大阪の小中学校で、生徒さんにスマートフォンの学内持ち込みが許される見込みだ。
昨年の大阪北部地震で、親子の連絡が取れずにやきもきした親御さんたちからの強い要望で叶ったらしい。
ああいう災害がなかったとしても早晩、スマホ持ち込みになった可能性はあった。
それほどスマホは家庭内に普及し、なくてはならない道具として成立してしまっている。
スマホが社会を創っているといっても言い過ぎではない。

菅義偉(すがよしひで)内閣官房長官も、教育現場にITを導入することを推進している立場上、生徒がスマホを持ち込むことに肯定的に捉えているようだ。

もちろん懸念材料はたくさんある。
心配ばかりしていては、何事も前進しないので、大阪府や大阪市は先に「やってみる」という行動を起こしたのだろう。
私は、子供たちにルールを教え、きっちりとそれを守らせることでスマホ導入も肯定したい。
自転車の乗り方や、交通ルールも「危ないから、乗らない」では済まされないだろう?
刃物の使い方、火の気の使い方、なんにせよ、教えて、やって見せ、やらせてみなければ、人は育たないと山本五十六大将も言うていたではないか。
そうして、ほめてやらなければ、人は正しく動かない。

アマチュア無線は子供でも免許を取ることができる。
しかしこの「資格制度」があるからこそ、「はめを外す」無線家は少ない。
資格はプライドである。
子供達も、国家試験を受けて合格し、免許を与えられて、大人と同じに扱われる。
子供としては「誇らしいこと」なのだ。
だから決まりを守るようになる。
大人を見習って、恥じない「無線局長」になるのだ。

スマホも同じなのだ。
スマホを与えられた子供は、大人としてあつかってやり、プライドを持たせるのだ。
そして大人の決めたルールに沿うことが「プライド」につながるようにして、守った子にはほめてあげる。

何も、学内でスマホの電源を切ることが特別なことではない。
社会に出れば、出張先でスマホを勝手にいじることは許されない場合が多々ある。
電車の中でもそうだし、試験場や他社の工場に入ったらスマホはご法度だと思わなければならない。
産業スパイと誤解されたら、出入り禁止になるし、自社に多大な迷惑をかける。
最悪、訴訟になったらことである。
そういうことを子供の時代から教えておくのも大事だ。

プライバシーを守ることの大切さや、情報リテラシーの獲得、心無い誹謗中傷をしない、させないことなど、スマホが万能な装置なためにたくさん学ぶことがある。
これは、アマチュア無線が免許制であり、たくさんの知識を覚えて試験されたことと通じる。
スマホも資格はいらないが、知識やマナーはアマ無線なみに必要なのだ。