『バンナナと殿様』というお話を知っている人は、結構いるようだ。
私も、小学校時代に、学校にやってきた劇団がこのお芝居を上演してくれて、クラスでは、しばらく、ちょっとした「バンナナブーム」となった。
調べると筒井敬介の作品で、脚本になって広く知られていたらしい。
だから、多くの人は、このお芝居を学芸会などでやった経験の持ち主かもしれない。

「バンナナ」とは、江戸時代に日本に伝来した南国の果物であります。
お分かりですね。
「バナナ」ですよ。
♪バナナン、バナナン、バ~ナ~ナ
なんて歌もありましたが、ちょっと違う「バンナナ」でした。

このお話は、私にとって、ずいぶん昔のことでほとんど覚えちゃいません。
正直、あんまりおもしろくなかった。私には。
どっかのお城の殿様が、南蛮渡来の「バンナナ」なる珍菓(珍果?)を初めて見て、それを自分が最初に食べるのは怖いから、だれぞに毒見をさせるというような話だったと思います。
その毒見役に年貢を納められなかった農民を選ぶのね。
武士にとっちゃ、農民など虫けらに等しいからね。
「罰として、そこなバンナナを食え」なんていうわけよ。
お百姓はしかたなく、おそるおそるそれを剥いて食べると、甘くてとろけるような美味しさでした。
この殿様は、とにかく横柄で農民をしいたげることはなはだしく、その家臣もみんな嫌な奴ばっかりだったと記憶しています。
そんで、とうとう農民たちは立ち上がって、いわゆる「一揆」を起こすんですよ。
農民には武器がない、でも「バンナナの皮」があった。
殿様とその家来は、バンナナの皮で滑って転んで、えらい目に会わされるわけ。

う~ん、もっといろいろあったようなんだけど、細かいところも間違っているかもしれません。
覚えてるのはこれだけね。

もう一つ『天満(てんま)のとらやん』ですかね。
これも、子ども劇場みたいな劇団が学校にやってきて上演してくれたんですよ。
とらやんは天満(大阪の天満橋付近?)に住む、うなぎ屋で、商品のうなぎを捌(さば)こうとしていたら、うなぎが逃げちまうのね。
それを追っかけて…つぎからつぎへと、とらやんの荒唐無稽な旅が始まるって寸法。
守口の大根畑にやってきて、大根(だいこ)引きの仕事を手伝い、その長い大根を引いた勢いが余って空に飛び出すとらやん。
落ちたところが傘屋で、そこで傘の紙を貼る仕事を手伝い、すると、風が起こって傘につかまったまま飛ばされて、雲の上の雷様の屋敷に降りた。
雷様の手伝いをして雨を降らすとらやん。
どこまで行くねん?
というようなお話だったと思います。

とらやんが「うなぎ屋」である場合と、うな丼を食べようとうなぎを買ってきたとらやんが自分でさばこうとした場合の二種類のお話があるようです。
※大阪の民話であり、『うなぎ屋のとらやん』という題になっているものもあるようです。