日本がとうとう、IWC(国際捕鯨委員会)を脱退すると言い出した。
商業捕鯨を再開するためだという。
かつての東洋水産のような大捕鯨船団を組織するようなことがあるのだろうか?
そうまでして「日本の食文化」を守りたいのか?
だいたい鯨肉など、もはや日本人の食卓に上らないではないか。
保守陣営の悪弊、頑なさがまた出てしまった。

そんなニュースを聞き、こんな俳句を思い浮かべた。

毛布にて わが子二頭を捕鯨せり   (辻田克己)

なんともほほえましい、暖かい冬の夜のひと時だ(季題は「毛布」で冬)。
子供たち二人が、お布団と毛布にくるまって、ほたえて(ふざけあって)いる。
そこにお父さん(辻田氏)が毛布の盛り上がった部分を抱きかかえて「捕鯨せり」と活写した。

辻田克己氏は京都の俳人である。
山口誓子のお弟子だということだ。
京大文学部出身の英才であり、京都にお住いのはず。
ここ宇治市の縣(あがた)神社境内に彼の句碑があったと思う。

冷風となり神宇治をみそなはす (辻田克己)

その句碑の作品がこれである。
縣のご神体が、心身洗われるような冷たい風になって宇治の地を見守ってくれている…

鯨の話に戻すが、日本人にとって鯨と深い関係があることは承知している。
しかし今の飽食の時代にあって、クジラなどジビエの猪肉ほどの価値もない。
あえて日本人のたんぱく源として国際関係を悪化させてまで取り戻したい食文化だろうか?
政府に再考をお願いしたいものだ。