朝日の女性記者が財務官僚の大物に度重なるセクシャルハラスメントを受けた事件で、舛添要一がその女性記者に対し「記者の矜持はないのか?」と責めた。
つまり、取材中に録音していることも伏せて、取材元の加害者の了解も得ず週刊誌にセクハラの証拠として密かに録音を開示したという行為に対してである。
舛添のSNS書き込みに対して、さっそく日本会議の広告塔である百田尚樹がぶら下がった。
「これは一種のハニートラップだね」と。
さも、女性記者が取材元の官僚を「ハメた」かのような書き込みだった。

こういった著名人が安易に被害女性(彼らに言わせたら官僚のほうが被害者だろうが)を貶める発言を露にすることは、世の中の趨勢に逆行するものだと、私は思う。
♯Me Tooの世界的なうねりは、女性差別、ことに性的嫌がらせをこれ以上助長させないことへの強いメッセージなのだ。
確かにこういった運動は「逆差別」を生み出すこともあろう。

舛添や百田のような下種(げす)は、「虎の威を借りる狐」であり、安倍政権におもねるあまり、こういった発言を繰り返すのだ。
彼らは「男の方が我慢してんだ」「女のヒステリーだ」と、女の言い分を苦々しく思っているのだろう。
そしてどうやら、彼らのような男性は日本の多数を占めているらしい。

右翼でもない「超保守」の「日本会議」が、ボロボロの安倍政権を滑稽なくらいに持ち上げ、「日本を救えるのは安倍晋三しかいない」ようなことを、口幅ったくも言い、書きもしてきた。
なんでそうなるのか、私は疑問符が百個くらい付いてしまう。
声が大きいだけじゃないか。
答弁はしどろもどろで、滑舌も悪い安倍の言動のどこが褒められたものなのだ?
「ほかに任せられる人がいない」という世論の答えも、勝手な言い草だ。
旧民主党の体たらくを例に出して、日本はあれでめちゃくちゃにされたと言うが、それは安倍晋三の受け売りだろう?
確かに民主政権には変な首相もいた。
彼によって沖縄基地問題は、ますます混とんとしてしまった。
とはいえ、東北の震災の処置はどの政権でも「上手くやれた」かどうかは不明だ。
原発の問題はかえって自民政権になってから、ねじれてしまったのではなかったか?
再生可能エネルギーの国家戦略があいまいになってしまったのは自民党のせいではないか。

沖縄の基地問題は、棚上げし続けてきたものがその「重み」で棚がたわんでしまった結果であり、早晩、沖縄県民の憤懣が爆発するだろうと識者は思っていたはずだ。
なにも「宇宙人」首相だけのせいではなかった。

「安倍のほかに人材はいるはずだ」という考えに国民がならねば日本の将来はない。
官僚のセクハラを本気に捉えない安倍政権、お友達にお手盛りするような安倍政権、不祥事を糊塗する安倍政権、そして「トカゲのしっぽ切り」を露骨にやる安倍政権である。
旧民主党政権よりも邪悪で、自己弁護に終始し、悪事もロッキード事件やリクルート事件に比べたら小さいものだ。
なにしろ、学校の設置という経済的にも小規模で個人的なものだからだ。
だからか、政府自民党も「なんでこんな些細なことで国会が空転するのか?」わからないのだろう。
思わず問題が大きくなって、困惑しているのは安倍自身なのかもしれない。
官邸のあわてぶり、官庁との不協和音がそれを示している。
とうとう自民党内からも安倍総裁に不満をあらわにする者もでてきた。

私は一国民としてこのような国会の空転を喜ばしいものとは思わないが、このような恥ずべき政権が永らく日本のかじ取りをしていることの方が、将来に禍根を残すと思う。

国を憂いて保守になっているのなら私も我慢するだろう。
そうではないではないか。
もっといけないのは、安倍がことあるごとに「国民を守り、国民の財産を守り切るため」だと、なんでもかんでもそこにこじつけ、世論を自分に向けようとすることだ。
あなたは「そうだ」と肯定しているのか?
気持ち悪くないのか?

彼の考えた改憲案など、自ら議論するつもりもないのだろう?
強いこの時期に一気呵成に憲法を改正(改悪だが)するのだと息巻いているのである。
国民が左翼を嫌うのは、私は別に構わない。
しかし、この「超保守政党」をわかりもしないのに支え、持ち上げるのはもっと嫌悪する。
もし靖国に英霊とやらがあるというのなら、この現在の日本国の体たらくをどうどうと「見てください」と、あなたがたは言えるのか?