サラシアマルメロエキスに含まれる「ネオコタラノール」が、食後の血糖値の上昇を抑制するといわれるのは、α-グルコシダーゼ阻害効果によって、でんぷんの分解(糖化)を邪魔するからだとされる。

サラシアマルメロとはサラシア属のつる性の植物で、インドやセイロン島に分布している。
この植物は、古来、アーユルヴェーダにもその効用が記されているそうな。
現代では、生活習慣病の筆頭である糖尿病の予防薬、治療薬として注目されている。
※小林製薬の「サラシア100」などが有名。もちろんトクホ認可商品である。

日本では外来の栽培植物であるキクイモ(キク科ヒマワリ属)の有効成分「イヌリン」の血糖値降下作用が注目されている。
キクイモの根茎にはイヌリンが20%ほど含まれ、でんぷんはほとんど含まれていない。
イヌリンは糖鎖構造だが、糖にはふくまれず、食物繊維として分類される。
そして甘いので、ローカロリーの甘味成分として血糖値を気にする向きには重宝される。
イヌリンはアミラーゼで分解されずに、そのまま腸内においてオリゴ糖のように善玉細菌に利用されることから、インスリン感受性が高まって糖尿病患者には好適だとされる。

α-グルコシダーゼ阻害による、でんぷん糖化を抑制する食材としてマイタケが知られる。
『今昔物語集』に出てくる「舞茸」は、このキノコではなく毒キノコらしい。
食べて踊り出したのだから。
マイタケのどの成分がα-グルコシダーゼ阻害効果を示すのか明らかではないが、確かにこのキノコを食べると血糖値が上がらない。

糖尿病治療薬で古くから使われているビグアナイド(メトグルコなど)はマメ科のガレガから見つかった成分を改変したものであり、ガレガを民間薬として人類は有史以前から血糖値コントロールに用いていたようだ。

ビグアナイド薬は、インスリン注射に勝る治療法ではないが、初期の糖尿病、軽度の糖尿病でインスリン注射を嫌がる患者には有効である。