機構を言葉だけで説明するのは至難です。
特許出願明細書を作成するには、こういう訓練も必要になるのです。
小説の文体訓練とは、また異なる切り口での文章修養です。

「ダブルウィッシュボーン」を言葉だけで説明してみましょうか。
「ダブルウィッシュボーン」とはクルマを趣味とする人ならご存知の機構ですね。
あたしは化学屋なので、ちょっとかじったくらいの知識しかありません。
「ウィッシュボーン」とは「鎖骨」のことであり、特に鳥類の場合「叉骨」と書き、今話題にしているのは鳥類の「叉骨」のほうです。
形が似ているからだと機械工学の先生は言います。
「A」の形をした「叉骨」風の部品を「ダブル」、つまり二枚使うことからこの名があるというのです。
この機構を表現するのに「V」型であればよいのですが、強度的に梁を入れる必要があり、「A」型に落ち着いたわけです。

てなわけで、アルファベットの「A」の形をした二枚の鋼製の部品で説明します。
【発明の詳細な説明】
「A」型部材を二枚用意し、車体とタイヤホイールを連結する部分の構成を「ダブルウィッシュボーン」機構と称する。
なお「A」型の上の一端を「頂点」とし、下の二端を「脚」と便宜上、称することとする。
この機構により、タイヤが路面から受ける上下運動の衝撃を車体に直接、伝達させずショックアブソーバー(緩衝装置)およびサスペンション(懸架装置)に導いて衝撃を緩和させることができる。
詳しくは、「A」型鋼製部材を二枚重ねるように路面に平行に寝かせ、両者の間には一定の間隔をあける。
当該「A」型部材の頂点に穴を開け、上下二つの「A」の頂点をピボットとして軸をボールジョイントで接続し、この軸の中点から直角方向に車軸を出し、転がり軸受を介してタイヤホイールと連結させる。
この軸はステアリング(かじ取り)機構と連結されている。
一方、「A」の脚部の方に注目して、この二か所の脚、ならびに上下で四か所の脚と車体側をつなぐが、それぞれ遊動するように軸を通し、二枚の「A」材が車体に対して上下に滑らかに摺動する機構とする。
この二枚の平行している「A」材は頂点のボールジョイントを支点に、地面の凹凸に応じてタイヤが上下する運動に連動する。
下側の「A」型部材に既存のショックアブソーバー軸の一端を固定し、ショックアブソーバーと連動させる。
※「A」型の部材の上側を「アッパーアーム」、下側を「ロアアーム」と呼ぶそうです。

この絵は、http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/0809/25/news152.htmlから拝借しました。

いやぁ、なかなか難しいですねぇ。
専門違いですんで、不適切な表現があると思います。

図の赤い「A」の字の部分が「ダブルウィッシュボーン」機構です。