変成岩のなかでもホルンフェルスに属するものは非常に硬い。
「ホルン」とは「角(つの)」であるから、とにかく「硬い」ということだ。
「硬くなったペニス」を「極度に興奮した男」ということで「horny」と英語圏のポルノ界ではいう。
女にでもこの単語が使われるようだ。
男女とも、性的興奮がいや増したときには「硬くなる」らしい。

それは置いといて、ホルンフェルスである。
変成岩は圧力や熱で変性した岩であるから、火成岩であるとか堆積岩であるとかの、岩の出自はどうでもいいのである。
しかし熱変性が主のホルンフェルスの原石は堆積岩だと言われている。
つまり砂岩とか礫(れき)岩、泥岩、頁岩(けつがん)である。
頁岩のスキマに石油が入り込んだものが「オイルシェール」であった。
シェールは「イヤミのシェー」とは無関係だが、頁岩のことを言うらしい。

関西にはかつて火山だった痕跡はあるが活火山はない。
中国地方に行けば大山だの三瓶山だの見つかるけれど。
そんなわけで関西にはホルンフェルスが良く見つかり、恐竜の化石もそういった中にはまり込んでいたりする。
石灰岩の塊が山容となっている伊吹山(滋賀県)もホルンフェルスではないが、かつて海底堆積物だったものが隆起してあんなに高い山になっている。
ふもとではセメント会社がこの山を削っている。
高度成長期にこの山のセメントがどれだけの高速道路やビルディングを作ったのだろうか?

私は小学校のころ、理科室に岩石標本があったのを興味深く見ていた。
スチール棚にならんでいた岩石の中に「チャート」というものがあった。
まったく瓦か硯のような風合いの石で、実際に硯にすることもあるらしい。
薄く皿のように割れる(劈開:へきかい)するのだと説明文にあった。
この石は、サヌカイトという古代より石器の材料にされた讃岐地方に産出する安山岩系の火成岩に似ているけれど、堆積岩であると書いてあったと思う。
チャートもまた石器の材料だったらしい。

石川県は能登半島に珪藻土という真っ白な、さくさくの岩がある。
これも珪藻と言う微生物が堆積して成った石で、のこぎりで簡単に切れて、焼くと締まる。
これでつくった「七輪」は民具として有名だ。
水を良く通し、耐火性に優れるのだった。

堆積岩は、その長い年月で変成岩となるものだ。
そして元の石とはかなり違った性質を帯びるようになる。
火山性のものでもたとえば火山灰や軽石成分が堆積して(凝灰岩)変性したものに大谷石という加工しやすい石がある。
気泡を含み、比重が軽いので水に浮いたりする。
美しいものは門柱などに加工されるから、見た人は多いだろう。

『地球の図鑑』(小学館)を、私はぼろぼろになるくらい小学生の時に愛用した。
私が地球ファンになったのは今から五十年も前になる。
従弟のこうちゃんと高安の裏山を掘り倒したのを覚えている。
楽しかったなぁ。