昨年の私のお気に入り音楽は次の二つになるかな。
「サザンカ」(SEKAI NO OWARI)だ。
※このMVも感動的な仕上がりです。
平昌オリンピックのNHKが選んだテーマ曲でもありました。
努力が報われず 不安になって
珍しく僕に当たったりして
ここで諦めたら今までの自分が可哀想だと
君は泣いた
夢を追う君へ
思い出して つまづいたなら
いつだって物語の主人公は笑われる方だ
人を笑う方じゃない と僕は思うんだよ…
(詞 Fukase・Saori)
私はかつて、会社を自己都合で辞め、司法書士になろうと予備校に通って勉強したことがありました。
平成十四年から平成十九年まで、一年に一度しかない国家試験に五回挑戦しました。
結果は報われませんでした。
もっと私はやりたかったけれど、夫が脳出血で倒れ、それどころではなくなりました。
最初の三年は足切り点にも及ばなかったものの、四年目、五年目と合格ラインに近づきつつありました。
模擬試験でも上位に名前が載るようになって励みになっていたんです。
たくさんの短くなった鉛筆と、空になったボールペンの山が残されました。
マークシートは鉛筆、筆記試験はボールペンと決まっていたからです。
過去問集は書き込みで真っ黒になり、付け足した紙で厚みが倍に膨れ上がり…
あきらめることを決めたその日の朝の私の机の上の状況でした。
「いままでがんばってきた自分が可哀想」というセカオワの歌詞がそのまま当てはまり、思い出しても目頭が熱くなります。
気がついたら生理も上がってしまっていました。
とはいえ、これからは障害の残った夫を支えて前を向いて生きていかないといけない。
「どうせ、資格で生きていけるほど世間は甘くない」そう思うようにしました。
専門違いの分野に、五十手前で、それも女で飛び込んだとて、うまくやっていけるわけがないのです。
「士業」という仕事は「お客の信用を勝ち取る」ことが大事であり、「お前にそれがあるか?」と問われたらかなり疑問でした。
甘かったのです。
もう一曲は「Lemon」(米津玄師)ですね。
夢ならばどれほどよかったでしょう
いまだにあなたのことを夢に見る
忘れた物を取りに帰るように
古びた思い出の埃(ほこり)を払う
戻らない幸せがあることを
最後にあなたが教えてくれた
言えずに隠していた昏(くら)い過去も
あなたがいなきゃ永遠に昏いまま
そうなんです。
彼に言えなかった秘密も、その彼が死んでしまえば、バレることもない。
そして隠すこともない。
それでよかったのか?
良心は痛まないのか?
もう永遠に伝える方法を失くしてしまった今、私の隠してきたことも無意味になる。
そう。隠すことは、大切な人が生きててこそ意味がある。
「戻らない幸せ」は、亡くなったあの人と歩んだ道。
埃のたかった思い出を本棚に見たりして、私はまたもや深い後悔の念にさいなまれる。
さいわい、私の連れ合いは死んではいないが、もはや真実を理解することはできなくなっている。
私もまた、秘密を打ち明ける相手を失ったのだ。
「サザンカ」(SEKAI NO OWARI)だ。
※このMVも感動的な仕上がりです。
平昌オリンピックのNHKが選んだテーマ曲でもありました。
努力が報われず 不安になって
珍しく僕に当たったりして
ここで諦めたら今までの自分が可哀想だと
君は泣いた
夢を追う君へ
思い出して つまづいたなら
いつだって物語の主人公は笑われる方だ
人を笑う方じゃない と僕は思うんだよ…
(詞 Fukase・Saori)
私はかつて、会社を自己都合で辞め、司法書士になろうと予備校に通って勉強したことがありました。
平成十四年から平成十九年まで、一年に一度しかない国家試験に五回挑戦しました。
結果は報われませんでした。
もっと私はやりたかったけれど、夫が脳出血で倒れ、それどころではなくなりました。
最初の三年は足切り点にも及ばなかったものの、四年目、五年目と合格ラインに近づきつつありました。
模擬試験でも上位に名前が載るようになって励みになっていたんです。
たくさんの短くなった鉛筆と、空になったボールペンの山が残されました。
マークシートは鉛筆、筆記試験はボールペンと決まっていたからです。
過去問集は書き込みで真っ黒になり、付け足した紙で厚みが倍に膨れ上がり…
あきらめることを決めたその日の朝の私の机の上の状況でした。
「いままでがんばってきた自分が可哀想」というセカオワの歌詞がそのまま当てはまり、思い出しても目頭が熱くなります。
気がついたら生理も上がってしまっていました。
とはいえ、これからは障害の残った夫を支えて前を向いて生きていかないといけない。
「どうせ、資格で生きていけるほど世間は甘くない」そう思うようにしました。
専門違いの分野に、五十手前で、それも女で飛び込んだとて、うまくやっていけるわけがないのです。
「士業」という仕事は「お客の信用を勝ち取る」ことが大事であり、「お前にそれがあるか?」と問われたらかなり疑問でした。
甘かったのです。
もう一曲は「Lemon」(米津玄師)ですね。
夢ならばどれほどよかったでしょう
いまだにあなたのことを夢に見る
忘れた物を取りに帰るように
古びた思い出の埃(ほこり)を払う
戻らない幸せがあることを
最後にあなたが教えてくれた
言えずに隠していた昏(くら)い過去も
あなたがいなきゃ永遠に昏いまま
そうなんです。
彼に言えなかった秘密も、その彼が死んでしまえば、バレることもない。
そして隠すこともない。
それでよかったのか?
良心は痛まないのか?
もう永遠に伝える方法を失くしてしまった今、私の隠してきたことも無意味になる。
そう。隠すことは、大切な人が生きててこそ意味がある。
「戻らない幸せ」は、亡くなったあの人と歩んだ道。
埃のたかった思い出を本棚に見たりして、私はまたもや深い後悔の念にさいなまれる。
さいわい、私の連れ合いは死んではいないが、もはや真実を理解することはできなくなっている。
私もまた、秘密を打ち明ける相手を失ったのだ。