し、男性の育休制度を利用しようと上司に申請したら、チクリと「子供は一人だけにしてくれよ」と言われたとか。

それでも、子供好きなのか彼ら夫婦は、第二子、第三子とつぎつぎに作っちゃった。
そのたんびに育休を申請する。
夫婦で。
彼の上司は苦虫を噛み潰したような顔で、これまでの育休をしぶしぶ認めてきたが、第三子のときはさすがに、「お前は、子供は一人だけだと約束したじゃないか、なのに三人目だと?噓つきめ」と言ってしまった。
彼の職場でも、その上司だけでなく同僚の間で、彼が育休を取るたびに、仕事のしわ寄せを食わされていた。
「嘘つき」とまで言われ、とうとう東北に単身で飛ばされた彼は、我慢ならず会社の労組に駆け込んだが、会社の息のかかった労組が彼の味方になってくれることもなく、彼の社内での立場は悪くなるばかりだった。

彼とその奥さんは、会社の対応に心底、絶望し、しかしそれでも会社にしがみついている。
三人の子育ては奥さんだけでは無理で、両親やベビーシッターの利用でなんとかこなしているそうだ。

さて、このような「作ったような」話だけれど、事実とすれば、あたしは、彼ら夫婦と会社双方に問題ありと見ました。
日本は子育て世代に冷たい社会だと、昔から言われております。
その前提で、こういった会社の対応は問題が多々あるとしても、普通に存在するのではないでしょうか。
それで、三児の父となった社員さんは、こういっちゃなんですが「恵まれて」いるほうだと思います。
だって、夫婦で同じ会社に奉職し、ベビーシッターも雇える。
お給料もそこそこダブルインカムでもらってらっしゃるとお見受けしました。
会社だって、社員の犠牲の上で業績を伸ばさないと競争に勝てない。
義務を果たさず権利主張ばかりしていては、人間関係もぎくしゃくするでしょう?
いくら少子化対策だから、女性に地位向上に資する男性社員の育休制度を後押しするとしても、この例だと会社が一方的に損害を被っている。
人が何人、子を成そうと個人の自由ですけれども、これでは会社に子育てを押し付けているようにも見えます。
個人の自由が全体を圧迫する逆差別ですね。
今の少子化対策がこういう問題を孕んでいることは、ずっと前からわかっていました。
しかし、大事の前の小事とばかりに、子育て支援こそ国威発揚と「錦の御旗」を立ててきた安倍政権です。
票がほしいばかりに、国民に聞こえのいい対策を陳列した結果です。
経済界も男性の育休に積極的でないと、世論の反発を食らいますので、「国是」にしたがって、しぶしぶ「育休」を認め、アベノミクス成長戦略に資するために賃上げに応じました。
こんな付け焼き刃施策が功を奏するはずもなく、中小企業では圧迫にほかならず、少ない社員で仕事を回している会社では男性の育休など画餅にすぎません。

社会が変わらないといけないとは、もうせん、言われてきたことです。
育児も介護もみな同根です。
会社の発展も見込め、社員も育休や介護休暇を取りやすくするような社会はどうしたら実現するのか?
育児離職、介護離職をやむなくされた人々は、いきおい貧困に転落です。

先の会社の「対応」は、やはり良くない。
上司も腹の中で思っていることを口に出してはいけない。
確かに忙しい時に「休ませて」と言われたら腹立ちますよ。
それをまず言っちゃいけない。
「休ませて」も回る仕事場にせないかん。
また、職場には子のない人や未婚の人もいる、そういう人は育休の恩恵に預かれないわけで、あおりを食うばかりだから、その配慮も必要だし、育休を取る側も当然のごとく権利主張してはぎくしゃくします。

人が大人になる社会であるべきです。
「おかげさま」の気持ち、人を思いやる気持ちをベースにした社会を作れば少しは笑顔が増えるのではないでしょうか?