生物の自然淘汰説、ダーウィニズムの最近の論調は、「繁殖力の強い個体が生き残る」というものだった。

いかにたくさん子供を産ませるか、またはたくさん子供を育てられるか。
またそういう環境に育つことができた幸運などが後の繁栄につながるのだ。

ネアンデルタール人が森林の生活から危険の多いサバンナに出てきたのは、追い出されたからだ。
だから二足歩行に有利な体つきになった。
なにも好んで二足歩行になったわけではない。
だって、四足歩行の方がマントヒヒのようにスピードにおいて勝るからだ。
二足だと速くてもウサイン・ボルト程度だ。
陸上では極めて足が遅いと言わねばならない。

食べ物が自力で得にくいサバンナに降り立った原始人類は、犬歯が小さくなってしまった。
犬歯は肉食にはなくてはならないものである。
また生存競争における武器としても働いた。
その犬歯が小さくなってしまっている。
我々だってそうだ。
裁縫の時に糸を切る程度の働きしかしない。

ひとつに彼らの社会が平和になったということが推定される。
争うことが無くなった。
もともと争いは「メスの獲得」目的がほとんどで、一夫多妻状態が猿人一般だった。
しかしネアンデルタール人あたりから、一夫一婦制になったふしがある。
メスを争う必要が無くなった。
社会が成熟してくると、夫を、妻を一生の伴侶としてみるのである。
食べ物を分け合い、弱いものを守り、社会で子育てをするという合理的な繁栄の礎ができたとみるのである。
子孫繁栄を理由としたオスの浮気性は残ったものの、それを批判する勢力もでき、社会秩序が生まれるのだった。
二足歩行と犬歯の退化からそんな原始人類の生きざまが浮かび上がる。

しかし「繁栄」のためには「生殖」は切り離せず、交尾、いやセックスは大変大事な行いとなる。
女は男に孕ませてもらわなねばならない。
男には繁殖力が求められ、さらに経済力が求められた。
繁殖力はすなわち「体力」であり、経済力は「頭脳」である。
人類の脳容積は飛躍的多きくなり、大きいとその脳を養うのに、大量の食糧を要した。
脳の発達は「使わない有料アプリをたくさんダウンロードしたスマホ」のようなもので、養うのが大変で無駄の多いものだと『絶滅の人類史』の著者、更科功先生が例える。
絶滅の人類史

テングザルというサルがいる。
彼らのオスは下に垂れるほどの大きな鼻を持っている。
またそういう鼻の持ち主ほどメスにモテるそうだ。
大きな鼻のオスは、睾丸も大きいという。
ということは、大きな鼻のオスは「繁殖力」があるとメスも判じるわけで、より大きな鼻の「イケメン」がメスに選ばれ、子をなす。
その子がオスならば、父に似てやはり鼻が大きいだろう。
ついにテングザルは鼻の大きな個体が繁栄を極め今に至る。
鼻と性器が連絡するのは、鼻が顔の中心に存在し、メスの目に留まりやすいからだろう。
この一見、なんの関係もなさそうなものを進化は巧みに関連付け、メスとオスをくっつけるシグナルとした。

われわれにも、都市伝説的に「鼻の大きな男は男根も大きい」という言われがある。
これはもしかしたら、「鼻の大きな男は睾丸がでかい」のかもしれない。
睾丸が大きいオスほど生殖能力が高いことは医学的にはっきりしていて、そのために泌尿器科などでは睾丸ゲージなるものが存在する。
医師は、あまりに小さい睾丸だと病気を疑うのだ。
最近は精子の老化が問題視されてきている。
不妊の原因が男女両方にあるという裏付けにもなっている。
「老いてますます盛ん」と笑っていられない。
若い男子がすでに精子の老化をきたしている事実は由々しき問題ではなかろうか?
生活習慣が劣悪なのである。
成長期に成長ホルモンや性ホルモンを十分に分泌せず、ジャンクフードと炭酸飲料ばかり飲み、ゲームやスマホで深夜から早朝まで遊んでっ性器の劣化を速めていたのだ。
彼らは私の同級の男子が若い頃より、恋愛どころかオナニーにも無頓着で、勃起もせず、性欲も湧かないらしい。
したがって包茎短小で精子の不活性な、つまらない男に成り下がっているとは言いすぎか?

テングザルに話を戻すが、テングザルは今、絶滅の危機に瀕しているそうだ。
話が矛盾しているだろう?
鼻が大きくて繁殖力が強くなったテングザルがなにゆえ絶滅しそうになっているのだ?
それは環境問題である。
環境の変化は生物に容赦しない。
青天の霹靂はいつでも起こりうる災難だった。
地球環境は有史以来、劣悪の一歩をたどっている。
その一端を人類が負っているのは否めない。
いかに性器が立派でも、滅びるのである。
盛者必衰である。
更科功氏の先の著書でジブラルタル地方のことが触れられていた。
この地がイギリス領になったときからの領民の生き死にの記録が詳細に残っているそうだ。
ここには支配階級と貧民の二極化が進んでおり、支配層は高台の見晴らしのいい場所に邸宅を構え、一方で貧民は土地の低い、衛生状態の悪いところで暮らしていた。
もともと水の乏しい土地で、支配層は雨水を貯める池を所有して水不足に対応していたものの、下層民は汚い水での生活を強いられてきた。
いったん干ばつに見舞われると、貴賤を問わず水不足にさらされるジブラルタルである。
水が無くなるとまず支配層が亡くなる。
下層民に汚い水を分けてもらってでも生活しなければならないが、その水によって病気になって結局、命を落とす。
結果どういうことになったかというと、支配層が死に、貧民が生き残るという逆転が起きた。
貧民は普段から汚い水で生活しており、抵抗力もあり、生き残れたのである。
良い暮らしを手に入れた者が勝者ではなかったのである。
生活水準の劣悪な者が勝ち残るという好例だと更科氏が紹介してくれた。

人類は他の霊長類に比して体に対するオスのペニスが大きい。
これはそういうオスをメスが選んできたからだという。
私は信じないが、あながち否定する理由も持たない。
私たち女が男のペニスを今ほど見る機会は過去にはなかった。
今はモザイクなしのAV画像がいくらでも見ることができるので、女の方も知識はある。
またフリーセックスで、今は夫一途という妻も、実は結婚前に数人と関係していたということが珍しくない。
まして不倫流行りである。
女とて、実物のペニスを「何本」も見る機会があるのである。
やっと、ペニスでパートナーを選ぶ時代が来たのかもしれない。
それでも、そのことが巨根時代に突入したとは早計にすぎないか?

女はやはりペニスで男を選びはしない。
ペニスの大きな男が繁殖力を伴っているという図式がはっきりすれば、そういうこともあるだろうが、付き合う前に「見せて」とも言えず、一度ベッドを共にしてから決めるということになるだろうか?

※実は、ペニスの大きな男性は体格もよく、成長期にスポーツをしてちゃんと男性ホルモンを分泌し男らしい体を手に入れている。思春期に栄養不良で睡眠不足で生活習慣の悪かった男性が貧弱なペニスを持ち、繁殖力が乏しいのは理由のないことではない。