自励発振器という電子回路があります。
アマチュア無線技士の国家試験で必ず問われるテーマなので、ハムの人なら知っているはずですね。
「自励(じれい)」というからには「他励(たれい)」という言葉もあるわけですが、あまり聞きません。

他励発振とは、ある物質が電圧を与えることで自ら振動し、発振回路の基本周波数を作り出すもので、著名なものは「水晶発振」ですかね。
水晶はケイ酸の結晶体ですから原子が規則正しい格子を作っています。とはいえ、その中に格子欠損や不純物の原子が嵌入していたりする。

こういった不完全な結晶格子に電圧をかけると圧電効果(逆圧電効果)として結晶の変形が起こります。
これが水晶が振動する原因なんです。
※圧電効果とは結晶をに圧力をかけてひずませると起電力が生じることをいいます。逆圧電では、音叉型に切削した水晶に電圧を加えると一定の周波数で振動し信号を電流として放出します。

水晶は発振子として一定の周波数を生じるデバイスを与えますが、回路自身で発振させるものを自励発振といいます。
水晶発振は周波数が安定しているけれど、自励式は周波数安定度が他励式に比べて劣ります。
自励式では、水晶のような外部の発振体をつかわずに、コイルとコンデンサの回路(LC回路)で出力を正帰還させて入力に再び送り込むことで発振させます。
※この発振はマイクのハウリング現象に似ている

自励式発振回路は、正帰還のループ中に共振周波数を持つわけで、発振周波数が変えられる可変周波数発振器(VFO)となり、水晶発振回路のように一定の周波数しか使えないということはありません。アマチュア無線機でも外付けVFOや内蔵VFOで「たすき掛け通信(互いに送信周波数が異なる局の交信)」が行えるのは自励式だから。

正帰還とは回路の出力と同じ波形(同じ位相)のまま入力信号に足して回路に帰すことをいい、対して負帰還とは出力の波形と逆位相の信号を入力信号に減衰させて足して帰すことをいいます。負帰還はひずみの打ち消し効果で安定した増幅効果を得ます。また、まったく帰還させないものをあえて「無帰還」と呼んだりします。
「無帰還」はノイズが発生したり、周波数特性が劣化したりするので、あえて「無帰還」にする回路はソリッドステートの場合ありえませんが、真空管を用いた増幅回路の場合には、真空管の特性を生かすように無帰還にすることがありました。

正帰還と負帰還をあわせてフィードバックと呼んだりもします。

発振回路は信号の増幅に用いられるので、増幅回路の一部として論じられます。

そのもっとも特徴的なデバイスがオペアンプでしょう。
アンプリファイアですから増幅器なんですが、デジタルではないアナログの集積回路であり、集積回路(IC)の先駆けとなった重要なデバイスです。
オペアンプは「演算増幅器」と和訳されています。
なぜならアナログコンピューターにまず用いられたからです。
それまで真空管式のコンピュータだったのがソリッドステート化され、さらに小型化させるために半導体を集積してオペアンプが生み出されました。
数値計算しかできないアナログコンピューターの最高峰デバイスがオペアンプだったのです。

オペアンプに中には複数のトランジスタが集積されて、これ一個で数倍から数百万倍まで、入力信号を増幅して出力できます。
※実際の増幅は、入力信号の千倍程度が限度で、それ以上になると信号の品位が劣化する。
オペアンプと抵抗器二個で回路が完成してしまうという手軽さが、電子工作フリークにはたまらないデバイスであることは間違いありません。

しかしながら、次第にコンピュータがデジタル回路で構成されるようになり、複雑なプログラミングに対応できるコンピュータがあたりまえになると、オペアンプの活躍の場は限られてしまいましたが、小信号の増幅として無線機やオーディオ回路に好んで使われているようです。
オペアンプの正・負帰還回路を利用した非反転増幅回路や反転増幅回路が考えられ、ノイズリダクション、スケルチ(RIT)やスイッチング電源、LPF(ローパスフィルタ)などなどいろいろあります。
※LEDのVR不使用調光器とか、触ると止まる安全装置つき家電なんかにどうかな?コンパレータ(電圧比較回路)なんかが私は好きだな。

オペアンプは、ほんとおもしろいのよ。