塾で中三の村田聡子さんから「メルカリの現金売買事件のからくりがよくわからないので教えてほしい」と言われた。
あたしも事件の経緯を知らなかったので、毎日新聞などを調べたら、現金(記念硬貨で通貨として有効なものや有効な旧札)を額面以上の金額でメルカリという出品サイトに出品し、売買取引したことで出資法違反に問われた出品者が逮捕され事件でした。
つまり出品者は、たとえば政府(日本銀行)が発行した額面十万円の記念銀貨を十五万円で出品するわけです。
※日本銀行は日本銀行券(紙幣)を発行しているが、硬貨は日本政府が発行している。
https://www.boj.or.jp/note_tfjgs/note/outline/index.htm/
買い手には借金があって、とにかく今すぐ十万円の現金が欲しい人なんですよ。
その買い手がこの銀貨を購入すれば、とりあえず「十万円」の額面は記念銀貨としてすぐに手元に届くのです。
この銀貨で借金を返せばいい。
でも村田さんは、
「その買い手さんはお金がないのですよね。もし十五万円の売値の銀貨を買えるお金をもっているなら先にそれで借金を返せばいいじゃないですか?」
と、とても当たり前の疑問を呈したんですね。
そりゃそうだ。
「聡子ちゃん、じつは、この買い手さんは、お金を払っていないのよ」
「え?」
「クレジットで、つまりカード決済で買ってるの」
「はあ…」
「だからね、聡子ちゃんはまだ中学生だからカードでなんかお買い物したことがないだろうけど、現金を持ってなくても、たとえば来月払いということで今すぐほしいものが買えるのね」
「うん、ママがそうやって買ってた」
「でしょ?するとね、それまで買い手さんが借りてた貸主にはとりあえず銀貨で返済して、借金は消えたように見えるよね」
「うん」
「でもカードで買ってるから、銀貨の売り主、つまりメルカリに出品した人との間に新しいお金の貸し借りの関係ができたのよ」
※実際は被害者が多重債務者であることが多く、家族のクレジットカードのショッピング枠で購入するのである。ショッピング枠を直接現金化することは現在禁じられているので、何か商品を購入する形にせねばならないのである。
「うわ」
「それもね、最初は十万円の借金だったのが、こんどはこの売り手さんとの間では十五万円に膨れ上がってるでしょ?売り手は、十万円の銀貨を売って十五万円分の債権を得たってわけ。債権というのはね、買い手に支払いしてもらう権利のことなの」
「ほんとだ」
「これは銀貨の売買の名を借りた、新手の高利貸しなのよ。だから法外な利子を取ったとして出資法という法律に違反したので出品者はつかまっちゃったのよ」
「わかった」
「聡子ちゃんも、大人になったら気をつけなさいよ。こういうワナが社会にはいっぱい仕掛けられてんだからね」
「うん」
このように、すぐに現金が欲しいという「スキ」をうまくついた詐欺行為は後を絶たないのです。
よく警察が立件したなと、あたしもこの記事を読んで感心したし、それよりもこういう犯罪を考えつく犯人にも驚いたわ。
メルカリも警察の指導で、すぐさま現金や有価証券の出品を禁じる手続きをしているようだが、この手の犯罪は手を変え、品を変えて出没するものです。
「ロッキード事件」の「ピーナッツ」や、パチンコ店の換金目的商品の「テグス糸」のような符丁の品物を取引者同士で口裏を合わせ、マネーロンダリングに利用するなどなんとでもなるからです。
規制を厳しくすれば出品する者が困惑し、健全な売買をも硬直化させてしまいかねません。
あたしも事件の経緯を知らなかったので、毎日新聞などを調べたら、現金(記念硬貨で通貨として有効なものや有効な旧札)を額面以上の金額でメルカリという出品サイトに出品し、売買取引したことで出資法違反に問われた出品者が逮捕され事件でした。
つまり出品者は、たとえば政府(
※日本銀行は日本銀行券(紙幣)を発行しているが、硬貨は日本政府が発行している。
https://www.boj.or.jp/note_tfjgs/note/outline/index.htm/
買い手には借金があって、とにかく今すぐ十万円の現金が欲しい人なんですよ。
その買い手がこの銀貨を購入すれば、とりあえず「十万円」の額面は記念銀貨としてすぐに手元に届くのです。
この銀貨で借金を返せばいい。
でも村田さんは、
「その買い手さんはお金がないのですよね。もし十五万円の売値の銀貨を買えるお金をもっているなら先にそれで借金を返せばいいじゃないですか?」
と、とても当たり前の疑問を呈したんですね。
そりゃそうだ。
「聡子ちゃん、じつは、この買い手さんは、お金を払っていないのよ」
「え?」
「クレジットで、つまりカード決済で買ってるの」
「はあ…」
「だからね、聡子ちゃんはまだ中学生だからカードでなんかお買い物したことがないだろうけど、現金を持ってなくても、たとえば来月払いということで今すぐほしいものが買えるのね」
「うん、ママがそうやって買ってた」
「でしょ?するとね、それまで買い手さんが借りてた貸主にはとりあえず銀貨で返済して、借金は消えたように見えるよね」
「うん」
「でもカードで買ってるから、銀貨の売り主、つまりメルカリに出品した人との間に新しいお金の貸し借りの関係ができたのよ」
※実際は被害者が多重債務者であることが多く、家族のクレジットカードのショッピング枠で購入するのである。ショッピング枠を直接現金化することは現在禁じられているので、何か商品を購入する形にせねばならないのである。
「うわ」
「それもね、最初は十万円の借金だったのが、こんどはこの売り手さんとの間では十五万円に膨れ上がってるでしょ?売り手は、十万円の銀貨を売って十五万円分の債権を得たってわけ。債権というのはね、買い手に支払いしてもらう権利のことなの」
「ほんとだ」
「これは銀貨の売買の名を借りた、新手の高利貸しなのよ。だから法外な利子を取ったとして出資法という法律に違反したので出品者はつかまっちゃったのよ」
「わかった」
「聡子ちゃんも、大人になったら気をつけなさいよ。こういうワナが社会にはいっぱい仕掛けられてんだからね」
「うん」
このように、すぐに現金が欲しいという「スキ」をうまくついた詐欺行為は後を絶たないのです。
よく警察が立件したなと、あたしもこの記事を読んで感心したし、それよりもこういう犯罪を考えつく犯人にも驚いたわ。
メルカリも警察の指導で、すぐさま現金や有価証券の出品を禁じる手続きをしているようだが、この手の犯罪は手を変え、品を変えて出没するものです。
「ロッキード事件」の「ピーナッツ」や、パチンコ店の換金目的商品の「テグス糸」のような符丁の品物を取引者同士で口裏を合わせ、マネーロンダリングに利用するなどなんとでもなるからです。
規制を厳しくすれば出品する者が困惑し、健全な売買をも硬直化させてしまいかねません。