今月の23日にニューヨークで開かれた「国連気候行動サミット」でスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさん(16)の演説が世界の「お偉い方」を震撼させた。
恐れをなしたトランプ大統領や安倍晋三首相は最初から参加しなかった。
世界の保守系、現状維持派、経済成長推進派などはこの「耳の痛い」演説に耳を塞いだ。
そして演説が終わるや否や、大人げない、的外れな批判を、このたった十六歳の女性に浴びせたのである。
嘆かわしい。
グレタさんは、毎日新聞によれば「気候変動を加速させた大人たちとの世代間の不公正を正す」という趣旨の活動を自ら立ち上げ、「学校ストライキ」を決行し、ついに温室効果ガスを出さないヨットによる大西洋横断を企てて、このニューヨークにやってきたのだと書いている。
彼女の活動は世界中の若者たちを中心とした、パリ協定で立てた目標を達成させる運動にたちまち広がっていった。
主に、ヨーロッパ諸国での活動の広がりであったが、アメリカでもそれは波及している。
ところが、アメリカのトランプ政権の後ろ盾である共和党、そのロビイストである石油メジャーたちは、こぞって、アメリカのパリ協定脱退を誉めそやし、トランプ政権におもねる立場を取り、環境問題を政治問題にすることを極度に嫌っている。
温室効果ガスの否定は低炭素社会の推進になるのだが、それをされると石油メジャーは飯の種を奪われるというのだ。
目先の経済活動の活性化しか眼中にないトランプ政権とそこにおもねる日本政府と、超大国にのし上がりいまだに「我々は発展途上国だ」と言い張る中国が温室効果ガスの増加による気候変動、環境破壊説に懐疑的な立場を取り、グレタさんの言葉には耳も傾けない。
ほぼ世界の科学者が、このまま二酸化炭素が大気中に増え続ければ、産業革命からこっち地球の平均気温が1.5℃近くも上昇し、風水害や大干ばつ、グリーンランドや南極地方の陸氷の融解による海水面上昇がもっと進むだろうと言っているのに、それは「フェイクだ」とか「根拠薄弱」だと「懐疑派」が攻撃してくる。
懐疑派のほうが、根拠薄弱でフェイクニュースを垂れ流しているように私には見えるのだが…
要するに、グレタさんの「正論」は現代社会の恩恵を受けている者にとっては、「話はわかるが、今の生活水準を落としてまで取り組みたくないし、当面、どうやったらいいのかわからない」というのが正直なところらしく、総論賛成各論反対の典型的な暗礁乗り上げ状態である。
グレタさんは「人々は困窮し、死に瀕し、生態系は壊れる。私たちは絶滅を前にしている。なのにあなた方はお金と、永続的経済成長という『おとぎ話』を語っている。よくもそんなことが!」と声を詰まらせた。
彼女の演説は心を打った。
我々大人は、反論するにしても、聞く耳を持たねばならない。
ドイツのメルケル首相は物理学博士でもあり、グレタさんの運動の後押しをしている。
科学者は知っているのだ。
このまま進めば、地球の環境は確実におかしくなっていくと。
しかし、打つ手と言ったら、喫緊のことばかりなのに、先送りばかりしている。
原発を無くすのがいいのか?
