食について語るサイトが多い。
栄養や安全、病気へのリスク回避、食育…
はたまたグルメだったり、調理の技術だったり、微に入り細を穿(うが)つものもある。

「クックパッド」などのレシピサイトも重宝する。
私は地味な料理を良くここで調べる。
名前は知っているが、おそらく食べたこともある「あの料理」の作り方が、一般的にどうやっておられるのか?
「いり鳥」と「筑前煮」と「治部煮」それから「竜田揚げ」と「唐揚げ」と「フライドチキン」…
作りはしないのに、その違いは何?という科学的疑問から探していたりする。

私は、化学者であるから、料理を苦手とは言えない。
料理が苦手なら、有機合成実験は甲乙丙の丙のお成績になってしまう。
確かに最初は段取りが悪かった。
高い器具もよく壊した。
しかし、それはだんだんに、上手になっていくものだ。

私は、包丁の扱いが、いまいち上手くない。よくケガもする。
研ぎもするが、よけいに切れなくすることもあった。
しかし刃物というものは面白いもので、「なんで切れるのか」という疑問に明確な答えがない。
材料の教授に刃物の電子顕微鏡写真を見せてもらったことがあるが、よく切れる刃物の写真は鋸(のこぎり)の刃のように細かいギザギザになっていた。
反対になまくらな刃物は、つんつるてんだった。
鋸で切っていくように、包丁も肉を割いているのだ。
そうすると、どのように刃物を砥石に当てれば良いのかということを考えて研ぐようになる。
長い時間をかけて刃物を研ぐのではなく、短時間に効率的に刃物を研げるようになった。
それでもリンゴの皮を包丁で剥くのは、へたくそだ。
だから私はリンゴを皮ごと食べるようにしている。
また、トントンと軽快に包丁を扱うのも、指を切りそうでなかなかできないでいる。

五十年以上も生きてくると、あまり食に神経質にならないほうがいい。
やれ、トランス脂肪酸だの、グルテンフリーだの、遺伝子組み換えでない大豆だの、気にすればするほど何にも食べられなくなりそうだ。
食いたいものを食って、死ねればよいではないか。
痴呆になりたくないので、糖尿の私は、糖分だけは神経質だ。
糖尿でぽっくり死ぬのなら別に構わないが、痴呆になって世間に迷惑をかけて老いさらばえるのは避けたい。
とはいえ「果糖があかん」から、果物を食べないというのもおかしいだろう?
要は、果糖の取りすぎがいけないのであって、濃縮還元ジュースや清涼飲料水を摂取しなければよいのだ。
ふつうに熟れた、甘い果物を食べる分にはそんなに気にしなくていい。
別に果物でお腹を膨らませるわけでもなかろう。ハクビシン(果子狸と中国でいうのは果物を主食にしているから)じゃあるまいし。

私は、みそ汁と煮物は自分で作る。
特にみそ汁は、毎食、ごはんのときには作らないと落ち着かない。
中学校の調理実習で、ごはんの炊き方とみそ汁、野菜炒め、サラダの作り方を習い、ずっとそれでやってきた。
家庭科の先生が、「君らの中には、中学を出てすぐ勤める人もいるだろう。そして一人暮らしになるかもしれない。そんなときに困らないよう、これだけは教えておく」と、親心で教えてくださったのだ。
ありがたいことだ。
義務教育で唯一、私に役立った学科だったように思う。
文部省(当時)よ、ありがとうだ。まったく。

