ヒトの成長ホルモンはタンパク質です。
ほかのホルモンがステロイド系(男性ホルモンや女性ホルモン)なのと比べると莫大な分子量になります。
191のアミノ酸がつながった高分子です。
分子量を表すのに、タンパク質の場合ダルトン(Da)という単位を使います。
ヒトの成長ホルモンは22kDa (キロダルトン)だそうです。
「原子量」の概念を唱えたジョン・ドルトンの名にちなむんですが、日本では「ダルトン」と発音する習慣があるみたい。
「炭素12の質量が12Daである」と言います。
1g=6.022×10^23Da です。
6.022×10^23 はアボガドロ数ですね。

このたんぱく質が「成長ホルモン」だと言われるゆえんは、骨(軟骨)の成長を促すことと、タンパク質の合成を促すからです。
副次的に、代謝を促し、血糖値を一定に保つなどの働きもあるようです。
成長ホルモンが子供の時期にちゃんと分泌されないか、働かない場合、小人症になり、過多になると巨人症になると言われます。

また、成長ホルモンは就寝時に分泌されるので「寝る子は育つ」という諺にまでなっています。
もっともこれは偶然の産物かもしれませんがね。

運動すると成長ホルモンは高濃度に分泌されます。
これは筋肉の疲労損傷をリカバーするためだと考えられています。
激しい運動では当然、たくさん分泌されますが、消費も多くなって肉体成長に寄与しないというジレンマもみられますので、幼い時期の過激な運動は良くないと言われます。

成長ホルモンの分泌の多少を見極めるには、アルギニンというアミノ酸を使います。
アルギニンが成長ホルモンの分泌を促していることがわかっているから、アルギニンを静注して観察するのです。
アルギニンを注射し、約一時間で成長ホルモンの血中濃度が7ng/mlを越えれば正常です。

アルギニンはよくサプリメントで注目を浴びてますね。
肉体改造や、元気の素だとかいろいろ言われます。
確かに成長期にアルギニンが欠乏すると、貧弱な体になりかねません。
肉や魚、大豆、乳製品のたんぱく質に豊富に含まれているので、普通の食事をしていれば不足することはないけれど、ジャンクフードばかり食べていると確実に欠乏します。

アルギニンは分子内にアミノ基とイミノ基が存在し、塩基性がアミノ酸中、もっとも高いと考えられます。
アルギニンが単独で活躍するのは「尿素回路」でしょう。
体内で生成した有毒なアンモニアを無毒化(尿素に変える)して尿にして排泄する一連の化学反応系です。
アルギニンは酵素によりオルニチンと尿素に分解されます。
アルギニンはクエン酸回路で生成し、グルタミン酸からオルニチン、ついでシトルリンとなって再びアルギニンに戻ります。

このようにアルギニンさえ不足しなければ、オルニチンもシトルリンもちゃんと体内で作られるわけです。

そうしますと…
ペニス増大にシトルリンなんていうサプリがあるけど、そんな高価なものを買うより、肉を食えばいいじゃないですか?
休肝日にシジミ由来のオルニチンを取ってる人も、別にわざわざそんなものを買わなくても、アルギニンを食品から取っていれば必要ないですね。

アルギニン→オルニチン→シトルリン→アルギニン
と、ぐるぐる体内で回っているのです。

宣伝に騙されちゃいけませんぜ。
みんなあなたの体にあるものです。

もし食べ物でアルギニンを賄えないという事情があるなら「エビオス錠」を飲んでおきなさい。
これは安いサプリです。
歴史も古いし、膨大な人体実験済みだ。
安全です。
プリン体が気になる人はお勧めしませんけどね。
ビール酵母の粕(かす)なんで、核酸が結構入ってるんでプリン体も多いのですよ。
痛風になりやすいかもしれません。
ならない人もいますけれど。
あれは体質なんですよ。

じゃ、また。