まだ安倍内閣の官房長官である菅義偉氏が、次期自民党総裁選に勝って、総裁の座をゆるぎないものにしたが、典型的な「出来レース」であり、私などは、まったく興味もわかない。
もともと支持政党でもなし、内輪の票の取り合いなどどうでもよかった。
なんと99代目の記念すべき首相になろうと言うのが菅義偉その人なのだ。
じゃあ100代目はだれなのだ?岸田?

菅氏は総裁選の演説で、しきりに「地方の普通の青年が」と「平民」を強調した。それまでの安倍晋三や麻生太郎のような「血筋」良い政治家とは一線を画すということを言いたかったのだろう。
「平民宰相」と言われた原敬(はらたかし)も東北の出身だったが、それにあやかりたいのだろう。

ただ、菅氏の発言には傾聴に値するものも少なくない。
彼が、自民党下野時代に著した『官僚を動かせ 政治家の覚悟』(文芸春秋)は古書で数万円もする高値がついているが、そこには官僚という人間は、新しいことをやれというと、できない理由をならべて動こうとしないが、いったんやるとなると、やり遂げるための仕事につくすものらしいことが書かれている。
前例のないことをやらないのが官僚だそうだ。
しかしトップダウンでやる気にさせれば、とことん政府の見方になって働いてくれるので、政治家という者は、そういうふうに官僚を使いなさいというわけだ。
だから彼は「全否定する官僚」をことごとく退けた。
反対に、「こうやれば大臣の思惑に沿うことができそうです」と、できる方策を意見する官僚を厚遇した。
この本では冒頭、菅(直人)、鳩山(由紀夫)、野田(佳彦)の歴代首相は「官僚との距離感がつかめていない」と手厳しく批判している。だから何もできない政権になってしまっているのだと。
菅氏は事あるごとに「縦割り構造を打破」するのだといい、そのことについては私も大賛成なのだが、はたして、これまでの自民党政権で官庁の風通しがよくなったのだろうか?
安倍一強政権で、「忖度」官僚が増えはしなかったか?
やはり「縦割り」は歴然と残っているように見え、新型コロナへの対策もその悪い面が出ているではないか?
持続化給付金などの支給の遅さは、国民にさらに苦難を強いているように思えるし、「Go To」キャンペーンもちぐはぐで、もろ手を挙げて国民に受け入れられていない。
もっと国民に寄り添った施策を遂行できないのだろうか?
PCR検査を望む人には無料で受けさせると言いながら、ついに安倍政権では成らず、菅氏が引き継ぐ形になるがいつのことやら先が見えない。
菅氏は、自分の手柄として「ふるさと納税」を実現させたことを挙げる。
また今後も、自身の肝いりで「携帯電話料金の引き下げ」や「マイナンバー登録の推進」などいくつかの仕事をやり遂げたいと「公約」した。
国民の耳に聞こえがいい。が、しかし、その内情はどうなのだ?どこを向いて彼は仕事をするのか?
私は甚だ疑問なのだ。
菅氏が国会で首班指名を受けて首相になったとて、たくさんの派閥の協力で成り上がった以上、内閣人事は菅氏の思い通りには運ぶまい。
彼は自ら「派閥に属さない」と豪語するも、政権の座に就くには派閥の領袖の力を借りずにはいられないのである。

もし菅氏に「田舎者の誠実さ」が残っているのなら、彼の言う「敗者や弱者に寄り添う政治」や「再チャレンジを後押しする政治」にも期待できよう。
それこそ「平民宰相」ではないだろうか?

それにしても、国民の人気の高かった石破氏がこれほど党の人間に嫌われているのに、自民党にすがりついているのがわからない。
このままでは政治生命すら危ういのに。
この人は立派なことを言うが自分の足元が見えていない馬鹿者なのだろうか?
私も個人的に好きな人物ゆえに、歯がゆい感じがする。早く離党して、自らの旗を立てるべきだと思うがいかがだろうか?

それから国民に一言。私から。
安倍氏が病気ゆえに首相の地位を辞することを発表してから、自民党や安倍政権の支持率がアップしたのはどういうことか?
手のひらを返したように、同情票を入れる神経がわからない。
感傷的な国民で、お涙頂戴の浪曲劇場が好きなバカどもが多いのだろうか?
黒幕の二階幹事長はそれを見越していたのだぜ。
起死回生(岸田の回生にはならなかったが)を期したのが、安倍辞職劇場だったんだよ。
このままでは政権が持たないと思った二階幹事長の考えたシナリオだと思う。

また、国民は騙されるのだ。
コロナが収束したと勝手に菅氏が決めつけて、解散となり「国民に自分の政権の信を問う」と正論でくるだろう。
「菅さんしかいない」、「菅さんバンザイ」、「実直な菅さんなら」と、あほうどもの合唱が聞こえてきそうだ。
「じゃあ野党に政権を担えるものがいるのかい?」といつも反論されるが、そんなものやらせてみなけりゃわかるまい。
今の自民党がそれほど自信をもって「担って」いるとも思えないがね。

政権交代こそ、今の日本に必要なものだと思う。
朝令暮改の自民政権に明日などあるものか。
非正規雇用を増やして雇用を促進したなどという詭弁を許さないためにもだ。
アベノミクスはコロナ禍以前に頓挫していたはずだ。
水をやっても芽が出ないアベノミクスの種は元から腐っていたのだから。

つまらん世の中だ。まったく。