6,6-ナイロンという高分子がある。
ナイロンには何種類かあるのだが、ナイロン繊維としてもっとも有名なものかもしれない。
※6-ナイロンというものもあり、ε-カプロラクタムの開環重合で得られる高分子で、パンティストッキングの原料でもある。

6,6-ナイロンの「6,6」とは炭素数のことなんですね。
最初の6はヘキサメチレンジアミン(H2N-(CH2)6-NH2)の「6」です。
メチレン基が六つあります。
その鎖の両端にアミノ基がそれぞれ塞いでいる。
そういう物質で、「ジアミン」とか「ポリアミン」と呼ばれる仲間です。
そしてもう一つの「6」はアジピン酸の炭素数のことです。
アジピン酸(HOOC-(CH2)6-COOH)というジカルボン酸です。
やはりメチレン基が六つあり、その両端をカルボン酸基が塞いでいます。

この二つの化合物(モノマーといいます)をある条件で反応させると、アミノ基とカルボン酸基が縮合してアミド結合を作って、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸が交互につながった高分子(ポリマー)になります。
これが6,6-ナイロンなんです。

ヘキサメチレンジアミンの仲間をご紹介しましょう。
ヘキサメチレンジアミンは粉末で、それ自体はあまり匂いません。
ところが一つメチレン基を減らした、ペンタメチレンジアミン(カダベリン)は、薄いと精液の匂いがします。
濃いと、死臭になります。
「カダベリン」とは「死の匂い」という意味です。
カダベリンは精液(スペルマ)の成分スペルミンから分解生成するもののようです。
スペルミン自体は匂いませんから。
なお、栗の花の香り成分からスペルミンの分解物が検出されています。
なるほど…

もう一つメチレン基を減らしますと、テトラメチレンジアミン(プトレシン)になり、これは肉の腐った匂い、つまり死臭そのものです。
こういうものはアミノ酸が腐敗菌によってさらに分解して生まれるようです。

ナイロンと精液臭、そして死臭…
それらは仲間の化合物がかもしだしているのでした。