面接官が応募者に尋ねる質問がバカげている。
「あなたを動物に例えたら?」
「あなたを色に例えたら?」
「あなたを漢字一文字で表すと?」

などなど、何を知りたいのだ?
「わたし?そうねぇ、ウアカリかしら」
なんて答えたら、あんたウアカリって知ってるか?
あたしは知ってるから言ってるんだけど。
ヘタすると、自分の「もの知らず」を露呈することになるよ。
「わたしはねぇ、プラナリア」
どうだ?
判断できるか?
「たぶんエラブウミヘビだと思う」
といった彼女は、なかなか掘り出し物かもしれない。
「アメショかな、ソマリかも」
ネコ系は濃いぞ。

色に例えると、あたしなんか「ビリジアンね」と言うたる。
「どっちかと言うたらバーントシエナかな」
「たぶんね、縹色(はなだいろ)か利休鼠(りきゅうねずみ)」
何色かわからん会社はこっちから願い下げだ。

そんなことで人を測るのがおかしいのだ。

私も会社の面接官をおおせつかったことがあるが、そんな質問はしない。
「あなた両手使える?この六角レンチセットでここにあるボルトをこの板に締め付けてごらん」
そういって、ばらばらっと大きさの異なるキャップボルトを数個置いてやる。
その手の早さを見る。
「ここに瞬間接着剤と二液エポキシ接着剤があるけど、この割れた茶碗を修復してみて」
そうして、どっちの接着剤を選び、どう使うかを見る。
仕事に直結することしか訊かないし、見ない。
高卒であろうが、日本語が怪しかろうが、茶髪であろうが、キラキラネームであろうが、オネエであろうが、手が早くって、器用な人を選びたいのだ。
「あたし、ハイエナかな」
大いに結構。
ブチハイエナやヒメアリクイ、モモンガーなんでもござれだ。
「一字で表すとしたらね、湾かな」
「え?わん?犬かな?」
「ううん、大阪湾とかの湾」
「こりゃまた、すごいのが来たぜよ」
この娘、採用!