大震災で多くの原発の稼働を止めなければならなくなった日本は、火力発電に頼って、その経済力を維持しようと躍起になり、温室効果ガスを増やし、低減目標達成を下方修正することになった。
ほんらい推進されるべき再生可能エネルギーによる発電がまったく日本では進まない。
技術的な問題も解決できていないからだ。
国土が狭く、台風による風水害の多い日本では太陽光発電や風力発電に向かない事情もあった。
また日本のような経済大国では、節電という行動がとりにくく、効果もあまり期待できないどころか、やりすぎて交通インフラや電気精錬などがストップしてしまう。
電気がつかえず、アルミニウムの地金の価格上昇が進むと、日本のリサイクル市場はとん挫するだろう。
こういった日本の特殊事情も鑑みて、環境負荷低減のテーマに取り組まなければならない。
再生可能エネルギーによる電源は、蓄電池の技術に頼るところも大きい。
この蓄電技術はコストばかりかかって、あまり現実的な解決策がない。
リチウムイオン電池や水素電池などの技術向上をコストダウンをいかに進めるかも科学者の出番だろう。
こうして見てくると、大人たちがお金の「おとぎ話」を語っているうちに、技術改革も「おとぎ話」に終わってしまいかねない。
グレタさんの演説は重い。
それだけに、大人も苦しんでいるのだ。
トランプ大統領が彼女の発言を聴かなかったのは、恐れている証拠だ。
プラスチックごみの問題も解決には程遠い。
精神的な活動に費やされて、目立った結果を産まない。
環境問題に取り組むことは、なかなか目に見える効果を得にくいものだ。
だからそれに取り組む者は「ださい」と言われ、「むだだ」とまで言われ続けて来た。
だから最近「セクシー」なる言葉を環境問題に取り組む態度に使う向きも出て来た。
この「セクシー」には性的魅力だけでなく、単に魅力的、かっこいいという意味合いが最近になって付与されているようだ。
小泉進次郎環境大臣が「セクシー発言」で取りざたされているが、あれは隣の話者の言葉を引用したのであって、批判されるに当たらない。
しかしこの発言で「セクシー」という単語の幅広い使われ方が日本にも伝えられた。
それよりも小泉大臣が、温室効果ガスの排出対策について訊かれたときに「減らす」とだけ答え、「どうやって?」と畳み込まれて、返答に窮する場面が問題だと思った。
ああいう質問が来るのはわかっているのだから、想定問答を事前にやっておかねばならないだろう。
環境大臣としての世界デビューは、彼にとって苦い経験になっただろう。
今後を期待したい。
ところで、無駄なものを買わないとしたら経済は鈍化し、使い捨て文化がもてはやされたことがあった。
人間の欲望と、抑制をうまくコントロールすることが環境問題解決の糸口かもしれない。
ネット社会ではフェイクニュースもあふれ、正しい情報が得にくくなっている。
グレタさんのように実際に現場を見る行動力も大事だろう。
また報道は一部の者のためにあるのではなく、大勢の市民のものだということを忘れないでほしい。
若い人と年寄と二分するような世論の分け方がよろしくないが、若い世代に現役世代がつけを回している構図は各国共通らしい。
この点については真摯に反省せねばならず、小泉環境大臣の言う「楽しんで環境問題に取り組む」などという寝言はやめたほうがいい。
もはや、そんな悠長なことを言っておれる時期ではないのだ。
だから、グレタさんが涙をもって叫んだのだから。
恐れをなしたトランプ大統領や安倍晋三首相は最初から参加しなかった。
世界の保守系、現状維持派、経済成長推進派などはこの「耳の痛い」演説に耳を塞いだ。
そして演説が終わるや否や、大人げない、的外れな批判を、このたった十六歳の女性に浴びせたのである。
嘆かわしい。
グレタさんは、毎日新聞によれば「気候変動を加速させた大人たちとの世代間の不公正を正す」という趣旨の活動を自ら立ち上げ、「学校ストライキ」を決行し、ついに温室効果ガスを出さないヨットによる大西洋横断を企てて、このニューヨークにやってきたのだと書いている。
彼女の活動は世界中の若者たちを中心とした、パリ協定で立てた目標を達成させる運動にたちまち広がっていった。
主に、ヨーロッパ諸国での活動の広がりであったが、アメリカでもそれは波及している。
ところが、アメリカのトランプ政権の後ろ盾である共和党、そのロビイストである石油メジャーたちは、こぞって、アメリカのパリ協定脱退を誉めそやし、トランプ政権におもねる立場を取り、環境問題を政治問題にすることを極度に嫌っている。
温室効果ガスの否定は低炭素社会の推進になるのだが、それをされると石油メジャーは飯の種を奪われるというのだ。
目先の経済活動の活性化しか眼中にないトランプ政権とそこにおもねる日本政府と、超大国にのし上がりいまだに「我々は発展途上国だ」と言い張る中国が温室効果ガスの増加による気候変動、環境破壊説に懐疑的な立場を取り、グレタさんの言葉には耳も傾けない。
ほぼ世界の科学者が、このまま二酸化炭素が大気中に増え続ければ、産業革命からこっち地球の平均気温が1.5℃近くも上昇し、風水害や大干ばつ、グリーンランドや南極地方の陸氷の融解による海水面上昇がもっと進むだろうと言っているのに、それは「フェイクだ」とか「根拠薄弱」だと「懐疑派」が攻撃してくる。
懐疑派のほうが、根拠薄弱でフェイクニュースを垂れ流しているように私には見えるのだが…
要するに、グレタさんの「正論」は現代社会の恩恵を受けている者にとっては、「話はわかるが、今の生活水準を落としてまで取り組みたくないし、当面、どうやったらいいのかわからない」というのが正直なところらしく、総論賛成各論反対の典型的な暗礁乗り上げ状態である。
グレタさんは「人々は困窮し、死に瀕し、生態系は壊れる。私たちは絶滅を前にしている。なのにあなた方はお金と、永続的経済成長という『おとぎ話』を語っている。よくもそんなことが!」と声を詰まらせた。
彼女の演説は心を打った。
我々大人は、反論するにしても、聞く耳を持たねばならない。
ドイツのメルケル首相は物理学博士でもあり、グレタさんの運動の後押しをしている。
科学者は知っているのだ。
このまま進めば、地球の環境は確実におかしくなっていくと。
しかし、打つ手と言ったら、喫緊のことばかりなのに、先送りばかりしている。
原発を無くすのがいいのか?
