ホーキング博士が亡くなった。
私は化学会社に勤めていたころ、この博士がすごいらしいことを知って、本を買った。
ホーキング
これがその時の本だ。
今も手元にある。
宇宙のことについて私は、あまり興味がなかったというか、遠い世界の話だと勝手に思っていた。
それは今も変わらないのだけれど、宇宙のことを知りたくなったきっかけにはなった人だ。
それまではカール・セーガン博士の『COSMOS』がもっぱら私の宇宙観を育ててくれた。
※ホーキング博士のこの本の序文は故カール・セーガン博士が書いているのだ!

もっと根源的な、宇宙の始まりについての考察はホーキング博士の解説がそのころもっとも先端でわかりやすい(?)ものだった。
超ひも論なんかにも触れられていて、トポロジカルな話も面白かった。
ただ「ほんとにそうなの?」という気持ちは今も残っている。
アインシュタインの相対性理論、エドウィン・ハッブルの「遠ざかる宇宙」はSF映画を観るにつけ、気になるから、男子に訊いたりすると、まあいろいろしゃべってくれちゃって…
工学部の男性なんてのは、子供のように宇宙の話をするのね。
憧れもしたけれど、あきれもした。
「オタク」という言葉はなかったと思うけれど、そういう男子がごろごろいたわけです。

工学部では宇宙についてなんて授業はない。
ただ量子力学とか原子物理学が必修だった。
ここに、ささやかながら相対性理論やローレンツ変換なんてのが出てきて面食らう。
学友たちは「おお」と感嘆の声を上げていたけれど。
私はひとり「ポテンシャルの壁」を突き抜けられず、単位を落とし、三回生でやっとこさ取った。
「ああ、トンネル効果が私に起こらないかしら」と悩む、うら若き乙女だった(うそやろぉ)。

そうだった。
ホーキング博士が亡くなったのだった。
あのお体で、よくもまぁ立派な理論を打ち立てたひとだ。
脳だけで生きていたといってもいいくらい。
奥さんが献身的に支えておられたと聞く。
博士はいまこそ宇宙の旅に出て、その真実を目の当たりにしていることだろう。
もう縛るものは何もないのだから。
ご冥福をお祈りする。