大河ドラマ『いだてん』の視聴率が低迷しています。
私は熱心に観ているんだけど、世間では受けないようです。

私なりに考えるに、北野武(ビートたけし)がまずいのではないか?
サブテーマが「東京オリムピック噺」だから、狂言回しに古今亭志ん生を使うのは悪くない。
たけしがアクが強くって、たけしにしか見えないところが問題なのだ。
それにテーマの文字「いだてん」のデザインを横尾忠則が担当しているが、どうもナチスのスワスチカ(ハーケンクロイツ)に見えてしまうのもいただけない。

志ん生の若いころを、森山未來が演じているが、彼はすごい。すばらしい。
彼の「富久(とみきゅう)」は圧巻だった。
もう俳優「森山未來」ではなく、美濃部孝蔵(本名)になり切っている。

ところが昭和の場面になって、たけしが扮する志ん生はどうみても「ビートたけし」である。
そこで観ている方は冷めてしまう。

俳優と言うものは登場人物、つまり配役に仮託されるものだ。
ビートたけしにはそれがないから、致命的に良くないのだ。
「活舌(かつぜつ)が悪い」だの批判を言う人がいるが、そんなことは些末で、志ん生を知っていたら、晩年の志ん生は活舌が良いとは言えなかった。
だから、その点ではビートたけしは、はまり役なんだけどね。

一方で前半の主人公「金栗四三(かなくりしそう)」は中村勘九郎が演じているが、これは私はよくやっていると思う。
体も作って、熊本育ちの、ただただ、走ることしか考えていない実直な田舎者を体当たりで演技している。
彼も仮託され、もはやどこからみても「歌舞伎の勘九郎」ではなく「金栗四三」になっている。
役者とはかくあるべきなのだ。
ピエール瀧の事件もあって、ケチのついたこともあったけれど、それだけではない、ミスマッチや違和感が低視聴率の原因なのだろう。

もちろんテーマが「大河向きではない」という意見もよくわかる。
来年の東京五輪を盛り上げるためのプレドラマとしての企画なわけだが、それがかえって「いやらしい」感じもする。
実際、東京以外ではこのオリンピック・パラリンピックは盛り上がっていない。
チケット予約騒ぎも東京だけのお祭り騒ぎで、関西では「当たっても、行けへんがな」と冷たい答え。
夏休み中の開催だから、子供たちを連れて観戦するのもよい機会なのだろうが、会場が分散していて、東京慣れしていない「お上りさん」には、盛夏の行軍は辛いだろう。
それに宿泊施設も確保できるかどうかわからない。
「それやったら、涼しい我が家でテレビ観戦しますわ」と、大阪のおばちゃんたちは言うだろう。
バカ高いチケットを買っていくなんて、大阪ではナンセンスである。
家で観戦するなら、ピザ取ったり、寿司取ったり、ビールやワインをガンガン冷やして、そこそこ消費に貢献はするだろう。
とはいえ、莫大な開催費用は、負の遺産をまた増やすことになるのだろうか?

話が反れたが、とにかく「いだてん」は2020東京オリパラに水を差す結果になりそうだ。