私は、律子を抱いた。
初めて私の前で涙を見せた彼女は、幼子のように従順になった。
私は、飯塚が、隠されていた律子の男性遍歴に嫌悪して逐電してしまったのだと思っていた。
しかし、飯塚もまた律子に隠していた女性関係があった。
「君たちのなれそめはどういうものだったのだ?」
私は、彼女を正常位で貫きながら尋ねた。
「最初は、公演の取材だったわ」「君たちの劇団のかい?」「そう、長谷川神吉の『流竄(るざん)』という脚本を下地に舞台化したので、彼が取材に来たわけ。あっ、そこいい」「承久の乱のころの遊び女と貴人の恋慕ってやつだな」「そうよ、ああん、もっと、もっと突いてっ」「こうかい?」
私は、長いストロークで律子の子宮を叩いた。
膣の深さっていうのは、想像より浅いようだった。秀子の場合はもっと顕著に浅かった。
体格にも左右されるのだろう。
それでも私の勃起はすべて収めることができる。
私の物が短いのかもしれないけれども。

私は、律子の片足を持ち上げ、彼女を横向きにして突き上げた。
こうすると律子の声が半オクターブほど高くなる。
「ひいぃぃっ!あやぁっ」
断末魔の叫びのような大声をあげて、髪を振り乱す。
劇場的な演出のようにも見えるが、そうではないらしい。

コンドームをしているので、長持ちしていたが、律子のねじるような締め付けに私は限界に近付いていた。
「ああ、りつこ、もう行くぜ」「いいわよ、来て」
脚を抱えて腰を振ると、じゅぶじゅぶと湿った音が耳に届く。
白く泡を噛んだ結合部は、痛々しいくらいに赤く膨れていた。
一瞬、コンドームを取り去って、中で思いっきり放出したらどうだろうか?
そんな恐ろしい気持ちが沸き起こっていた。
律子は前後不覚に私の突きに酔いしれているようだった。
私は、素早くペニスを抜き、ゆるみかかったゴム製品を引きはがして、そのままずぶりと差し込んだ。
熱いただれそうな秘肉がまとわりついて、私を絞る。
「あっ、くっ」
気持ちいい、律子を孕ませてやる…もう一人の私が背後でささやいた。
「りつこぉ…」「ゆうすけぇっ!」
私は律子の膣の奥深くに突き刺したまま、痙攣しつつ射精した。
「あ、ああ、出たぁ」「ううう…もうだめぇ」
私は律子に覆いかぶさって、感謝のキスをした。
しばらく硬いままだったが、やはり性器は圧力を弱め、収縮しだした。
ぽろりと、律子から吐き出され、そのあとから粘い液体がベッドに沁みを作った。
「中に出しちゃったよ」「え?ゴムは?」「取っちゃったんだ。ごめん」「だめって言ったじゃない!」「だって、気持ちがよかったんだ」「ばかっ」
そういうと、彼女は慌てて風呂場に消えた。
激しいシャワーの音がしていた。