おしっこが光るらしい。
ブラックライトを当てると、青白くおしっこの飛沫が光って見えるという愛猫家ならよく知っているアイテムがある。
「Abosi uv led」なんかがよく使われているそうな。
ネコちゃんのトイレ汚れを完全に拭いたつもりでもなんか「臭う」ので、このライトを、部屋の明かりを消して暗くしたトイレ周辺に当てると、星空のようにおしっこの飛沫が浮かび上がる。
これは賢い主婦なら、旦那や息子のトイレしつけに使えそうだとピンとくる。
「あんたら、これ見てみぃ!立ちションでこんなとこまで飛び散ってるねんで」と動かぬ証拠を突き付けられる。
※出したてのおしっこ(液体)では光りません。どうやら飛び散って乾いた尿の残渣が光るらしい。

そう、動物の尿なら、なんでもこのライトで浮かび上がらせることができるのだ。
まるで「科捜研の女」ではないか。
たしか、あれは血痕を浮かび上がらせていたと思うのだが…

しかし尿のどういう成分が光っているのだろうか?
ビタミンB2(リボフラビン)なんかが尿に出ていれば光りそうだが…
そんなもの「オロナミンC」でも飲まない限りなかなか尿に排泄されませんがな。
ちなみに「オロナミンC」はブラックライトで光るそうです。
※ほかにも「デカビタ」「チオビタドリンク」「リポビタン」「アリナミン」「ノイロビタン」などのビタミン剤を飲んだ後の尿は光ります。

そもそも、さっき書いたように「乾いた尿の残渣(跡)」がブラックライトで光るのですよ。
そこには尿中の固形分が残っているのだね。
尿蛋白?糖分?尿酸?尿素?アンモニウム塩?
このうち構造的に共役二重結合を多く含むものが紫外線(ブラックライトの光成分)を吸収して光りそうなのだけれど、それはずばり尿酸ですね。
λ=450nmの紫外線で尿酸を検出できるらしい。
この波長は血痕検出でおなじみのルミノール反応でも利用されます。
ルミノールはアルカリ性過酸化水素水溶液に溶かして使い、これを血痕に吹きかけるとヘモグロビンの残渣があれば鉄分が存在するので、これが触媒になって、過酸化水素が分解してルミノールと反応し、励起状態になって光と同時に窒素ガスを発生します。
※過酸化水素はそのままではすぐに酸素を発生して分解するのでアルカリ性の溶液で保存すると安定なのです。酸素系漂白剤の液体のものもアルカリ性にしてありますので手についたらぬるぬるします。
鉄イオン、銅イオンの存在でもこの反応は起こり、必ずしも血液、それもヒトの血液かどうかは判定できません。
ひとつの状況証拠に過ぎないということを、鑑識官は知っています。
学生実験で、過酸化物分解酵素(ペルオキシダーゼ)を含む大根おろし液を使えば、ルミノールが紫外線で光るというものをやった人があるかもしれない。
この実験には血液は必要ないのです。
「ルミノール反応」はこのように生体由来物質が直接光るものではなく、ルミノールが生体由来物質に触媒されて強く光る性質を応用したもので、おしっこの残渣が光るということとは分けて考えてくださいね。

精液も紫外線で光るらしい。
精子は細胞なので核酸をもっているから、そのプリン体(アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル)が光るのかもしれない。

ブラックライトは非常におもしろい実験器具なので、機会があればみなさんもいろんなものを光るかどうか試してみてくださいな。
そしてもし、光ったものがあれば、その構造を類推してみましょう。
ヒントは共役系(π電子共鳴)です。
たとえば核酸、プリン体、尿酸類(馬尿酸、尿酸はいずれもプリン体の代謝物)、クレアチニン(赤血球のヘモグロビンの分解物)、ヘム鉄、クロロフィル、リボフラビン(ビタミンB2)、シアノコバラミン(ビタミンB12)など。