水が4℃で密度が最大となることを「口頭試問」で書いたかもしれません。
密度とは単位体積当たりの重さですが、温度依存性があり、物の密度を比較するには温度を一定にする必要があります。

水は0℃で凝固点(氷点)を示し、100℃で沸点に達します。
これは摂氏(セルシウス)温度目盛りが水の凝固点を0℃として、そこから沸点の間を100等分するという約束で作られているからです。

ふつう、物質は温度が上がると密度が小さくなります。
反対に温度が下がると密度は大きくなるのです。
また、固体(結晶)のほうが液体の時より密度は大きくなるはずですが、水は固体のほうが密度が小さいという特異性があります。
みなさんもご存知の通り、当然「氷」の密度のほうが小さく、「水」に浮きますね。

ところがですよ、氷点0℃から4℃にかけて、詳細に密度を追いかけていきますと、奇妙な現象に出くわします。
つまり、0℃から4℃までの水の密度の上昇が進み、4℃を過ぎると再び密度が小さくなっていきます。

氷の密度が小さいのは、水分子の水素結合による正四面体配列のせいです。
この配列ですと空間が大きく占め、体積が大きくなってしまうから密度が小さいのです。
氷点を超えると水分子は水素結合がところどころ切れて、分子が自由にふるまえるようになります。
そうすると「すき間」も小さくなり体積が縮小しますので密度が高まります。
もっと温度を上げていくと、水分子の運動は激しくなり、それぞれの分子の運動に占める空間が広がり、密度は小さくなっていきます。
沸点に達すれば水の分子の気化する量が急に増えます。

0~4℃は、水の分子同士の水素結合が、結晶(氷)からぽろぽろ外れだす温度であり、結晶を形作っていた空間がシュリンク(へしゃげる)する温度なんですね。
そしてそれは4℃をピークに空間がつぶれて密度が大きくなっていきますが、4℃を超えると、今度は自由になった水分子が活発になって、分子の運動が占める空間が大きくなってくるから密度が小さくなっていくのです。
だから、水は4℃がもっとも密度が高い(重い)のだと言えるのです。

この性質が、「水の惑星」である地球の生物に極寒の水中で生き延びる機会を与えました。
つまり、冬の湖沼ではその水面から凍っていきますね。
外気が氷点下だからです。

しかし、水は比熱が大きく、暖まりにくいが、冷えにくいという性質もあります。
そこで水面の氷点が湖底に達するまでかなり時間を要します。
水は0℃に達すれば固体になりますが、4℃付近の水なら液体を保っているはずです。
液体の水だと対流による攪拌(かくはん)効果、つまりかき混ぜ効果が見込めます。
この原動力が比重差なんですよ。

4℃の水は重いから、湖底に沈みます。
すると温度のいくぶん高い、湖底の水は浮き上がります。
浮き上がった水は湖面付近で氷に触れ、また4℃の重い水になりますから、また下向きに降りていきます。
この対流によって、湖沼の水の凍結が遅らされ、そこに住む生物は凍死せずに済むのです。

あたしは、この水の惑星「地球」が、たまらなく好きです。