海流の加減で砂洲が発達するのか、この島には見事な風景が広がっている。
砂洲

砂洲の先に島があれば「陸繋島(りくけいとう)」を形成するのだが、残念ながら砂嘴(さし)の状態でとどまっている。

私は、灯台から離れて散歩をする。
サンゴ礁はよく発達して、この砂洲を形づくっている砂もサンゴの死骸だ。

漂着物も多く、流木にはカツオドリが羽を休めていたりする。
カツオドリ

太陽が南中に差し掛かるころ、パンノキの木陰で私は持ってきた硬いパンと水筒の真水で軽い昼食をとる。
この木もそうだが、アダンやタコノキなど、南の島を代表する木々がすぐ手の届くところに繁っている。


椰子(やし)も海岸沿いには密生していて、倒木もある。
嵐の通り道にある島なので、風で椰子などひとたまりもなく倒されるのだが、このとおりそれでも生きている。
椰子

灯台の北側には入り江があって、小さな川もある。
マングローブの林が海岸を覆っているので、地形がよくわからない。
潮が引くと、干潟が現れ、カニがたくさん見られる。


この島の地質はサンゴ由来の石灰岩質だけではなく安山岩の土台が存在するようだ。
駐ナウル・オーストラリア海軍発行の地図によれば、最高峰のアルファ峰が標高238メートル、ベータ峰が標高192メートルと東西に長いこの島の背骨を形成している。
山体は安山岩質でかなり硬く「メサ」と呼ばれる地形である。
条約により、この島の名を明示することができないが、地図にははっきりと示されているし、私の灯台の部屋の壁にも、古く変色したこの島周辺の海図が貼られていて、島の緯度経度もわかっている。
実はこの島の名前は複数あって、領有権を主張した国々によって命名された経緯があった。

いいかげん腹がくちくなって、私は木陰で寝てしまった。
「天国に一番近い島」とはニューカレドニアのことらしいが、私にとってはこの島がそうだと思う。