欲を「断つ」、欲を「捨てる」、欲から「離れる」

これを「断捨離」と言い慣わしたのは、「やましたひでこ」である。
彼女はわかりやすいように「物欲」に限定してこれを、片付け、身辺整理の極意として流布させた。


もとはヨガの「行」の心得である。
仏教由来の言葉ではないのだそうだ。


三島由紀夫の『金閣寺』の中で、主人公が金閣寺で修行中に終戦を迎え、虚無感にさいなまれ、悩む折に、師たる禅僧の豊満でたるんだ肉体、その俗っぽさに嫌悪する段がある。

「私は禅僧にも肉体のあることがふしぎでならなかった。老師が女遊びをし尽くしたのは、肉体を捨離して、肉を軽蔑するためだったと思われる(以下略)」

ここに「捨離」が出てくることを鑑みると、この語は仏教語なのかもしれない。

私は物欲はないが、知識欲は捨てられない。
これはもう、どうしようもない。