高速で煽られて、トラブルになる事件がたくさんあるらしいことが連日報道されている。
あたし、思うんやけど「相手見て注意せなあかんよ」と言いたい。
ああいう「ややこしい人」と関わるのは極力避けるのが「大阪人」の生き方なんだよ。
それはもう幼稚園のころから叩き込まれる。
地域の「危ない人」の見分け方と、身の処し方を「読み書きそろばん」の前に、親から教わる。
銭湯にいけば「入れ墨の人」をジロジロ見てはいけないとか。
あたしが「からくりもんもん」のおっちゃんの背中を銭湯で「ガン見」してたら、
「きれいやろ、嬢ちゃん」
「うん」
「こうやってな、風呂に浸かってあったまるとな、この吉祥天(きっしょうてん)さんが桜色になるんや」
「へえ」
てなことをやってると、お父ちゃんが青い顔して、
「兄さん、すんまへん、娘が失礼しまして。こらなおこ、あやまれ」
「え?」
「ああ、かまへんね、お嬢ちゃんには美的感覚があるらしい。もんもんをほめてもろたら、わしもうれしい」
「すんません、すんません」
父は恐縮してタオルで前を隠しながら、深々とお辞儀して、あたしの手を引っ張ってお風呂から出た。
そういう体験が、「触らぬ神に祟りなし」という大事なことを子供に教えることになるんやね。

あたしは大人になり、車の免許を取り、大阪と京都で「車社会」を経験した。
ひとびとは車の外観で勝負するのだ。
ダンプがいちばん強くって、そのつぎが外車のベンツで、その次が改造車とかハイソカー(高級セダンの中古を若い衆が乗り回してるやつ)で、その次がヤンキーの軽四と原チャリで…
そういうカーストの中で車を転がすのは、「譲り合い」と「作り笑顔」で切り抜ける。
怖いシャコタン車には先に行ってもらう。
「長い物には巻かれろ」という諺(ことわざ)も実地で覚えるのよ。

変な話、「煽られた」のにはそれなりの原因があることを知らなければならない。
こういっちゃ「いじめ」は「いじめられる方にも落ち度がある」という理論になって、良くないのはわかっているんだけど、車社会はそうなのよ。
正論では反撃を食らって泣き寝入りになるのがオチなのよ。
いやなら車に乗らなければいいとしか言いようがない。
防げないの。
ヤクザもカタギも、さながら銭湯のように同じ土俵に上がってるんだから。
学校で習った常識など通用しない。

そういうもんよ。
あたしが悪いんじゃないのよ。
いろんな対応策をテレビでは言ってるけど、逆上したあいつらに通用するものは、ひたすら下手に出てあやまって、持ち上げてお引き取り願うしかないし、注意なんてしたらあかん。
普通の人じゃないんだから。
着ているものや車の様子で察しなさいよ。
近寄ったり、話しかけたりしたらあかんのよ。