大震災で多くの原発の稼働を止めなければならなくなった日本は、火力発電に頼って、その経済力を維持しようと躍起になり、温室効果ガスを増やし、低減目標達成を下方修正することになった。
ほんらい推進されるべき再生可能エネルギーによる発電がまったく日本では進まない。
技術的な問題も解決できていないからだ。
国土が狭く、台風による風水害の多い日本では太陽光発電や風力発電に向かない事情もあった。
また日本のような経済大国では、節電という行動がとりにくく、効果もあまり期待できないどころか、やりすぎて交通インフラや電気精錬などがストップしてしまう。
電気がつかえず、アルミニウムの地金の価格上昇が進むと、日本のリサイクル市場はとん挫するだろう。
こういった日本の特殊事情も鑑みて、環境負荷低減のテーマに取り組まなければならない。
再生可能エネルギーによる電源は、蓄電池の技術に頼るところも大きい。
この蓄電技術はコストばかりかかって、あまり現実的な解決策がない。
リチウムイオン電池や水素電池などの技術向上をコストダウンをいかに進めるかも科学者の出番だろう。
こうして見てくると、大人たちがお金の「おとぎ話」を語っているうちに、技術改革も「おとぎ話」に終わってしまいかねない。
グレタさんの演説は重い。
それだけに、大人も苦しんでいるのだ。
トランプ大統領が彼女の発言を聴かなかったのは、恐れている証拠だ。
プラスチックごみの問題も解決には程遠い。
精神的な活動に費やされて、目立った結果を産まない。
環境問題に取り組むことは、なかなか目に見える効果を得にくいものだ。
だからそれに取り組む者は「ださい」と言われ、「むだだ」とまで言われ続けて来た。
だから最近「セクシー」なる言葉を環境問題に取り組む態度に使う向きも出て来た。
この「セクシー」には性的魅力だけでなく、単に魅力的、かっこいいという意味合いが最近になって付与されているようだ。
小泉進次郎環境大臣が「セクシー発言」で取りざたされているが、あれは隣の話者の言葉を引用したのであって、批判されるに当たらない。
しかしこの発言で「セクシー」という単語の幅広い使われ方が日本にも伝えられた。
それよりも小泉大臣が、温室効果ガスの排出対策について訊かれたときに「減らす」とだけ答え、「どうやって?」と畳み込まれて、返答に窮する場面が問題だと思った。
ああいう質問が来るのはわかっているのだから、想定問答を事前にやっておかねばならないだろう。
環境大臣としての世界デビューは、彼にとって苦い経験になっただろう。
今後を期待したい。
ところで、無駄なものを買わないとしたら経済は鈍化し、使い捨て文化がもてはやされたことがあった。
人間の欲望と、抑制をうまくコントロールすることが環境問題解決の糸口かもしれない。
ネット社会ではフェイクニュースもあふれ、正しい情報が得にくくなっている。
グレタさんのように実際に現場を見る行動力も大事だろう。
また報道は一部の者のためにあるのではなく、大勢の市民のものだということを忘れないでほしい。
若い人と年寄と二分するような世論の分け方がよろしくないが、若い世代に現役世代がつけを回している構図は各国共通らしい。
この点については真摯に反省せねばならず、小泉環境大臣の言う「楽しんで環境問題に取り組む」などという寝言はやめたほうがいい。
もはや、そんな悠長なことを言っておれる時期ではないのだ。
だから、グレタさんが涙をもって叫んだのだから。