カレドニアガラスというスズメ目カラス科の、いわゆる「カラス」がいる。
このカラスは、動物行動学上、極めて重要な鳥類として研究が進んでいる。
カラス一般に知能が高いということは、都心のごみをあさる様子を見ても明らかだ。

クルミを割るのに鉄道のレールの上に置いて列車に轢かせるというのもよく映像で見ることができる。
つまり彼らは、時として道具を使用するので知能が高いとされている。
鳥類はくちばしを巧みに使って、さまざまな生きる技を体得している。
ハタオリドリの巣作り、ダーウィンフィンチのサボテンのとげを使った虫取り(キツツキフィンチ)など、カラス以外にもくちばしや道具を巧みに使う種は存在する。

カレドニアガラスの脳容積は他の鳥類に比べてかなり大きいそうだ。
脳容積と知能の相関性はかなりあるらしく、原人と新人の差も脳容積に関係していると推測される。
もっとも脳の容積よりも皮質、ことに新皮質の発達の良し悪しで知能の格差が広がるらしい。

カレドニアガラスの道具は、穴の中の虫をほじくり出すための小枝で、まっすぐな適当な長さの小枝を選ぶと、その脇に出た節やさらに小さな枝を器用に払い、一本のまっすぐな棒に仕上げ、先端をフック状に加工するのだ。
この道具をくちばしにくわえて、穴の中の虫をひっかけて、引き出すのである。
もっと驚くべきことは、この道具を、彼らは一定の場所に隠し「後片付け」をするというのだ。
モズのように自分の「はやにえ」を忘れ去ってしまうこともなく、カレドニアガラスは自分が片付けた道具を再び持ち出して狩りに出かけるのである。

片付けられない私は、カレドニアガラス以下である…
情けない。

鳥類の能力は、わからないことが多い。
渡り鳥の航法の謎も、いろいろ推測されてはいるが、確たる証拠がない。
しかし、四月になれば、ツバメは確実にわれわれの家の軒先に現れる。
代替わりしているはずなのに、いつもの場所に巣作りを行うのだ。

またオウムやインコ、キュウカンチョウ、モズの仲間は声色を巧みにまねるので有名だ。
この能力もすばらしい。
まねるだけではなく、飼い主と会話するオウムもいるらしいから、会話の内容も少しは理解しているのではないだろうか?

私が疑問に思うのは、脳容積からしたらダチョウの脳のほうが大きいはずだ。
足は速いようだが、カラスより賢いようには見えない。
私が、ダチョウの賢さを知らないだけかもしれない。
ダチョウさんごめんなさい。
だって「駝鳥」って書くんだよ。「駄馬」の「駄」ではなくてよかったわね。
「駱駝(ラクダ)」に似ているから「駝鳥」なんだそうだ。

鳥類がいくら賢いからといって、人類に匹敵するほど賢くはなれない。
おそらく手指が使えないからだ。
道具を自作するにしても「くちばし」を使うほかない。
物を握って、加工するという人類の最大の特徴は、大きな大脳を発達させた。
社会性もそこから生まれた。
とはいえ、大きな脳というだけならイルカはどうなるか?
イルカは手指がないが、知能はかなり高い。
彼らは会話する。
そうやって社会性を身に着けたため、脳が大きくなったのだ。
手指がもし使えたら、イルカも人類並みに、水棲人として海中に君臨したかもしれない。
そういったSF『マリンスノーの伝説』(松本零士)というものもあった。

カラスが「スズメ目カラス科」だなんて、私、この歳で初めて知りました。
スズメの仲間なのね、カラス。
分類学ってわからへんわぁ。

鳥類として地球上には1万種余りいるらしいけど、そのうちスズメ目は半数以上の種に及ぶんだから、カラスがその傘下にあっても不思議ではないのだった。

現在の鳥類は恐竜から進化したものだとされている。
恐竜が絶滅していなければ、爬虫類や鳥類に高度な知能を持った種が存在し得たかもしれない。
『ハチュウ類人間』なんていうSF小説があったが、レプトイド(爬虫類人類)が存在してもおかしくないのだった。