私は、周平君にコーヒーをたててやり、お客用のカップに注いだ。
「おばちゃん。だったら、母さんは学生時代におれを産んだの?」
姉は息子になんにも話していないのだろうか?
「そうよ。大変だったのよ。あなたのお祖父さん、つまり私たちの父親が逆上してね、姉さんと周一さんを殴っちゃって、私はまだ中学生だったから、恐ろしくて逃げ出しちゃった」
姉は、日本女子大学に在学中に、今の旦那さんとできちゃって、健気に学業を辞めずに出産し、無事、四年で卒業を果たしたのだった。
そして、卒業してから間もなく姉たちは結婚式を挙げた。
よちよち歩きの周平君を伴って…
私には、そんな姉がまぶしく映った。
母が間に入って、父はしぶしぶ、二人の仲を認め、姉が学生で周平君を産んだとき、一番喜んだのが父だったことに、私は苦笑したものだった。

「そんなことがあったんだ…できちゃった婚じゃなくって産まれちゃった婚だね」
「うまいこと言うわね。でもね、みんなあなたが産まれたときは喜んだのよ。周一さんのご両親もね」
「子供ってそんなにかんたんにできるもんなの?」
「私は、できなかった」
「おじさんと、セックスしてるんでしょ?」
「…」
私は、絶句して周平君をまじまじと見つめた。
冗談で言っている様子ではない。
「まぁね。周平君は、こないだの私たちの寝室を覗いていたでしょ?」
「ばれたか…だって、あんなに声が聞こえたんだもん」
「そんなに大きな声だった?」
私は、顔から火が出る思いだった。
「それで、たまんないから、自分でやった…あのごみ箱の中身を見たんでしょ?」
真剣な表情で、周平君は尋ねてきたので、私もまじめに答えた。
「すごい量のティッシュだったわ。あんなに出るものなの?」
「わかんないけど、おれ、すごく出るんだよ。病気かな」
「おじさんなんか、ぴゅって出たら終わりよ」
「ううん、おれはびゅうびゅうとおしっこのように出ることがあるんだ」
「すごいね。若いからでしょ。たぶん」
「おばちゃん」
「なぁに?」
「さっき、お風呂で何してたの?」
やっぱり聞かれてたか…
「何って、体を洗ってたのよ。覗こうとしてたの?」
「おれの名前を呼ばなかった?」
「え?」
「聞こえたような気がしたんだけど」
「そら耳よ。呼ぶわけないじゃん」
私は、恥ずかしさからしどろもどろになっていたかもしれない。
まさか「あなたを想ってオナニーしてました」なんて言えるはずもない。
「今日さ、おじさん、いないし、エッチしない?」
「何を馬鹿なことを言ってるのよ。甥と叔母よ、あたしたち」
口ではそう言っている私だったが、願ってもない事件だった。
さっきの自慰行為の妄想が現実になろうとしているのだ。
周平君は、明らかに優位に立って、私をリードしようとしている。
その余裕は、もしかしたら童貞ではないのかもしれないと、私に思わせた。
周平君が立ち上がり、私の方に回り込んできた。
私が椅子に掛けたまま、彼はもう、その後ろに立っている。
「ね、おばちゃん」
ぞくっとする、ささやきだった。
「赤ちゃん、できないのなら、おれが協力するってのもありでしょ?」
「それは…」
「ほしいんでしょ?赤ちゃん」
「ほしいけど、だめよ。あなたは甥っ子なんだから」
「かまわないじゃないか。おじさんは種無しなんだよ。きっと」
なんてことを言う子だろう。
私は、周平君が恐ろしくなってきた。
「一度、やってみようよ。こないだ、おじさんと中出しでセックスしてるから、もしおれとの間で、子供ができても、わかんないよ」
すごいことを、彼は淡々と言いのけた。
「どっちの子かDNA鑑定しなけりゃ、わかんないよ」とまで言うのだ。
そうして、私のガウンの中に手を入れてきて、ブラの中の乳房に触れてきた。
ああ…
熱く、なめらかな少年の手のひらが私の乳房を包むようにもみしだく。
「だめだったら…」
私は精いっぱい、拒否したが、体が反応してしまっていた。
この若い甥に種付けしてもらえれば、子供が授かるかもしれない。
何度、主人としても授からなかったのだ。
賢い姉の息子だ、不足などありはしない。
「あなたの部屋に行きましょう」
私は陥落(おち)た。