煮物は母親が作っていたものを、見よう見まねで作っている。
京風(関西風)なので淡口(うすくち)しょうゆを基本に使う。
うどんのだしもそうだ。
そして、薄味で甘い。
やや濃くするとしても「甘辛い」に持っていく。
塩辛いものは、「だだがらい」と言って関西では嫌われる。
味の「見よう見まね」とは、どんなものかと言うと、母親なり、師匠のやり方を盗むだけだ。
そこで知ったのは、彼らは「計量しない」のだ。
自分の口ですべて判断している。
「さしすせそ」の順に入れるなども、見ていればわかる。
京都「錦市場」の総菜屋では、しょうゆも酒も一升瓶から直接、親指で口を押さえて鍋に注いでいる。
要は比率なのだ。
しょうゆと味醂は容量で約1対1、液体やからそれでいい。
出汁の量も、具材の量で決まる。
「ひたひた」か「かぶる程度」か。
数字で出せるもんではないのだった。
その日によって、煮物の対象も量もことなり、使う鍋まで違ったら、もうお手上げですか?
そんなわけない。
あとは、何度も食べること。
そうして、その味に慣れてしまい、それを子々孫々まで伝えていくのが「我が家の味」「おふくろの味」である。
結婚して、味が合わないことになるのは、これは仕方のないこと。
国際結婚したと思ってあきらめるか、あきらめさせるかです。
お姑さんとの同居やったら、あきらめるしかないわね。

かく言うわたしは、外食もするし、インスタントや店屋物も利用する。
チキンラーメン世代で給食世代ですからね。
月に一度の「ケンタッキー・フライド・チキン」のランチを楽しみにしているんだから。
ラーメンに限らず、麺類は、そりゃもうやきそば、皿うどん、ちゃんぽん、塩・みそ・とんこつ全部好き。
インスタントなら、「出前一丁」「マルタイラーメン」ですね。
そうめんは「三輪」のみ。
うどんは「京・細うどん」・「名城きしめん」「おんち」かな。
讃岐はコシがありすぎて、ちょっとね。でも食べるよ「丸亀製麵」。

洋食はね、カレーライス(一人分なのでほとんどレトルト)、ナポリタンとチキンライス(オムライス?)以外はあんまり食べない。
ひき肉が好きじゃないからハンバーグ系は食べないし、牛肉もカレーに入れるか牛丼でしか食べない。
あたし、焼き肉がちょっと苦手。
食べると下痢するんだよ。だからトイレの近くで焼き肉を食べてる。「出し食い」ね。
ステーキ…食べたいけど、高いからねぇ。
すき焼きも、牛じゃなく、悪いけど「かしわ」だよ。
昔ね、あたしの知り合いが松阪の和田金(わだきん)で、六万円のすき焼きを食ってね、それから数週間後に脳梗塞で亡くなったのよ。まだ五十そこそこでね、よかったんだか、気の毒なのかわからない。
グルメな人だったから幸せだったのかもね。

豚肉はとんかつ、かつ丼、カツカレー、豚しゃぶ、野菜炒め、お好み焼、焼きそばで食べるくらい。
私の場合、肉はおおむね、かしわです。
ジンギスカンのときだけヒツジ、食います。

京都人はパンが好きでね。
ヤマザキの宇治工場もあるくらいだからね、わたしはヤマザキパンをほぼ毎日、朝食に食っている。
そんでも菓子パンは、ドクターストップになっているので、残念だ。
「ロシアパン」やら「銀チョコ」、「リンゴどっさりデニッシュ」だ。
トーストには、よつ葉バターかネオソフト、その上にマーマレードかメイプルシロップだね。
ぜったい主治医には内緒だぜ。
食パン一枚しか食わないんだから、大目に見てよね。

とはいえ「ごはん食い」のあたしだから、「お供」が大事だ。
辛子明太子はもとより、くらま「木の芽煮」、京都COOP「きざみすぐき」、同「奈良漬け」、JAやましろフルーツラインという井手町の果物狩り施設の売店にある「小梅の梅干し」、ヤマトタカハシ「とろろ昆布」、大森屋「味付け海苔」、ヤマキ「かつお削り節」、大安「千枚漬け」、土井「しば漬け」…うぉおおお、キリがない。

こだわってないという割に、こだわってるなぁ。
有機栽培とか、わけのわからない「売り文句」には、私は左右されません。
農薬結構、食添、どんどん入れてください。
そんなもんで体を壊すほど弱くない(というより、症状が出るまで生きてられない)。
口に入ってうまければ、それでいい。
「何を食べているか言ってみたまえ。君がどんな人物か当ててみせよう」とはグルメのブリア・サヴァランの言葉だった。

小川珈琲の「モカブレンド」でお口直しをいたしましょう。